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3相3線200VのS相の対地電圧はなぜ0Vなのか。

この記事は鵜呑みにすると感電してしんだり、
あるいは爆発します。


結論①

S相だけ変圧器の二次側でB種接地している。

結論②

(三相三線の)変圧器の二次はだいたいデルタ結線であるため、
線間電圧=相電圧(対地電圧)である。

結論③

デルタ結線はコイルとコイルの両端同士を繋いで三角形を作り、その三角形の頂点から電線を引き出す。三角形の各辺がコイルである。つまり変圧器から出てきた時点で引き出された線の一本一本が、すでに線と線を繋いだ結果の線であるがゆえに、線間(あるいは相間ともいうべき)電圧を有する。引き出された線同士の線間電圧は相同士の単純な差にならない。
対してスター結線はコイルの片方の端を3つまとめて全部縛る。
すなわち変圧器から出てくる線は各々独立した(位相差のある)相であり、線間電圧は単純な相同士の差となる。ただし位相がずれるため、ルート3倍になる。

単相三線100/200V

こいつが直観的に分かりやすく200Vを作るため、誤解が生まれる。

逆相の差をとる=線間電圧という忌まわしい考え

L1(赤波) : 実効値100V(対地. 対白線間), 最大値141V
L2(緑波) : 実効値100V(対地. 対白線間), 最大値141V
L1-L2(黒波) : 線間, 実効値200V, -282Vから+282V

位相のズレがpi(180度)の場合、
線間電圧の振れ幅は単純に倍(141*2=282)

0.1秒
1秒間

そのコード

import matplotlib.pyplot as plt
import numpy as np
import math

v = 100 #実効値
vm = v*math.sqrt(2) #最大値=141V=実効値×√2

f = 60 #Hz
omega = 2*np.pi*f #角周波数,ラジアン毎秒
t = np.linspace(0, 1, 1000)
wt = omega*t

r = vm*np.sin(wt)
s = vm*np.sin(wt+np.pi)
union = r-s
           
fig = plt.figure(figsize=(24.0, 6.0))
ax = fig.add_subplot(111)

ax.plot(t, r, color='red')
ax.plot(t, s, color='green')
ax.plot(t, union, color='black')

plt.grid()
plt.show()

print(vm)

実際どうなってるのか(同相の和をとる)

単相三線は変圧器二次で単相200Vを引き出し、それを分割しているだけ説。

すなわち変圧器二次にはコイルが1個だけあると考え、その両端は200Vである。このコイルの真ん中からもう一本線を引き出すと、この真ん中の線とコイルの端とは各々100Vを作る。ここで真ん中の線を接地すると、その辺の電柱の上にある変圧器が作る単相三線100V/200Vとなる。と、思われる。

単相三線200Vのブレーカー端子の電圧は、ただの1つのコイルの両端であるので、引き出した線の線間=相電圧と見ることができるが、この場合コイルの真ん中からもう一本線を引き出すせいで単純な相電圧=対地電圧にはならない。コイルの真ん中からもう一本引き出してなかったら相電圧=対地電圧であろう。

※注意
相電圧はそもそもデルタ結線のように、三相(すなわち各々位相差のある相が3つ)あって各々の区別が必要な時に出てくる用語であろうから、今回はそもそも不適格な語であろう。ここでは1個のコイルが作った電圧くらいの意味である。

コイルの真ん中から一本線を引き出すことは、1つの200Vの相を分割したものともいえるし、
2つのコイルの片方の端を束ねた、よりよりした、あるいは互いに接続してそこから一本線を引き出すことに等しい。
ゆえにこの視点から見るならば、単相三線200Vは同相の100Vの足し合わせである。つまりこう。

位相のずれなし単相100V(赤+緑)足し合わせ(=黒)


import matplotlib.pyplot as plt
import numpy as np
import math

v = 100 #実効値
vm = v*math.sqrt(2) #最大値=141V=実効値×√2

f = 60 #Hz
omega = 2*np.pi*f #角周波数,ラジアン毎秒
t = np.linspace(0, 0.1, 1000)
wt = omega*t

r = vm*np.sin(wt)
s = vm*np.sin(wt)
union = r+s
           
fig = plt.figure(figsize=(24.0, 6.0))
ax = fig.add_subplot(111)

ax.plot(t, r, color='red', lw=10)
ax.plot(t, s, color='green', lw=4)
ax.plot(t, union, color='black')

plt.grid()
plt.show()

print(vm)

変圧器二次を1個のコイルとみるのなら、単相三線200Vのブレーカー端子電圧は線間電圧と呼ぶことすら汚らわしい存在となる。なぜ汚らわしいのか。それすなわち、線間電圧というとただ単に線と線の間の電圧という意味にみえるし、実際そのように使うが、その実、線間というのが相と相の間の電圧(相同士の差)を暗に含むからである。この相と相の間という概念からみると、単相三線200Vのブレーカー端子電圧はただのコイルの両端で、単一の相である。

変圧器二次を同相の2個のコイルとみるのなら、単相三線200Vのブレーカー端子電圧を線間と呼んであげることもやぶさかではない。対地電圧も分かりやすい。ただしその場合、中性線は相と相を接続したものである。

中性線はどうなっているのか

結論から言うと同相の差である。
すなわち2つの100Vの相に位相差はない。

2つの100Vの相が平衡していれば中性線に電流は流れない。

電圧は2点における電荷の差であって、電流はプラスからマイナスに流れるが、電荷のキャリアはこの場合単純に電子であると考えると、電子はこの時マイナスからプラスに流れこむ。電子はプラスの電荷に向かう。
電流の定義は電子の移動であるが、電子は電子を弾くし、ある意味で電子は電流を引きずり込むとも言える。

中性線における電子の増減を、時間のある一瞬を切り取って考える。
この時、2つの100Vの相を各々R相とT相とすると、R相に電子が殺到しているならT相からは電子がなくなっている。
同時に、R相側の中性線からは電子がなくなっており、T相側の中性線には電子が殺到している。

つまり中性線において電子の増減はない。

この電子の増減のない中性線との比較において、R相とT相は各々同相(位相差のない)100Vをもつ。

R相に電子が殺到していて、T相からは電子がなくなっている。この状態が200Vである。
この時、R相とT相の電圧を測ろうとすると、電圧は2点の電荷の差なのだからと相の差を取るという過ちを犯すが、実際にはこれは同相の和である。

三相三線200V

R(赤波) : 実効値200V(対地), -282Vから+282V
S(緑波) : 実効値200V(対地), -282Vから+282V
T(青波) : 実効値200V(対地), -282Vから+282V

R+S+T=0V(黒波)

0.1秒間

そのコード

import matplotlib.pyplot as plt
import numpy as np

v = 200 #実効値
vm = v*math.sqrt(2) #最大値=282V=実効値×√2

f = 60 #Hz
omega = 2*np.pi*f #角周波数,ラジアン毎秒
T = np.linspace(0, 0.1, 1000)
wt = omega*T

r = vm*np.sin(wt)
s = vm*np.sin(wt+np.pi*2/3)
t = vm*np.sin(wt+np.pi*4/3)

union = r+s+t
           
fig = plt.figure(figsize=(24.0, 6.0))
ax = fig.add_subplot(111)

ax.plot(T, r, color='red')
ax.plot(T, s, color='green')
ax.plot(T, t, color='blue')
ax.plot(T, union, color='black')

plt.grid()
plt.show()

三相の対地と線間を同じ図に

三相三線は120度(pi/3)ずれている。
線間電圧の振れ幅は倍にはならない。

R相とS相の差U(線間電圧ピンク)の最大値は、以下のコードより
489.8979485566358ボルト
489/282でだいたい1.73。これはだいたいルート3倍。

線間電圧ピンクの実効値はルート2で割る単純計算だと
346.80851063829787234042553191489ボルト

そのコード


import matplotlib.pyplot as plt
import numpy as np

v = 200 #実効値
vm = v*math.sqrt(2) #最大値=282V=実効値×√2

f = 60 #Hz
omega = 2*np.pi*f #角周波数,ラジアン毎秒
T = np.linspace(0, 0.1, 1000)
wt = omega*T

r = vm*np.sin(wt)
s = vm*np.sin(wt+np.pi*2/3)
t = vm*np.sin(wt+np.pi*4/3)

u = r-s
v = s-t
w = t-r
           
fig = plt.figure(figsize=(24.0, 6.0))
ax = fig.add_subplot(111)

ax.plot(T, r, color='red')
ax.plot(T, s, color='green')
ax.plot(T, t, color='blue')
ax.plot(T, union, color='black')

ax.plot(T, u, color='pink')
ax.plot(T, v, color='orange')
ax.plot(T, w, color='purple')

plt.grid()
plt.show()

print(u.max())

位相が120度ずつずれている三相交流の
相電圧(この場合対地電圧相当)に比較する線間電圧はルート3倍。

これは発電機から三相交流を取り出した時、
あるいは変圧器二次をスター結線した時に起こる。

変圧器二次がデルタ結線だった場合、
相電圧=線間電圧。
とりだされた電圧は最初から線間電圧である。

つまりこれ。

0.1秒間

線間=相の差をとるというのはスター結線の視点。

スターとデルタとV結線

スター結線。
電線が3本あった場合、端を3本全部繋いだらスター結線である。
より正確には、3つのコイルの片方を全部繋いだらスター結線である。
繋ぐでなく、3本束ねて返すと考えても良いが、
この3本束ねた線には交流3相が重なって0Vになる(図の真ん中の黒の線、コード中の変数union=r+s+t)ためちょん切って良い。

デルタ結線。
コイルの端同士を繋いで三角形を作る。
その頂点から電線を引き出すとデルタ結線となる。
電圧がコイルの真ん中ぐらいからほんのり生まれると想像するなら、
コイルの接続部分から引き出された電線はそのまま線間電圧である。

V結線。
デルタ結線からコイル1つ外したもの。

節点を3つ用意し、そられを繋いで3角形を作り、
3角形の頂点となった節点から電線を引きだしたらデルタ結線である。
また、この状態から節点同士を繋ぐ電線を一本抜いたらスター結線、またはV結線である。
デルタ結線、V結線は節点同士を繋ぐ電線がコイルである必要がある。
スター結線は節点を繋ぐ線を1つ外し、かつ節点から引き出された電線がコイルである必要がある。

S相をB種接地

動力の盤のブレーカー二次は
線間が200Vであり、
対地がR相T相が200Vであり、
S相が0Vである。

だいたい動力の三相三線200Vを使おうなどという設備は
電柱から6600Vで設備に引き込んで、
変圧器で200Vに変圧するであろう。
その時変圧器は1次がスターで2次がデルタであろうから、
三相三線の動力のブレーカーは
線間電圧=相電圧(対地電圧)である。

ただし変圧器は、
高圧と低圧の回路が混ざった時用、高圧が低圧に流れ込んだ時用に
S相をB種接地している。
このB種接地はS相の対地電圧を測った場合に繋がる回路である。

よってブレーカー二次の端子間の電圧は線間電圧ではある物の同時に相電圧であり、この場合の相電圧は対地電圧と見ても間違いにならん。
R相=R-S間電圧=R相対地電圧
S相=S-T間電圧
T相=T-R間電圧=T相対地電圧
であり、
S相のみ接地してあるため、これの端子から対地電圧を測ると地面と繋がって0Vになる。


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