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短編小説

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こたえあわせ

 イスカリオテのユダが、キリストを銀貨三十枚で売ったという話は、広く一般に知られている。しかし、その詳細については諸説ある。日本においては、太宰治が「駆け込み訴え」というタイトルで、ユダの気持ちを代弁し、告白する短編が有名である。この話は、ユダの精神状態の不安定さが入り混じり、途中、支離滅裂に感じられる描写も多い。  ユダは実際には、話し相手にとって、どう映っていたのか。この話は、ユダの「駆け込み訴え」についての別解釈である。  そもそもなぜ、家主が男を家に入れたのかと訊

失われた三十年を求めて

 もっとも新鮮な情報を得られる場所はどこだと思う?  SNS、twitterとかいう、あの小さなサイト、あるいは新聞?  答えは簡単で、おれが勤めている、ゴミ処理場だ。誰が、何を捨てたかをみていると、世相がわかる。  昨日の停電のせいか、空調が故障したため、いつにも増してサウナといえばまだ響きがいい牢獄のなか、おれは休憩中に仲間とタバコを吸っていた。 「もってきた」  森崎は、この職場で親密になった数少ない同僚(といっても年齢はおれより5つ上の、六十五だが)だ。大丈夫かとおれ