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なぜ少年はプリキュアになれないのか

 戦隊モノに女性メンバーがいることは今や定番である。当てられる色も必ずしもピンクだけではない。
男児向けでも、戦闘に参加しないヒロインも存在するが“プレイヤー”としての女キャラが仲間として存在するものも数多くある。

だが女児向けはどうだ。
少年のプリキュアを見たことがあるか。

プリキュアに少しばかり詳しい人なら
「キュアアンフィニ」がいたじゃないか!と言うだろう。
わからない人のために説明するとキュアアンフィニとはハグっとプリキュアに登場するプリキュア史上初の男の子プリキュアだ。製作陣もアンフィニにはジェンダーに囚われず“誰だってなりたい自分になれる”という想いを込めている。

……誰だってなりたい自分になれる?

私はキュアアンフィニを見てそのように思うことは出来なかった。
なぜならば、“彼”は女の子と見紛うような美形の少年だからである。

さらに、おもちゃ売り場にキュアアンフィニのグッズは存在しなかった。メインのメンバーのイラストの中に彼が混じることもない。
だって彼はゲストキャラ扱いで数回しか出ていないのだから。
これで本当に“プリキュアになった”と言えるのだろうか?

魔法少女ものでなく女児向けアイドルものだがプリパラで言うところのレオナ・ウエストがいい例だ。
レオナは女児アニメでは珍しく「女の子チームの一員として普通に活躍している男」である。
現実世界では男の制服を着ているし現実で着る水着も海パンだ。
しかしアイドル世界であるプリパラでは女の子の格好をしている そもそもプリパラというのは女の子しか入れない世界でありレオナは女の子のような男だったからこの世界に入れているのである。

あらゆる要素の先駆けとも言われるセーラームーンにはセーラースターライツがいたじゃないかと思う人もいるだろう。
スターライツは原作とアニメで設定は違うが大雑把に言えばちゃんと変身する男のチームである。

そう、“チーム”なのである

女児アニメでは男は女の子と混じって戦うことが出来ないのだ
セーラームーンには男の娘もオネエも男カップルも存在した。しかしその全てが敵側なのである。
タキシード仮面は共闘はしてもセーラー戦士にはならないのである。
男は敵か恋愛対象、その2択か両方なのである。

普通の男の子がプリキュアになって一緒に戦うことがなぜ出来ないのだろう。
なぜ一緒に友情を育みながら成長することが出来ないのだろう。

個人的にその理由は“わざわざ男キャラをメンバーにしなくても色んな話が作れるから“だと思っている。

男児向けのプレイヤーキャラやヒロインの一種の役割として”女にしかできない振る舞い“というのがある。いわゆるしずかちゃん的な女の子らしさでなくても女であるというだけで実は男よりもキャラクター的に自由な部分が多いのだ。
1番大きな部分が服装だ。
男キャラはスカートを履くことができない。
女キャラは自由だ。ズボンでもフリフリのついたような可愛いズボンからカジュアル、ボーイッシュ、男装まで様々だ。
プリキュアでもボーイッシュ女子やいわゆる宝塚の男役のようなメンバーキャラはいた。それがすでに男メンバーの役割を担ってしまっているのだ。
逆に男のメンバーを入れてしまうと女同士だと違和感なくできた部分に制限ができてしまう。
女の子達と男メンバーで一緒に熱く修行したり敵を倒すことに違和感はなくとも、男メンバーと一緒に可愛いお店でお洋服を選ぶことは出来ないということだ。
可愛いお菓子を「可愛いー!」というだけでもその男キャラは”オカマ“のレッテルを貼られてしまうだろう。そうでないようにするには、女の子達も可愛い世界から遠ざかり、男と同じようにやっていける世界で遊ぶしかなくなる。それか、元々女性らしい嗜好を持ったキャラとして描写するかのどちらかである。
男キャラが自分らしさを保ったまま女の子と一緒にやっていくことは実は簡単なことではないのだ。

そして今日も魔法少女になれなかった男キャラはどこかで敵か恋愛対象をやっている。


「可愛いね……
 違うよ、君のことだよ。
 僕が唯一言える”可愛い“は
 君に対してだけなんだ……」


おしまい

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