数列

まだChatGPT君に聞いてる途中。

数列はしぬほど大雑把に分類すると
収束するか発散するか振動するかその他である。

  1. 収束:数列が収束するとは、その数列がある特定の実数に「近づく」(つまり、無限大の項まで進んだとき、数列の値がその特定の数に限りなく近づく)ことを意味します。

  2. 発散:数列が発散するとは、その数列が特定の数に収束しないことを意味します。発散する数列には、項が無限大に増大するものや、特定の値に収束せずに増減し続けるものが含まれます。

  3. 振動:これは数列が定期的に上下に動く場合を指します。例えば、-1と1を交互に繰り返す数列は振動数列といえます。このような数列は特定の値に収束せず、発散するとも言えません。

その他。

  1. 乱数列(ランダムな数列):各項が確率的なルールに従って生成される数列。ランダムな振る舞いを示す。

  2. カオス的な数列:初期条件に敏感で、微小な初期値の違いが大きな違いを生む数列。非常に規則的な形式でもカオス的な振る舞いを示すことがある。例えば、ロジスティック写像によって生成される数列。

  3. 複雑な挙動を示す数列:特定のパターンが見つけられないが、それらがランダムでもない場合、複雑な挙動を示すとされる。この種の数列はしばしば、フラクタルや奇妙なアトラクターといった複雑なシステムの動きを説明するのに用いられる。

  4. 非モノトニックな数列:増加もしくは減少を続けるのではなく、上下に変動する数列。これらは必ずしも振動(つまり周期的な振動)しない。

また、素数の列も収束もしないし発散もしないし振動もしないし乱数でもカオスでもない。

モノトニック(単調)

数列や関数がモノトニックであるとは、それらが常に増加するか、または常に減少することを意味します。

数列

数列とは、数が特定の順番で並べられたものを指します。数学における数列は通常実数や複素数の並びとして考えられます。数列は以下のように表されます:

$${ a_1, a_2, a_3, \dots, a_n }$$

ここで、$${ a_i }$$ は数列の第 $${ i }$$ 項を示しています。

数列の収束

定義:
数列 $${a_n}$$ が実数 $${L}$$ に収束するとは、任意の正の実数 $${\epsilon > 0}$$ に対して、ある自然数 $${N}$$ が存在し、全ての $${n > N}$$ に対して、
$${ |a_n - L| < \epsilon }$$
が成り立つとき、数列 $${a_n}$$ は $${L}$$ に収束すると言い、
$${ \lim_{n \to \infty} a_n = L }$$
と表記します。

この時、実数 $${L}$$ を数列 $${a_n}$$ の極限値と言います。

大雑把な言い回しとして
$${n \to \infty}$$を、$${n}$$を限りなく大きくした時などと言い、
$${ \lim_{n \to \infty} a_n = L }$$を、数列$${a_n}$$が限りなく$${L}$$に近づく、などという。
限りなく大きくした、とは。
$${n}$$に関して自由に$${n++}$$することが許されているということであり、いかなる巨大な$${n}$$に対しても$${n++}$$できるということである。

例えば

$$
\lim_{n \to \infty} \frac{1}{n} = 0
$$

数列と関数

数列と関数の定義は実はとても明確ですが、関連が深いためにしばしば混同されます。以下がその明確な定義です:

  1. 数列(Sequence):
    数列は、自然数(または自然数の部分集合)を定義域とする関数です。数列は通常、順序を持つ一連の数として表示され、$${ a_n }$$ の形で書かれます。ここで$${ n }$$は自然数です。数列の各項は一つの数であり、$${ n }$$番目の数を指します。

  2. 関数(Function):
    関数は、ある集合(定義域)から別の集合(値域)への対応のルールです。関数は数列よりも一般的な概念で、定義域が自然数に限定される必要はありません。関数は$${ f(x) }$$の形で書かれ、ここで$${ x }$$は関数の入力(変数)です。

数列は、関数の一種と見なすことができます。具体的には、数列は定義域が自然数の集合である関数です。一方で、関数はより広い概念で、定義域が実数全体、複素数、またはそれ以外の数学的構造を含むことができます。

数列と関数の違いは主にその定義域にありますが、数列の各項を関数の特定の値と考えることができるため、数学的な概念としての境界は流動的になることがあります。例えば、数列$${ a_n = 1/n }$$は$${ f(x) = 1/x }$$という関数の自然数における値と見なすことができます。

級数

級数とは、数列の項を一つずつ足し合わせたものを指します。特に、無限に項が続くものを無限級数と呼びます。

基本的な定義

数列 $${{a_n}}$$ の項からなる級数を以下のように表します:
$${ \sum_{n=1}^{\infty} a_n }$$

この級数の部分和 $${S_m}$$ は次のように定義されます:
$${ S_m = \sum_{n=1}^{m} a_n }$$
無限級数の和(収束値)は部分和の成す数列$${ S_m}$$の極限として定義されます。

$${ S = \sum_{n=1}^{\infty} a_n = \lim_{m \to \infty}\sum_{n=1}^{m} a_n = \lim_{m \to \infty} S_m }$$

無限級数がある有限の値に収束するとき、その級数は収束すると言います。逆に、級数が有限の値に収束しないとき、それは発散すると言います。

等差数列

あるいは算術数列(arithmetic progression, arithmetic sequence)

項と項の間の差が一定の数列。
例:1, 3, 5, 7, 9, ... ここでの差は2。

等差数列とは、連続する任意の2項の差が一定の値である数列のことを指します。この一定の値を公差と呼びます。等差数列の一般的な形は以下の通りです:

$${ a, a + d, a + 2d, a + 3d, \dots }$$
$${ a }$$ は初項
$${ d }$$ は公差

等差数列の性質

第 $${ n }$$ 項の公式
等差数列の第 $${ n }$$ 項 $${ a_n }$$ は以下の公式で与えられます:

$${ a_n = a_1 + (n-1) d }$$

ただしここで初項は$${n=1}$$から始まる$${a_1}$$である。
初項を$${n=0}$$から始まる$${a_0}$$とした場合、一般項は

$${ a_n = a_0 + nd }$$

等差数列の和(算術級数)
$${n=1}$$から始まる等差数列の最初の $${ n }$$ 項の和 $${ S_n }$$ は以下の公式で与えられます:

初項と項差を用いて
$${ S_n = \frac{n}{2} (2a_1 + (n-1)d) }$$
または初項と第n項を用いて
$${ S_n = \frac{n}{2} (a_1 + a_n) }$$

ここで$${ a_1 }$$ は初項、$${ a_n }$$ は第 $${ n }$$ 項。

$${n=0}$$から始まる等差数列の場合は

初項と項差を用いて
$${ S_n = \frac{n}{2} (2a + nd) }$$
または初項と第n項を用いて
$${ S_n = \frac{n}{2} (a_0 + a_n) }$$

特に無限の項まで足すと算術級数は発散する。

等差数列で初項 $${ a = 2 }$$ 、公差 $${ d = 3 }$$ とすると、数列は以下のようになります:
$${ 2, 5, 8, 11, 14, \dots }$$

  • 第4項は: $${ a_4 = 2 + 3(4-1) = 11 }$$

  • 最初の4項の和は: $${ S_4 = \frac{4}{2} \times (2 + 11) = 26 }$$

調和数列

調和数列とは、等差数列の逆数からなる数列のことを指します。

$${ \frac{1}{a}, \frac{1}{a + d}, \frac{1}{a + 2d}, \frac{1}{a + 3d}, \dots }$$

一般項は$${n=1}$$から始まる場合
$${h_n = \frac{1}{a_1 + (n - 1)d}}$$

$${ a_1 }$$ は等差数列の初項
$${ d }$$ は等差数列の公差

$${n=0}$$から始まる場合
$${h_n = \frac{1}{a_0 + nd}}$$

特によく知られた形として

$$
\sum_{n=1}^{\infty} \frac{1}{n} = 1 + \frac{1}{2} + \frac{1}{3} + \frac{1}{4} + \frac{1}{5} + \dots
$$

の形で用いられ、特に調和級数という。

等比数列

あるいは幾何数列 (geometric progression, geometric sequence)

連続する項の比が一定の数列。
例:2, 6, 18, 54, ... ここでの比は3。

等比数列とは、連続する任意の2項の比(割り算の結果)が一定の数列のことを指します。この一定の値を公比と呼びます。等比数列は、特に指数関数や複利の計算など、数学や金融の様々な分野で用いられる基本的な数列の一つです。

等比数列の一般的な形は以下の通りです:

$${ a, a \times r, a \times r^2, a \times r^3, \dots }$$

$${ a }$$ は初項
$${ r }$$ は公比

等比数列の性質

第 $${ n }$$ 項の公式
等比数列の第 $${ n }$$ 項 $${ a_n }$$ は以下の公式で与えられます:
$${ a_n = a \times r^{n-1} }$$

等比数列の和(幾何級数)
等比数列の最初の $${ n }$$ 項の和 $${ S_n }$$ は以下の公式で与えられます(ただし、公比 $${ r }$$ が1でない場合):

$${ S_n = \frac{a(1 - r^n)}{1 - r} }$$

公比が $${ r = 1 }$$ の場合、$${ S_n = n \times a }$$ になります。

特に無限の項まで足すと

$${\sum_{n=0}^{\infty} ar^n}$$

この式は、公比 $${ |r| < 1 }$$ のときのみ収束し、その和は次のように与えられます:

$${ \sum_{n=0}^{\infty} ar^n = \frac{a}{1-r} }$$

公比 $${ |r| \geq 1 }$$ の場合、この級数は収束しません。

等比数列で初項 $${ a = 2 }$$ 、公比 $${ r = 3 }$$ とすると、数列は以下のようになります:
$${ 2, 6, 18, 54, \dots }$$

  • 第3項は: $${ a_3 = 2 \times 3^2 = 18 }$$

  • 最初の3項の和は: $${ S_3 = \frac{2(1 - 3^3)}{1 - 3} = 26 }$$

等比数列の理解は、さまざまな数学的な問題や複利計算、物理学の多くの現象(例えば放射能の減衰)のモデリングに役立ちます。

フィボナッチ数列

フィボナッチ数列とは、初めの2項を1, 1とし、その後の項を前の2つの項の和として得られる数列のことを指します。数列は以下のようになります:

$${ 0, 1, 1, 2, 3, 5, 8, 13, 21, \dots }$$

この数列は、以下の再帰的な関係によって定義されます:

$${ F(0) = 0, }$$
$${ F(1) = 1, }$$
$${ F(n) = F(n-1) + F(n-2) }$$ (ここで、$${ n }$$ は2以上の整数)

フィボナッチ数列の性質

  1. 黄金比
    フィボナッチ数列の隣接する項の比(例: $${ F(n)/F(n-1) )}$$は、数列が進むにつれて黄金比に近づきます。黄金比 $${ \phi }$$ は以下の方程式の正の解として与えられます:
    $${ \phi^2 = \phi + 1 }$$
    その値は $${ \phi \approx 1.6180339887 }$$ です。

  2. ビネの公式
    フィボナッチ数列の項は、黄金比を使用して以下の公式で直接計算することができます:
    $${ F(n) = \frac{\phi^n - (-\phi^{-1})^n}{\sqrt{5}} }$$
    ここで、$${ \phi }$$ は黄金比です。

  3. 自然界の現象との関連
    フィボナッチ数列や黄金比は、自然界のさまざまな現象や形状に関連していることが知られています。例えば、花の花弁の数や、パイナップルや松かさの渦巻きの数などで見ることができます。

フィボナッチ数列の第10項を計算する場合:

$${ F(10) = F(9) + F(8) }$$
を繰り返し計算することで、 $${ F(10) = 55 }$$ となります。

フィボナッチ数列は、数学だけでなく、生物学や美術、建築など、多岐にわたる分野でその重要性が認識されています。

無限級数

無限級数とは、無限に多くの数の和を考えたものです。具体的には、数列 $${ { a_n } }$$ が与えられたとき、その項の和

$${ S_N = a_1 + a_2 + a_3 + \dots + a_N }$$

を考え、$${ N }$$ を無限大にしたときの $${ S_N }$$ の極限を考えるものです。

数列 $${ { a_n } }$$ の項の無限和は以下のように表されます:

$${ \sum_{n=1}^{\infty} a_n }$$

この和がある実数 $${ S }$$ に収束するとき、無限級数 $${ \sum_{n=1}^{\infty} a_n }$$ は収束するといい、その和を $${ S }$$ とします。もし収束しない場合、級数は発散するといいます。

幾何級数

等比数列の和

$${ \sum_{n=0}^{\infty} ar^n }$$

ここで、$${ |r| < 1 }$$ の場合、この級数は $${ \frac{a}{1-r} }$$ に収束します。しかし、$${ |r| \geq 1 }$$ の場合、級数は発散します。

$${ S_n = \sum_{n=0}^{\infty} ar^n = \frac{a(1 - r^n)}{1 - r} }$$

調和級数

調和級数とは、無限の数列の一つで、以下のように定義されます:

$${ H_n = 1 + \frac{1}{2} + \frac{1}{3} + \frac{1}{4} + \ldots + \frac{1}{n} }$$

ここで、$${ H_n }$$ は前の $${ n }$$ 項の和を指します。

調和級数は多くの数学的、物理的な文脈で出現します。以下は調和級数のいくつかの重要な特性と事実です:

  1. 発散:調和級数は無限に向かって発散します。つまり、$${ n }$$ が無限大に近づくにつれて、調和級数の和も無限大になります。この事実は、インテグラルを使用して証明することができます。

  2. 対数的な成長:調和級数は対数的に成長します。具体的には、調和級数の和 $${ H_n }$$ は、$${ \ln(n) }$$ に関連して成長します。これは、$${ H_n }$$ と $${ \ln(n) }$$ の差が一定の値に収束することから示されます。

  3. 物理学的応用:調和級数は、物理学の多くの分野で出現します。例えば、連続する2つの電荷間の電場や、レーザー中の光子の振る舞いなどで調和級数が関与する場合があります。

調和級数は、無限の和や数列の性質を理解するための基本的なツールとして使用されます。また、数学や物理学の他の多くのトピックとの関連性も持っています。

p級数

調和級数の一般化の一つ。

$${ \sum_{n=1}^{\infty} \frac{1}{n^p} }$$
この級数は、$${ p > 1 }$$ の場合に収束し、$${ p \leq 1 }$$ の場合に発散します。

p級数は、以下の形式の無限級数です:

$${ \sum_{n=1}^{\infty} \frac{1}{n^p} }$$

ここで $${ p }$$ は正の実数です。

p級数の収束性

p級数の収束性は、実数 $${ p }$$ の値に依存します:

  1. $${ p > 1 }$$ の場合:
    級数は収束します。特に、$${ p = 2 }$$ の場合、この級数はユークリッドの無限級数として知られ、以下のように表されます:
    $${ \sum_{n=1}^{\infty} \frac{1}{n^2} }$$
    この級数の和は $${ \frac{\pi^2}{6} }$$ に等しいことが知られています。

  2. $${ p \leq 1 }$$ の場合:
    級数は発散します。特に、$${ p = 1 }$$ の場合、この級数は調和級数として知られ、以下のように表されます:
    $${ \sum_{n=1}^{\infty} \frac{1}{n} }$$
    調和級数は発散することが知られています。

p級数の重要性

p級数は解析学において基本的な例としてよく用いられます。特に、級数の収束性を学ぶ際の典型的な例として挙げられます。また、p級数はリーマンゼータ関数という重要な関数の特別な場合としても現れます。リーマンゼータ関数は、数論や数学の他の分野における多くの深い結果と関連しています。

p級数の収束性は、部分和の成長の速さや他の収束判定法と関連していることから、解析学の初等的なトピックとして研究され、理解されています。

交項級数

または交代級数。

交代級数とは、項の符号が交互に変わる級数のことを指します。一般的な形は以下のようになります:
$${ \sum_{n=1}^{\infty} (-1)^{n+1} a_n }$$
ここで、$${a_n}$$ は正の実数列であり、通常、$${a_{n+1} \leq a_n}$$ で $${a_n \to 0}$$ となるようなものを考えます。

交代級数の収束に関する重要な定理として、交代級数の収束判定があります。これは次のように言えます:

もし $${a_n}$$ が0に単調に収束するならば、交代級数 $${\sum_{n=1}^{\infty} (-1)^{n+1} a_n}$$ は収束する。

これは、項の絶対値が単調に0に収束する場合、交代級数は収束するということを示しています。但し、この定理が逆は必ずしも真ではないことに注意が必要です。つまり、級数が収束するとき、その項が単調に0に収束するとは限りません。

例えば、次の交代級数を考えます:
$${ \sum_{n=1}^{\infty} (-1)^{n+1} \frac{1}{n} }$$
この級数は収束します。これは上記の交代級数の収束判定の定理によって明らかです。

しかし、絶対値をとった級数
$${ \sum_{n=1}^{\infty} \frac{1}{n} }$$
は収束しません。これは調和級数として知られ、発散することが知られています。

このように、交代級数は興味深い性質を持っており、解析学の中で重要な位置を占めています。

様々な交代級数

  1. ライプニッツの交代級数:
    $${ \sum_{n=1}^{\infty} (-1)^n \frac{n^p}{q^n} }$$
    この級数は、$${p > \log_q 2}$$ のときに収束し、それ以外の場合には発散します。

  2. 対数交代級数:
    $${ \sum_{n=2}^{\infty} (-1)^n \frac{1}{n \log n} }$$
    この級数は収束しますが、絶対値をとると発散します。

  3. 調和交代級数:
    $${ \sum_{n=1}^{\infty} (-1)^{n+1} \frac{1}{n} }$$
    この級数は収束します。これは前述の交代級数の収束判定の定理によって確認できます。


三角級数

三角関数の無限和。

フーリエ級数

特定の周期を持つ関数を三角関数の無限和で表現するための級数。

フーリエ変換

フーリエ級数を一般化して、周期性がない関数にも適用される積分形の変換。

無限級数の収束

絶対収束 (Absolute Convergence):

数列の無限級数が絶対収束するとは、その数列の絶対値をとった新しい数列の無限級数が収束することを指します。

具体的には、数列 $${{a_n}}$$ に対して、その絶対値を取った数列 $${{|a_n|} }$$の無限級数の和

$${ \sum_{n=1}^{\infty} |a_n| }$$

が有限の値に収束するとき、原の級数 $${\sum_{n=1}^{\infty} a_n}$$ も収束すると言われ、このとき原の級数は絶対収束すると言います。

条件収束 (Conditional Convergence):

数列の無限級数が条件収束するとは、その数列の級数は収束するが、絶対値を取った数列の級数は収束しないことを指します。

言い換えると、級数 $${\sum_{n=1}^{\infty} a_n}$$ は収束するが、級数 $${\sum_{n=1}^{\infty} |a_n|}$$ は発散する場合、級数 $${\sum_{n=1}^{\infty} a_n}$$ は条件収束すると言います。

例:

考えられる典型的な例としては交互級数

$${ \sum_{n=1}^{\infty} (-1)^n \frac{1}{n} }$$

があります。この級数は収束しますが、絶対値を取ると

$${ \sum_{n=1}^{\infty} \frac{1}{n} }$$

となり、この級数は発散します。よって、元の級数は条件収束します。

注意点:

絶対収束する級数は、その項の順番をどのように入れ替えても収束する値が変わらないという性質があります。しかし、条件収束する級数の場合、項の順番を変えると収束する値が変わったり、収束しなくなることがあるので注意が必要です。

要するに、絶対収束は「より強い」収束の形であり、条件収束はそのような保証がない、と考えることができます。


収束の判定

無限級数が収束するか発散するかを判定するためのいくつかの基準やテストが存在します。代表的なものには、比較判定法、根判定法、交代級数の収束判定などがあります。

無限級数は、解析学や物理学、工学などのさまざまな分野で重要な役割を果たしています。特に、関数を無限級数で表現するテイラー展開やフーリエ展開は、多くの応用において極めて重要です。

1. 比較判定法(比較法)

比較判定法は、既知の収束性や発散性を持つ級数と与えられた級数を比較することで、与えられた級数の収束性や発散性を判定する方法です。

手順:

  • 与えられた級数 $${\sum a_n}$$ が正の項からなると仮定します。

  • この級数と比較するための別の級数 $${\sum b_n}$$ を選びます。この $${\sum b_n}$$ の収束性や発散性は既知である必要があります。

  • すべての $${n}$$ について $${0 \leq a_n \leq b_n}$$ が成り立つとします。この場合、$${\sum b_n}$$ が収束するならば、$${\sum a_n}$$ も収束します。一方、$${\sum b_n}$$ が発散するならば、$${\sum a_n}$$ も発散します。

第一種比較判定法の基本的な考え方:

第一種比較判定法は、特定の級数が収束するか発散するかを判定するための方法の一つで、主に正の項を持つ級数に対して適用されます。

  1. 与えられた級数の各項を$${ a_n }$$、比較するための既知の級数の各項を$${ b_n }$$とします。

  2. すべての$${ n }$$に対して$${ 0 \leq a_n \leq b_n }$$が成立すると仮定します。

  3. もし$${ b_n }$$の級数が収束するならば、$${ a_n }$$の級数も収束します。

  4. 逆に、$${ a_n }$$の級数が発散する場合、$${ b_n }$$の級数も発散します。

例:

考える級数$${ a_n = \frac{1}{n^2 + n} }$$が与えられたとします。
この時、$${ b_n = \frac{1}{n^2} }$$という級数を比較対象として考えることができます。なぜなら$${ \frac{1}{n^2 + n} \leq \frac{1}{n^2} }$$が成立するからです。
$${ b_n }$$の級数は$${p}$$級数であり、$${p = 2 > 1}$$なので収束します。したがって、$${ a_n }$$の級数も収束します。

第一種比較判定法は、与えられた級数と比較しやすい既知の級数との関係を利用して、級数の収束性や発散性を判断する方法です。比較対象となる級数を選ぶ際の直感や経験が求められる場合もあります。

第二種比較判定法の基本的な考え方:

第二種比較判定法(しばしば「極限比較判定法」とも呼ばれます)は、無限級数の収束性や発散性を判断するための方法の一つで、主に正の項を持つ級数に対して適用されます。

  1. 与えられた級数の各項を$${ a_n }$$、比較するための既知の級数の各項を$${ b_n }$$とします。

  2. 次の極限を考えます:$${ L = \lim_{n \to \infty} \frac{a_n}{b_n} }$$

  3. もし$${ L }$$が0より大きな有限の数であれば、$${ a_n }$$の級数と$${ b_n }$$の級数は同じ性質を持ちます。つまり、$${ b_n }$$の級数が収束するならば$${ a_n }$$の級数も収束し、$${ b_n }$$の級数が発散するならば$${ a_n }$$の級数も発散します。

例:

考える級数$${ a_n = \frac{1}{n^2 + n} }$$が与えられたとします。
この時、$${ b_n = \frac{1}{n^2} }$$という級数を比較対象として考えます。
極限$${ \lim_{n \to \infty} \frac{\frac{1}{n^2 + n}}{\frac{1}{n^2}} }$$を計算すると、$${ L = 1 }$$となります。
$${ b_n }$$の級数は$${p}$$級数であり、$${p = 2 > 1}$$なので収束します。したがって、$${ L }$$が有限の正の数であるため、$${ a_n }$$の級数も収束します。

第二種比較判定法は、与えられた級数の各項と比較する級数の各項との比の極限を利用して、級数の収束性や発散性を判断する方法です。

2. はさみうちの原理

はさみうちの原理はおもに極限値を求めることに用いられるが、そのことをもって収束の判定に用いることもできる。

はさみうちの原理とは
数列 $${{a_n})、({b_n})、({c_n}}$$ が以下の条件を満たすとします。

  1. 任意の自然数 $${n}$$ に対して、$${a_n \leq b_n \leq c_n}$$ が成り立つ。

  2. $${{a_n}}$$ と $${{c_n}}$$ がともに同じ数 $${L}$$ に収束する。

この場合、$${{b_n}}$$ もまた $${L}$$ に収束します。

この原理を利用して極限の値を求めることができるとともに、数列や級数が収束するかどうかを判定することもできます。

:
例えば、$${{\sin(n)}}$$ の絶対値の数列に対して、0 と 1 の数列を使ってはさみうちをすることができます。つまり、
$${ 0 \leq |\sin(n)| \leq 1 }$$
であるため、しかし、0と1の数列はどちらも収束しないため、$${{|\sin(n)|})}$$の数列も収束しないことがわかります。

級数の場合も、部分和を考えることで同様の考え方を適用して収束性を判定することができます。

比較判定法とはさみうちの原理の違い

比較判定法とはさみうちの原理はどちらも数列や級数の収束性を判定する際に用いられる方法ですが、その考え方や応用の方法に違いがあります。

比較判定法:

  1. 主に級数の収束性を判定する際に用いられる。

  2. ある級数と、その収束性が既知の別の級数とを比較する。

  3. 比較する級数が収束するならば、当該級数も収束する。比較する級数が発散するならば、当該級数も発散する、というロジック。

  4. 例: $${ \sum \frac{1}{n^2} }$$ の収束性を判定する際に、既知の収束する級数 $${ \sum \frac{1}{n^p} }$$ $${(p > 1)}$$ と比較する。

はさみうちの原理:

  1. 主に数列の極限を求める際に用いられるが、級数にも適用可能。

  2. 2つの数列(または級数の部分和)で、目的の数列(または級数)を挟み込む。そして、この2つの数列が同じ極限に収束することを示す。

  3. 2つの数列が同じ極限値に収束する場合、挟み込まれている数列もその同じ極限値に収束すると結論される。

  4. 例: $${\lim_{n \to \infty} \frac{\sin(n)}{n}}$$ の極限を求める際に、0 と $${\frac{1}{n}}$$ の数列で挟み込む。

要するに、比較判定法は「既知の級数と比較して収束性を判定する」のに対し、はさみうちの原理は「2つの数列で目的の数列を挟み込み、その極限を特定する」方法です。


3. 根判定法

根判定法は、与えられた級数の項のn乗根の極限を計算することで、その級数の収束性や発散性を判定する方法です。

手順:

  • 与えられた級数 $${\sum a_n}$$ に対して、次の極限を考えます:
    $${ L = \lim_{n \to \infty} \sqrt[n]{|a_n|} }$$

  • この極限 $${L}$$ の値に基づいて、級数の収束性や発散性を判定します:

    • $${L < 1}$$ の場合、級数は収束します。

    • $${L > 1}$$の場合、級数は発散します。

    • $${L = 1}$$の場合、この方法では判定できません。

4. 交代級数の収束判定

交代級数は、項が正と負が交互に現れる級数のことを指します。形式的には、$${\sum (-1)^n a_n}$$のような形を持ちます。

手順:

  • 与えられた交代級数が以下の条件を満たす場合、その級数は収束します:

    1. 各項 $${a_n}$$ は非負です。

    2. $${a_{n+1} \leq a_n}$$ であり、つまり項の絶対値は単調非増加です。

    3. $${\lim_{n \to \infty} a_n = 0}$$


5. コーシーの収束判定法

コーシーの収束判定は、実数の級数に関してその収束性を判断する基準の一つです。具体的には、級数
$${ \sum_{n=1}^{\infty} a_n }$$
が収束するための必要十分条件として次の性質が挙げられます。

コーシーの収束基準:
級数 $${\sum_{n=1}^{\infty} a_n}$$ が収束するための必要十分条件は、任意の正の数 $${ \varepsilon > 0 }$$ に対して、ある自然数 $${ N }$$ が存在して、すべての $${ n > N }$$ に対して、すべての正の整数 $${ m }$$ について
$${ |a_{n+1} + a_{n+2} + \cdots + a_{n+m}| < \varepsilon }$$
が成り立つことである。

直感的には、この基準は「級数の各部分和の差(すなわち、ある一点からの項の和)が十分小さくなる」ことを意味しています。これが成り立つ場合、級数は収束すると考えられます。

この基準は、特に絶対収束しない級数(例:交代級数)の収束性を判断する際に非常に有用です。

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