見出し画像

ずっと同じような下手な絵を描き続けている人

突然ですが、皆さんは"下手な絵"を見たことがあるでしょうか。

私にはあります。

デッサンが狂っている、線が雑、魅力を感じない……
"下手な絵"の基準は人それぞれです。

私がどんな絵を下手だと思うのか?

それは、"自分の絵"です。
まあ、見てもらえばわかります。

画像1

はい。
見ての通りです。

2枚の絵を出していますが、
1枚では参考にならないと思って2枚出したわけではありません。


この左右の絵、描いた時期に15年の開きがあるんです。


向かって左のノートに描いてる方が中高生の頃で、
右の白紙に描いている方が最近の絵です。

皆さんは見たことがあるでしょうか。
ピ○シブなどで同じような下手な絵をずっと投稿し続けている人を。
絵を描き始めたばかりの10代の子かと思ってプロフィールを見たら
思ったより結構いい年いってる人を。

そういう人を見たとき、はじめはすごく不思議でした。
なんで飽きもせず、同じ絵を描いていられるのだろうと。
飽きもせず同じポーズ、同じ顔、同じポーズ、同じ顔……
その人の絵をいくつか見ていると「今日はいつもと違う感じで描いてみました!」と書いてある日もあります。

いやどこが違うねん。

いつもと一緒じゃねーか。

なんて心の中でツッコミを入れつつ、
「今は未熟だけど、私はもう少し描けるようになる」と思っていたのです。

いつしか、私が"ソレ"になることも知らずに……

私は絵を描くことが好きです。
絵を描く人の中では絵描き歴何年、なんて言っている人もいますが
私は物心つくまえから絵を描くのが好きで、小さい頃は家の壁に落書きしまくったりノートをいくつもすぐ潰して「もっと物を大切にしなさい」と親によく怒られました。
中高生になっても、絵が好きなのは変わりませんでした。
お絵かき掲示板に入り浸ったり、その頃からフリーゲーム制作にはまり
ゲームに使う絵も積極的に描いていました。それは今に渡るまで続いています。
人より絵を描いてる、とは言えませんが小さい頃から今に至まで絵を描いていない時期はほぼありませんでした。

しかし私にはひとつだけやっていないことがあります。

模写です。

小さい頃からオリジナル厨だった私は漫画雑誌のゲーム等のタイアップ漫画にすら「人のキャラクター真似して描いてる!サイテーだ!」などと勝手に怒っていました。
(タイアップ漫画なら正式に公式の依頼を受けて描いてるのに……)
そんな私ですから、漫画のキャラを見て描く、なんてことは全くしませんでした。
小学生の時、漫画のキャラを上手く真似た絵を見せびらかして他の生徒の賞賛を受けている子を見ては、
(人の真似なんかして、ズルじゃん!自分の実力じゃないのに!)と苦々しく思っていました。
しかし結果から言うと、漫画の絵を写していた子の方が上達していくわけです。
どんなことも、人がやっているのを学んでいかなければ成長しません。
そして、学ばなかった私は……

うさち

これですよ。

この絵単体で見るとさっきの鉛筆書きの絵よりはましかもしれません。
デジタル清書しているし。

でも"これ"ばっかり描いてるんです。

別にこの女の子をずっと描いているというわけではありません。
この絵、右手は上げて、左手は隠れています。顔は正面向き。
線は太く、色の塗り方もアニメ塗りにすらいかないレベルの簡素な塗り方です。

これです。
私の描く絵は、ほとんどこれなんです。

私が一番描いている絵はゲーム用の立ち絵ですから、
似たような感じでもなんとなくすんでしまいます。

たまに違うポーズ、違う角度を描こうと思っても、
描き直しているうちにこれになっています。
なんたるハンドパワー。

私だって、このポーズにこだわっているわけではないんです。
時々猛烈に思うことがあります。

「ああ、絵が上手くなりたい! 画力が欲しい!!」

"上手い絵"とは何か?
一番始めに言った下手な絵の基準が人それぞれであるように、
上手い絵の基準も人それぞれでしょう。

私が上手くなりたいと思う時は、
線が繊細で美しく、違和感のない躍動感あるポーズ、背景もしっかり描いてある。
そういう絵になりたいと思う時です。

なぜかって、そういう絵を"上手い"と思うことの方が簡単だからです。

前述のような絵になるには、デッサンや模写が必要不可欠でしょう。
もちろん簡単なことではありませんし、多大な努力が必要です。
事実、自分には全くできていないことです。

努力すれば"上手い絵"は手に入る。

そう思うのはごく自然なこと。努力は美しく、見合った対価があるべきだ。
努力して上手くなっている絵師さんの絵のなんと素晴らしいことよ。

しかし、本当に、本当にそうでしょうか?
いや、"そう"なのが悪いのでなく、"それだけ"なのでしょうか……?

デッサンが狂っていれば全部下手な絵なのか?
線が太けりゃ全部きたねえ絵なのか??
背景がグヨグヨなら駄作なのか???

そうじゃないでしょう。
あなたの魅力を感じている絵は、全てが"そう"でないことくらい誰でも感じているはずです。

そうです。

別にデッサンなんかやんなくてもいいんだ!!!!

いいんだよ!!!!


とりあえずこれを見てくれ。

画像3

ツッコミどころは無限にあると思います。
それをいちいち書いていたら終わらないのでひとつに絞ります。

意地でも手指を描いていない。

水色のやつなんかそもそも腕どこにいってるんだよというレベルです。
(腕がないキャラではありません)

1人の立ち絵でも一本しか手を描きたくないのに、
3人になったら腕は6本になります。
どんだけ多いんだよ。指なんか30本です。触手か???

これはゲームのタイトル用に描いた絵です。
この3人のキャラが出ますよという絵なんです。
3人描いてあることは確認できますね。

それでいいんです。

この絵にキャラの手なんて必要ないんです。

中学生の時、デッサンを習いに行ったことがあります。
一瞬でやめましたが、そこの先生が言っていたことがあります。

「伝えたいところはしっかり描いて、どうでもいいところはさっぱり描く。
 全部を全力で描くと絵にメリハリがなくなってどこを見たらいいかわからなくなる。」

それです。
手の指の数とか別に伝えなくていいですから。
みんな5本です。みんな知っています。だからいいんですこれで。

描きたいものだけ描く。
それにどれだけ力のあることか。

私が真に欲しいのは、画力なんかじゃないんです。
魔力なんです。攻撃力なんです。

だから今日もどこか足りない絵を描き続けるんです。


いつか私の攻撃が誰かに届くと信じて。





……と思わないとやっていけない。

絵の練習したくないから。

おしまい

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?