ほんとかどうか分かんない話[ダイオード、トランジスタ、オペアンプ]
この記事はまだ未検証です。
Q:なぜ未完成な記事を発表するのですか?
A:ほかっとくと下書きのまま埋もれて忘れるからです。
とりわけ数式モデル部分はその出力も含めてこれからほんとかどうか調べる予定です。
エネルギーバンド理論
半導体や絶縁体のバンド構造は、エネルギーバンド理論に基づいて説明されます。エネルギーバンドは、電子が占有できるエネルギー状態の集合を表します。以下のように構成されています:
価電子帯(Valence Band):電子が結晶格子内の原子に結合している状態を表すエネルギー帯。
バンドギャップ(Band Gap):価電子帯と伝導帯の間に存在するエネルギーギャップ。電子はこのギャップを超えないと伝導帯に到達できません。
伝導帯(Conduction Band):電子が自由に移動できるエネルギー帯。
バンドギャップエネルギー E_g
バンドギャップエネルギー $${E_g}$$ は、半導体や絶縁体の価電子帯(Valence Band)と伝導帯(Conduction Band)の間に存在するエネルギー差のことを指します。これは、電子が価電子帯から伝導帯に移動するために必要な最小エネルギーです。
バンドギャップエネルギー $${ E_g }$$ は、半導体の価電子帯(Valence Band, VB)と伝導帯(Conduction Band, CB)の間のエネルギー差を表します。
$$
E_g = E_C - E_V
$$
材料特性の決定:
$${E_g}$$ の値は材料の導電特性を決定します。バンドギャップが狭い(小さい)材料は半導体、広い(大きい)材料は絶縁体として振る舞います。
光吸収:
電圧掛けてもいいし、光あててもいいよのやつ。光電変換デバイス(太陽電池、フォトダイオードなど)はこの原理。
$${E_g}$$ は光吸収特性にも影響を与えます。光(光子)のエネルギーがバンドギャップエネルギーに等しいかそれを超える場合($${ h\nu \geq E_g }$$)、光子は電子を価電子帯から伝導帯へ励起することができます。
Tauc プロット
光吸収の測定からバンドギャップエネルギーを求めるために使用される Tauc プロットの式は以下の通りです。
$$
(\alpha h\nu)^n = A(h\nu - E_g)
$$
ここで、
$${ \alpha }$$ は吸収係数
$${ h\nu }$$ は光子のエネルギー
$${ A }$$ は定数
$${ n }$$ は遷移の種類に依存(直接遷移の場合は $${ n = 1/2 }$$、間接遷移の場合は $${ n = 2 }$$)
温度依存性:
一般に、温度が上昇するとバンドギャップエネルギーはわずかに減少します。このため、高温になると半導体の導電率が増加します。
バンドギャップエネルギーは温度によって変化します。半導体材料のバンドギャップエネルギーの温度依存性は以下のように表されます。
$$
E_g(T) = E_g(0) - \frac{\alpha T^2}{T + \beta}
$$
ここで、
$${ E_g(0) }$$ は絶対零度でのバンドギャップエネルギー
$${ \alpha }$$ と $${ \beta }$$ は材料に依存する定数
$${ T }$$ は絶対温度
ボルツマン定数 (k)
ボルツマン定数 $${k}$$ は、物理学における基本定数で、熱力学と統計力学において重要な役割を果たします。ボルツマン定数はエネルギーと温度を関連付ける定数であり、次の値を持ちます:
$$
k \approx 1.38 \times 10^{-23} , \text{J/K}
$$
または、電子ボルトを用いる場合:
$$
k \approx 8.617 \times 10^{-5} , \text{eV/K}
$$
役割
熱エネルギー:ボルツマン定数は、温度に対応する平均的なエネルギーを計算するために使用されます。例えば、温度 $${T}$$ における平均的な熱エネルギーは $${kT}$$ で表されます。
統計力学:ボルツマン定数は、分子のエネルギー分布や統計的な振る舞いを記述するボルツマン分布などに使用されます。
絶対温度 (T)
絶対温度 $${T}$$ は、熱力学的な温度の尺度であり、ケルビン$${K}$$単位で表されます。絶対温度は、分子や原子の運動エネルギーと直接関係があります。
特徴
絶対零度:絶対零度$${0 K}$$は、分子運動が理論上停止する温度であり、これは絶対温度の基準点です。
エネルギー関係:温度 $${T}$$ におけるエネルギーは、ボルツマン定数を用いて $${kT}$$ で表されます。これにより、温度とエネルギーの関係が明確になります。
電子数密度
電子数密度(electron number density)は、単位体積あたりの電子の数を表します。半導体物理や物質科学において、電子数密度は重要な物理量です。電子数密度を理解することで、物質中の電子の分布や電気的性質を評価することができます。
電子数密度の定義
電子数密度 $${ n }$$ は、単位体積あたりの電子の数を表し、次のように定義されます:
$$
n = \frac{N_e}{V}
$$
ここで:
$${ n }$$ は電子数密度(単位:cm$${^{-3}}$$ など)。
$${ N_e }$$ は特定の体積 $${ V }$$ 内の電子の総数。
$${ V }$$ は体積。
半導体における電子数密度
半導体では、電子数密度は温度やドーピング濃度によって変化します。以下に、半導体における主要な電子数密度の概念を説明します。
固有キャリア密度(Intrinsic Carrier Density, $${ n_i }$$):
純粋な(ドープされていない)半導体において、熱励起によって生成される自由電子と正孔の数は等しく、これを固有キャリア密度と呼びます。
固有キャリア密度は次のように表されます:
$$
n_i = \sqrt{N_c N_v} \exp\left(-\frac{E_g}{2kT}\right)
$$
ここで:
$${ N_c }$$ は伝導帯の状態密度。
$${ N_v }$$ は価電子帯の状態密度。
$${ E_g }$$ はバンドギャップエネルギー。
$${ k }$$ はボルツマン定数。
$${ T }$$ は絶対温度。
ドーピングされた半導体:
N型半導体では、ドナー原子が導入されることで電子数密度が増加します。
P型半導体では、アクセプター原子が導入されることで正孔の数が増加しますが、これに伴い自由電子の数は減少します。
例:N型半導体の電子数密度
N型半導体では、ドナー原子が電子を提供するため、電子数密度 $${ n }$$ は次のように近似されます:
$$
n \approx N_D
$$
ここで:
$${ N_D }$$ はドナー原子の濃度(ドーピング濃度)。
例:P型半導体の電子数密度
P型半導体では、アクセプター原子が正孔を生成するため、電子数密度 $${ n }$$ は次のように近似されます:
$$
p \approx N_A
$$
ここで:
$${ N_A }$$ はアクセプター原子の濃度(ドーピング濃度)。
電子数密度の影響
電子数密度は、材料の電気的特性、特に導電率に直接影響を与えます。高い電子数密度を持つ材料は一般に高い導電率を持ち、低い電子数密度を持つ材料は低い導電率を持ちます。また、電子数密度は半導体デバイスの動作特性にも影響を与えます。
このように、電子数密度は材料の電気的特性を理解し、デバイスの設計と性能を評価する上で非常に重要な物理量です。
状態密度(Density of States, DOS)
状態密度(Density of States, DOS)は、物質中の電子が占有できるエネルギー状態の密度を示す物理量です。特定のエネルギー範囲に存在する状態の数を表し、半導体物理や固体物理学で重要な役割を果たします。以下に、状態密度について詳しく解説します。
状態密度の定義
状態密度は、エネルギー $${E}$$ における電子状態の数を示し、単位エネルギーあたりの状態数として定義されます。エネルギー $${E}$$ の状態密度 $${g(E)}$$ は次のように表されます:
$$
g(E) = \frac{dN}{dE}
$$
ここで:
$${g(E)}$$ はエネルギー $${E}$$ における状態密度(単位:状態数 / エネルギー)。
$${dN}$$ はエネルギー範囲 $${dE}$$ における状態の数。状態数。
ここでいう状態数とは、特定のエネルギー範囲内に存在できる量子状態の数を表します。
特定のエネルギー範囲内に存在できる量子状態とは、量子力学の規則に従って、粒子やシステムが占有できるエネルギー状態のことを指します。これらの状態は、量子数によって特徴付けられ、離散的または連続的なエネルギースペクトルを形成します。
各種の量子数が入力で、波動関数が関数で、その出力が状態です。
入力が離散的だと、その出力は入力の組み合わせになります。
離散的なエネルギースペクトル:
粒子が占有できるエネルギー状態が離散的な値を取る場合、特定のエネルギー範囲内には有限個の量子状態が存在します。
例えば、原子内の電子は、主量子数、方位量子数、磁気量子数、スピン量子数によって特徴付けられる離散的なエネルギー準位を占有します。
各エネルギー準位には、量子数によって決定される状態が存在し、パウリの排他律に従います。
連続的なエネルギースペクトル:
粒子が占有できるエネルギー状態が連続的な値を取る場合、特定のエネルギー範囲内には無限に多くの量子状態が存在します。
例えば、自由粒子や量子井戸内の粒子は、連続的なエネルギースペクトルを持ちます。
連続スペクトルでは、エネルギー範囲内の状態の数は無限に細かく分割されます。
状態密度は、連続スペクトルにおける単位エネルギーあたりの状態の数を表します。
量子状態は、量子数によって完全に記述されます。量子数は、量子系の対称性や保存則に関連しており、エネルギー状態の縮退度を決定します。縮退度とは、同じエネルギーを持つ状態の数を表します。
半導体における状態密度
半導体では、状態密度は価電子帯(Valence Band)と伝導帯(Conduction Band)で異なります。以下に、それぞれの状態密度を説明します。
伝導帯の状態密度
伝導帯の状態密度 $${g_c(E)}$$ は、次のように表されます:
$$
g_c(E) = \frac{1}{2\pi^2} \left( \frac{2m_e^*}{\hbar^2} \right)^{3/2} \sqrt{E - E_c}
$$
ここで:
$${g_c(E)}$$ は伝導帯の状態密度。
$${m_e^*}$$ は電子の有効質量。
$${\hbar}$$ は換算プランク定数。
$${E_c}$$ は伝導帯底のエネルギー。
価電子帯の状態密度
価電子帯の状態密度 $${g_v(E)}$$ は、次のように表されます:
$$
g_v(E) = \frac{1}{2\pi^2} \left( \frac{2m_h^*}{\hbar^2} \right)^{3/2} \sqrt{E_v - E}
$$
ここで:
$${g_v(E)}$$ は価電子帯の状態密度。
$${m_h^*}$$ は正孔の有効質量。
$${E_v}$$ は価電子帯頂のエネルギー。
固有キャリア密度と状態密度
固有キャリア密度 $${n_i}$$ は、伝導帯と価電子帯の状態密度とフェルミ分布関数を用いて計算されます。固有キャリア密度は次のように表されます:
$$
n_i = \sqrt{N_c N_v} \exp\left( -\frac{E_g}{2kT} \right)
$$
ここで:
$${N_c}$$ は伝導帯の有効状態密度。
$${N_v}$$ は価電子帯の有効状態密度。
$${E_g}$$ はバンドギャップエネルギー。
$${k}$$ はボルツマン定数。
$${T}$$ は絶対温度。
伝導帯と価電子帯の有効状態密度は次のように定義されます:
$${ N_c = 2 \left( \frac{2\pi m_e^* k T}{h^2} \right)^{3/2} }$$
$${ N_v = 2 \left( \frac{2\pi m_h^* k T}{h^2} \right)^{3/2} }$$
状態密度の役割
状態密度は、半導体の電気的および光学的特性に大きな影響を与えます。特定のエネルギー範囲での状態密度の分布は、電子が占有するエネルギー状態を決定し、これにより導電性や光吸収特性が決まります。状態密度の知識は、半導体デバイスの設計や性能予測に不可欠です。
このように、状態密度は物質中の電子のエネルギー分布を理解し、電子の挙動を予測するための重要な概念です。
状態数(Number of States)
状態数(Number of States)は、特定のエネルギー範囲に存在する電子のエネルギー状態の数を表します。状態密度(Density of States, DOS)は、エネルギー範囲あたりの状態数を示す物理量ですが、状態数自体は、具体的なエネルギー範囲に存在する全状態の総数を指します。
状態数の定義
状態数 $${ N }$$ は、エネルギー範囲 $${[E, E + dE]}$$ に存在する全ての状態の数を表します。この状態数は、状態密度 $${ g(E) }$$ を用いて次のように表されます:
$$
dN = g(E) dE
$$
ここで:
$${ dN }$$ はエネルギー範囲 $${ dE }$$ における状態数。
$${ g(E) }$$ はエネルギー $${ E }$$ における状態密度。
エネルギー範囲 $${ [E_1, E_2] }$$ における全状態数 $${ N }$$ は、状態密度を積分することで得られます:
$$
N = \int_{E_1}^{E_2} g(E) dE
$$
状態数の物理的意味
状態数は、電子が特定のエネルギー範囲内で占有できる全ての量子状態の総数を示します。これにより、物質中の電子の配置や動作を理解することができます。
半導体における状態数
半導体物理学では、伝導帯(Conduction Band)と価電子帯(Valence Band)における状態数が重要です。以下に、伝導帯と価電子帯の状態数の計算方法を示します。
伝導帯の状態数
伝導帯における状態数 $${ N_c }$$ は、伝導帯の底から特定のエネルギー $${ E_c }$$ までのエネルギー範囲に存在する状態数です:
$$
N_c = \int_{E_c}^{\infty} g_c(E) f(E) dE
$$
ここで:
$${ g_c(E) }$$ は伝導帯の状態密度。
$${ f(E) }$$ はフェルミ分布関数(温度に依存して電子の占有確率を示す)。
価電子帯の状態数
価電子帯における状態数 $${ N_v }$$ は、価電子帯の頂から特定のエネルギー $${ E_v }$$ までのエネルギー範囲に存在する状態数です:
$$
N_v = \int_{-\infty}^{E_v} g_v(E) [1 - f(E)] dE
$$
ここで:
$${ g_v(E) }$$ は価電子帯の状態密度。
$${ [1 - f(E)] }$$ は価電子帯における電子の非占有確率。
状態数の計算例
例えば、半導体の伝導帯の有効状態密度 $${ N_c }$$ を計算する場合、次のように計算されます:
$$
N_c = 2 \left( \frac{2\pi m_e^* k T}{h^2} \right)^{3/2}
$$
ここで:
$${ m_e^* }$$ は電子の有効質量。
$${ k }$$ はボルツマン定数。
$${ T }$$ は絶対温度。
$${ h }$$ はプランク定数。
この式は、伝導帯における全状態数を示し、温度や材料の特性に依存します。
まとめ
状態数は、特定のエネルギー範囲に存在する電子のエネルギー状態の総数を表し、状態密度を積分することで求められます。半導体物理において、状態数は電子の配置や電気的特性を理解するために重要な役割を果たします。
量子状態
各種の量子数が入力で、波動関数が関数で、その出力が状態です。
入力が離散的だと、その出力は入力の組み合わせになります。
量子数を入力として、波動関数を関数として扱うことで、特定の量子状態を記述することができます。具体的には、以下のように量子力学の各概念が対応します。
量子数 (Quantum Numbers)
量子数は、電子などの粒子の量子状態を特徴付ける数値です。以下の主要な量子数があります:
主量子数(n):エネルギーレベルを示します。
$${n = 1, 2, 3, \ldots}$$
方位量子数(l):軌道の形状を示します。
$${l = 0, 1, 2, \ldots, n-1}$$
磁気量子数(m_l):磁場に対する軌道の方向を示します。
$${m_l = -l, -l+1, \ldots, 0, \ldots, l-1, l}$$
スピン量子数((m_s)):スピンの方向を示します。
$${m_s = -\frac{1}{2}, +\frac{1}{2}}$$
波動関数 (Wave Function)
波動関数は、粒子の量子状態を完全に記述する関数です。波動関数 $${\psi}$$は、空間座標と時間の関数として記述され、電子の位置とエネルギーなどの情報を含んでいます。波動関数の一般形は次のように表されます:
$$
\psi(n, l, m_l, m_s; \mathbf{r}, t)
$$
ここで:
$${\mathbf{r}}$$ は位置ベクトル(空間座標)。
$${t}$$ は時間。
波動関数と量子数の関係
波動関数は、量子数をパラメータとして持ち、これらの量子数によって電子の特定の量子状態を決定します。例えば、水素原子の波動関数は次のように表されます:
$$
\psi_{n, l, m_l}(r, \theta, \phi) = R_{n, l}(r) Y_{l, m_l}(\theta, \phi)
$$
ここで:
$${R_{n, l}(r)}$$ は動径部分。
$${Y_{l, m_l}(\theta, \phi)}$$ は球面調和関数。
状態 (State)
量子状態は、量子数によって決定される波動関数の具体的な解を指します。これらの状態は、波動関数の値によって特徴付けられ、電子の空間的配置やエネルギー分布を記述します。
具体例:水素原子
水素原子の電子の量子状態は、主量子数 $${n}$$、方位量子数 $${l}$$、磁気量子数 $${m_l}$$、スピン量子数 $${m_s}$$ によって特徴付けられます。例えば、主量子数 $${n = 2}$$ の場合の波動関数は以下のようになります:
$$
\psi_{2,0,0}(r, \theta, \phi) = R_{2,0}(r) Y_{0,0}(\theta, \phi)
$$
ここで、$${R_{2,0}(r)}$$ は動径部分、$${Y_{0,0}(\theta, \phi)}$$ は球面調和関数です。
まとめ
量子数は、粒子の特定の量子状態を特徴付ける数値です。
波動関数は、これらの量子数をパラメータとして持ち、粒子の空間的配置やエネルギー分布を記述する関数です。
量子状態は、波動関数の具体的な解であり、量子数によって決定されます。
したがって、量子数が入力として与えられ、波動関数がそれに応じた関数となり、その出力が特定の量子状態を表す、という構図になります。
ダイオード
ダイオードは順方向に定電圧、定電流、あるいは直流の脈流であれば導通するが、交流電圧、交流電流は半波整流される。
ダイオードは基本的には一方向にしか導通しないし、極性が変わると導通しない。
アノード(陽極)+、プラス、PNのPの方
カソード(陰極)ー、マイナス、PNのNの方
PN
![](https://assets.st-note.com/img/1704275576305-yTjp3f5Ebs.png)
Pにプラス、Nにマイナスの電圧を掛けると電流が流れる(順方向)。
Pにマイナス、Nにプラスの電圧を掛けると電流は流れない(逆方向)。
Pにプラスの電圧を掛けると正孔が注入され、あるいはプラスとプラスで押し出され、空乏を越える。
電子はNからPに、電流はPからNに流れる。
NP
![](https://assets.st-note.com/img/1704268310558-hbte11oaKK.png)
Nにマイナス、Pにプラスの電圧が掛かると電流が流れる。
Nにプラス、Pにマイナスの電圧を掛けると電流は流れない。
言ってることはPNと同じ。
ショックレーのダイオード方程式
ショックレーのダイオード方程式は、PN接合のI-V特性(電流-電圧関係)を記述するために用いられます。この方程式は以下のように表されます:
$$
I = I_s \left( e^{\frac{V}{nV_t}} - 1 \right)
$$
ここで、
$${ I }$$ はダイオードを流れる電流です。
$${ I_s }$$ は飽和電流(または逆飽和電流)と呼ばれ、ダイオードの特性に依存する非常に小さな電流の値です。
$${ V }$$ はダイオードにかかる電圧です。
$${ n }$$ はイデアリティ係数(または品質係数)で、ダイオードによって異なりますが、一般的には 1 から 2 の間の値をとります。
$${ V_t }$$ は熱電圧で、およそ 25.85 mV (300K(約27°C)での値) です。
$${ e }$$ は自然対数の底です。
この方程式は、ダイオードの順方向バイアス時に主に適用されます。逆バイアス時には、$${ V }$$ の値が負であり、$${ I }$$ はほぼ $${ -I_s }$$ に等しくなります。
英語wikiをそのまんまもってくると
$$
I_D = I_S \left( e^{\frac{V_D}{n V_T}} - 1 \right)
$$
$${ I_D}$$ is the diode current,
$${I_S}$$ is the reverse-bias saturation current (or scale current),
$${V_D}$$ is the voltage across the diode,
$${V_T}$$ is the thermal voltage, and
$${ n }$$ is the ideality factor, also known as the quality factor or emission coefficient.
import numpy as np
import matplotlib.pyplot as plt
# ショックレーのダイオード方程式
def diode_current(V, Is, n, Vt):
return Is * (np.exp(V / (n * Vt)) - 1)
# 定数
Is = 1e-12 # 飽和電流
n = 1.5 # イデアリティ係数
Vt = 25.85e-3 # 熱電圧 (300Kでの値)
# 電圧の範囲 (0Vから1Vまで)
V = np.linspace(0, 1, 100)
# 電流の計算
I = diode_current(V, Is, n, Vt)
# 結果のプロット
plt.figure(figsize=(8, 6))
plt.plot(V, I)
plt.xlabel('Voltage (V)')
plt.ylabel('Current (A)')
plt.title('I-V Characteristics of a Diode')
plt.grid(True)
plt.show()
このコードをGoogle Colabで実行すると、指定した電圧範囲におけるダイオードのI-V特性曲線を得ることができます。プログラム内のパラメータ $${ I_s }$$, $${ n }$$, および $${ V_t }$$ は、使用する特定のダイオードに応じて調整する必要があります。
![](https://assets.st-note.com/img/1704607981639-C1cpES1VRX.png?width=800)
飽和電流
飽和電流$${ I_s }$$は、ダイオードの特性を表す重要なパラメータの一つで、ショックレーのダイオード方程式で中心的な役割を果たします。このパラメータは、ダイオードが逆方向にバイアスされた時に流れる、非常に小さな電流の値を指します。以下にその特徴と関連する数式を説明します。
飽和電流の特徴
微小な電流: 飽和電流は非常に小さく、通常はピコアンペア$${pA}$$からナノアンペア$${nA}$$の範囲です。
逆バイアス時の電流: 逆バイアス時、つまりダイオードに負の電圧がかかる時に、この微小な電流が流れます。
温度依存性: 飽和電流は温度に強く依存し、温度が上昇すると増加します。
飽和電流に関連する数式
飽和電流の値は、主にダイオードの物理的特性と温度に依存します。以下の数式は、飽和電流を理解するための基本的な関係式です。
ダイオードの物理的特性に基づく式:
$${ I_s = A \cdot q \cdot n_i^2 \cdot \left( \frac{D_p}{L_p N_A} + \frac{D_n}{L_n N_D} \right) }$$
ここで、
$${ A }$$ はダイオードの断面積
$${ q }$$ は電子の電荷
$${ n_i }$$ は固有キャリア濃度
$${ D_p, D_n }$$ はそれぞれホールと電子の拡散係数
$${ L_p, L_n }$$ はそれぞれホールと電子の拡散長
$${ N_A, N_D }$$ はそれぞれアクセプターとドナーの不純物濃度
wikiだと
$$
I_s = q A n_i^2 \left( \frac{1}{N_D} \sqrt{\frac{D_p}{\tau_p}} + \frac{1}{N_A} \sqrt{\frac{D_n}{\tau_n}} \right)
$$
$${ I_s }$$ は飽和電流
$${ q }$$ は電子の電荷
$${ A }$$ はダイオードの断面積
$${ n_i }$$ は固有キャリア濃度
$${ N_D }$$ はドナー不純物濃度
$${ N_A }$$ はアクセプター不純物濃度
$${ D_p }$$ はホールの拡散係数
$${ D_n }$$ は電子の拡散係数
$${ \tau_p }$$ はホールの寿命
$${ \tau_n }$$ は電子の寿命
を表しています。これは、半導体デバイス内のキャリアの再結合と生成のプロセスを考慮に入れた飽和電流の計算式です。
温度依存性を示す式:
飽和電流は温度に依存し、温度が上昇すると指数関数的に増加します。この温度依存性は、以下の式で近似的に表されます。
$${ I_s(T) = I_s(T_0) \cdot \left( \frac{T}{T_0} \right)^n \cdot e^{\frac{-E_g}{k} \left( \frac{1}{T} - \frac{1}{T_0} \right)} }$$
ここで、
$${ T }$$ と $${ T_0 }$$ はそれぞれ動作温度と基準温度(ケルビン単位)
$${ E_g }$$ はバンドギャップエネルギー
$${ k }$$ はボルツマン定数
$${ n }$$ は温度係数
これらの式は、ダイオードの詳細な物理的特性や温度変化に対する感度を理解するための基本となります。しかし、実際の回路設計やシミュレーションでは、特定のダイオードのデータシートや実験結果から得られた$${ I_s }$$の値が直接使用されることが一般的です。
イデアリティ係数
イデアリティ係数(または品質係数、発展係数とも呼ばれる)は、ダイオードやトランジスタなどの半導体デバイスのI-V特性(電流-電圧特性)を解析する際に重要なパラメータです。この係数は、デバイスの実際の動作が理想的な振る舞いからどれだけ逸脱しているかを示す指標として機能します。
イデアリティ係数の特徴
定義と範囲:
イデアリティ係数は、ショックレーのダイオード方程式において、熱電圧$${ V_T }$$に対する電圧$${ V }$$の比率を調整する係数として現れます。
通常、この値は 1 から 2 の間で変動します。
理想的なダイオード:
理想的なダイオードの場合、イデアリティ係数は 1 になります。これは、ダイオードの動作が完全に拡散電流によって支配されていることを意味します。
実際のダイオード:
実際のダイオードでは、イデアリティ係数は通常 1 より大きくなります。これは、再結合電流やトンネル電流など、拡散電流以外のメカニズムが影響を及ぼしていることを示します。
イデアリティ係数が 2 に近い場合、それは再結合電流が支配的であることを示します。
温度依存性:
イデアリティ係数は温度に依存することがあり、デバイスの温度が変化すると変動することがあります。
デバイス設計における重要性:
この係数は、デバイスの性能を評価し、特定のアプリケーションに適したデバイスを選択する上で重要です。
イデアリティ係数の値が大きいデバイスは、理想的な特性から逸脱していることを意味し、特定の用途には適さない可能性があります。
数式におけるイデアリティ係数
ショックレーのダイオード方程式におけるイデアリティ係数の役割は以下のように表されます:
$${ I = I_s \left( e^{\frac{V}{nV_t}} - 1 \right) }$$
ここで、
$${ n }$$ はイデアリティ係数
$${ V }$$ はダイオードにかかる電圧
$${ V_t }$$ は熱電圧
$${ I_s }$$ は飽和電流
イデアリティ係数は、ダイオードの特性をより正確に理解し、解析するために不可欠な要素です。
熱電圧
同じ電荷でもキャリアのエネルギーによって仕事の量が異なる。それを踏まえた概念が熱電圧。
特定の条件下では、熱電圧$${ V_T }$$は実質的に定数として扱うことができます。この条件とは、特に温度が一定である場合です。
熱電圧の定数としての扱い
温度依存性: 熱電圧 $${ V_T }$$ は温度 $${ T }$$ に依存しています。式 $${ V_T = \frac{kT}{q} }$$ において、ボルツマン定数 $${ k }$$ と電子の電荷 $${ q }$$ は物理的定数です。したがって、温度 $${ T }$$ が一定であれば、熱電圧も一定値をとります。
一般的な実用例: 電子工学において、多くの場合、回路やデバイスの動作は室温(約 300K)近辺で行われます。この温度範囲での熱電圧は約 26 mV となり、これは実用上ほぼ一定値と見なされます。
特定の分析では定数として扱う: 半導体デバイスの解析や設計の際には、温度が一定と仮定されることが多く、その結果として熱電圧も定数として扱われます。
重要なポイント
温度の変化に注意: しかし、温度が大きく変化する状況では、熱電圧もそれに応じて変動します。例えば、高温環境や低温環境でのデバイス動作を考慮する際には、熱電圧の変化を考慮する必要があります。
設計とシミュレーションでの利用: 実際の回路設計やシミュレーションでは、特定の温度(通常は室温)を基準として熱電圧を一定値として扱い、回路の動作を解析します。
総じて、熱電圧は温度が一定である場合には実質的に定数として扱えますが、温度が変化する場合にはその変化を考慮する必要があります。
熱電圧の特徴
定義:
熱電圧は、温度に依存する電位差を指し、半導体デバイス内のキャリア(電子やホール)のエネルギー状態に影響を与えます。これは、特に半導体デバイスが温度によって影響を受ける際に重要です。物理的意味:
熱電圧は、半導体内のキャリアが持つ熱エネルギーを電位差として表すものです。温度依存性:
熱電圧はデバイスの動作温度に依存します。
熱電圧の数式
熱電圧は次の式で計算されます。
$${ V_T = \frac{kT}{q} }$$
ここで、
$${ V_T }$$ は熱電圧
$${ k }$$ はボルツマン定数(約 $${1.38 \times 10^{-23}}$$ J/K)
$${ T }$$ は絶対温度(ケルビン単位)
$${ q }$$ は電荷の量(電子の場合は約 $${1.6 \times 10^{-19}}$$ クーロン)
例
たとえば、室温(約 300K)での熱電圧を計算すると、
$${ V_T = \frac{1.38 \times 10^{-23} \times 300}{1.6 \times 10^{-19}} }$$
となり、これは約 25.85 ミリボルト(mV)です。
重要性
熱電圧は、ダイオードやトランジスタなどの半導体デバイスのI-V特性を解析する際に不可欠です。
また、温度変化に対するデバイスの感度を理解するためにも重要です。
熱電圧の概念は、半導体物理学と電子工学の基本的な理解に役立ちます。特に、ダイオードの動作原理やトランジスタの特性を理解する上で重要な役割を果たします。
トランジスタ
エミッタ接地回路
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できること
基本的に、トランジスタ単体で可能なのは
定電圧定電流入力時の出力電流の増幅のみ。
この増幅作用をもってスイッチングにも用いられる。
交流電流入力時は入力時に定電圧のバイアスを掛けなければトランジスタのダイオード部分に半波整流される。バイアスを掛けるなどして、直流脈流なら通る。
電圧を増幅しようとする場合、出力にコレクタ抵抗を噛ませなければ出力側からとりだせない。逆に、噛ませればとりだせる。
かつコンデンサにより直流成分(定電圧、定電流分)を削除すれば交流電圧として取り出せる。
原理
NPNエミッタ接地回路の場合
エミッタにマイナスの電圧を掛け、
コレクタにプラスの電圧を掛けても電流は流れない。
この時、
エミッタにマイナスの電圧を掛けながらベースにプラスの電圧を掛けると
ベースからエミッタに電流が流れ、それを呼び水にエミッタからコレクタに電流が流れる。
ただし交流電圧の場合、ベースからエミッタ(この部分はダイオードである)半波整流されるため、正常に動作しなくなる。そのため、バイアスを掛けて入力を全て同じ極にし、直流の脈流にして入力する必要がある。
NPNの場合、
エミッタは電子を放出する。
コレクタはエミッタから放出された電子を収集する。
PNPの場合、
エミッタは正孔を放出する。
コレクタはエミッタから放出された正孔を収集する。
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ベース・エミッタ間電圧=入力電圧$${V_{BE}}$$と
コレクタ・エミッタ間電圧=出力電圧$${V_{CE}}$$
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ベース電流=入力電流$${I_B}$$
コレクタ電流=出力電流$${I_C}$$
ただし$${I_C}$$は普通トランジスタのコレクタに至るまでを流れる電流。
エミッタから出ていく電流はエミッタ電流$${ I_E = I_C + I_B }$$
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コレクタ電圧はベース電圧の影響を受ける。
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この状態でも出力電流電圧は入力電流電圧の影響を受ける。
ただし通常はコレクタ抵抗を挟む。
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エミッタ接地回路は、トランジスタの基本的な増幅回路の一つです。この回路では、トランジスタのエミッタ(E)が接地され、ベース(B)が入力信号に、コレクタ(C)が出力信号にそれぞれ接続されます。エミッタ接地回路の特徴は次の通りです:
低入力インピーダンス: この回路は、比較的低い入力インピーダンスを持っています。これは、小さな入力信号でもトランジスタを十分に駆動できることを意味します。
高出力インピーダンス: 出力インピーダンスは高く、これは回路が大きな負荷に接続される場合に有利です。
電圧増幅: エミッタ接地回路は、主に電圧の増幅に用いられます。増幅率はトランジスタの特性と回路の設計に依存します。
位相反転: 入力信号と出力信号の間には180度の位相差があります。つまり、入力信号が正のとき出力は負になり、その逆も同様です。
安定性: 一般に、エミッタ接地回路は安定しており、温度変化やトランジスタの個体差に対しても比較的影響を受けにくいです。
NPNエミッタ接地直流回路
NPN型トランジスタのエミッタ接地回路における直流電流および直流電圧に関する基本的な式は以下の通りです:
コレクタ電流 $${ I_C }$$:
$${ I_C \approx I_E }$$
コレクタ電流はほぼエミッタ電流と等しいです。実際には、コレクタ電流はエミッタ電流から小さなベース電流 $${ I_B }$$ を差し引いたもの$${I_C=I_E-I_B}$$になりますが、ベース電流はエミッタ電流に比べて非常に小さいため$${I_B<<I_E}$$、通常は無視されます。
また、直流電流増幅率$${h_{FE}}$$を用いて
$${I_C=h_{FE}I_B}$$と表され、
この微小なベース電流$${I_B}$$がコレクタ電流$${I_C}$$に変換されることを持ってバイポーラトランジスタの増幅作用という。この増幅作用をもってスイッチング作用として用いることもできる。
ベース電流 $${ I_B }$$:
$${ I_B = \frac{I_C}{h_{FE}} }$$
ベース電流はコレクタ電流をトランジスタの直流電流増幅率 $${ h_{FE} }$$(または $${ \beta }$$)で割ったものです。
エミッタ電流 $${ I_E }$$:
$${ I_E = I_C + I_B \approx I_C }$$
エミッタ電流はコレクタ電流とベース電流の和です。
直流電流増幅率$${h_{FE}}$$)
hybrid parameter forward current gain in common emitter
$${ h_{FE} = \frac{I_C}{I_B} }$$
あるいは小信号電流増幅率$${h_{fe}}$$として
$${ h_{fe} = \frac{\Delta I_C}{\Delta I_B} }$$
$${I_B}$$と$${I_C}$$が比例関係にあれば$${h_{FE}=h_{fe}}$$。そうでなければ必ずしも一致しない。
小信号電流増幅率は、主に交流信号(AC)を扱う際に重要になります。
トランジスタを用いた増幅回路では、入力信号を微小な交流信号として扱います。この微小な交流信号は、トランジスタのバイアス点(DC動作点)の周りで増幅されます。小信号電流増幅率は、このような微小な交流信号に対するトランジスタの増幅特性を表します。
具体的には、以下のような場面で小信号電流増幅率が用いられます:
増幅回路の設計:小信号電流増幅率は、増幅回路のゲイン(利得)を決定する重要な因子です。例えば、共通エミッタ増幅回路のゲインは、小信号電流増幅率と負荷抵抗の積で近似できます。
周波数応答の解析:トランジスタの小信号電流増幅率は、周波数に依存して変化します。この特性は、増幅回路の周波数応答を決定します。例えば、高周波数では小信号電流増幅率が低下し、増幅回路の利得が減少します。
帰還回路の設計:小信号電流増幅率は、帰還回路の特性を決定する上で重要な役割を果たします。例えば、負帰還増幅回路の安定性は、小信号電流増幅率と帰還量によって決まります。
カラー徹底図解 基本からわかる電子回路 単行本(ソフトカバー) – 2021/6/16高崎和之 (監修)p79
ベース-エミッタ間電圧 $${ V_{BE} }$$:
入力電圧。
一般的には約0.6Vから0.7Vで、トランジスタを順方向にバイアスするために必要な電圧です。
コレクタ-エミッタ間電圧 $${ V_{CE} }$$:
出力電圧。
$${ V_{CE} = V_{CC} - I_C \cdot R_C }$$
ここで、$${ V_{CC} }$$ は電源電圧、$${ R_C }$$ はコレクタ抵抗です。この式は、コレクタ抵抗を通過する電流によって生じる電圧降下を電源電圧から差し引いたものです。
入力インピーダンス $${ Z_{in} }$$:
$${ Z_{in} = \frac{V_{BE}}{I_B} }$$
これは、トランジスタの入力部分における小信号モデルでのインピーダンスの定義です。$${ V_{BE} }$$ はベース-エミッタ間の電圧降下であり、$${ I_B }$$ はベース電流です。
この式は、特に小信号解析において重要で、トランジスタの動作点に依存する $${ V_{BE} }$$ と $${ I_B }$$ の値を使用して、その動作点での入力インピーダンスを計算するのに用いられます。また、この方法では、トランジスタの $${h_{FE}}$$や他のパラメータに依存しない、より直接的な入力インピーダンスの見積もりを提供します。
これらの式は、トランジスタの基本動作を理解し、エミッタ接地回路を解析する際に役立ちます。ただし、実際の回路では、これらの値には多少の変動があり得ることに注意が必要です。また、これらは直流(DC)条件下でのみ適用される式です。
出力インピーダンス
NPNエミッタ接地直流回路における出力インピーダンスの計算は、入力インピーダンスとは異なります。出力インピーダンスは主にコレクター回路に依存し、以下の要素によって影響を受けます:
コレクタ抵抗 $${ R_C }$$:これは外部から接続された抵抗です。
トランジスタの内部抵抗:これはトランジスタ自体の特性によるもので、しばしば $${ r_o }$$ と表されます。
エミッタ接地回路の出力インピーダンス $${ Z_{out} }$$ は、以下のように近似的に表されることが多いです:
$${ Z_{out} = R_C || r_o }$$
ここで ( || ) は並列接続を意味します。つまり、$${ R_C }$$ と $${ r_o }$$ の並列接続によって出力インピーダンスが決まります。
この $${ r_o }$$ は、トランジスタの早期効果に関連するパラメータで、通常は数kΩから数十kΩの範囲です。直流回路においては、$${ r_o }$$ は比較的高い値を持ちますが、$${ R_C }$$ の値によっては、出力インピーダンスは大きく異なることがあります。
実際の回路設計では、これらのパラメータに基づいて出力インピーダンスを計算し、回路の要件に合わせて適切なコレクタ抵抗 $${ R_C }$$ を選択します。また、特定のアプリケーションによっては、他の要素(例えば、ロード抵抗や追加の回路要素)も出力インピーダンスに影響を与える可能性があります。
各種成り立つ成り立たない。
$${ Z_{out} = R_C }$$
$${ Z_{out} = r_o }$$
$${ Z_{out} = R_C || r_o }$$
$${ Z_{out} = R_C }$$:
直流(DC): トランジスタが飽和または遮断状態にある場合、出力インピーダンスは主に $${ R_C }$$ によって決まります。これは、トランジスタがオンまたはオフの状態にある場合に該当します。
交流(AC): 交流小信号解析において、トランジスタがアクティブ領域にある場合、出力インピーダンスは $${ R_C }$$ と $${ r_o }$$ の両方に影響されますが、$${ R_C }$$ の寄与が支配的である状況ではこの近似が使用されることがあります。
$${ Z_{out} = r_o }$$:
直流(DC): この式は直流条件では通常適用されません。$${ r_o }$$ はAC信号の解析、特に早期効果に関連する内部抵抗を考慮する際に重要です。
交流(AC): 交流小信号解析において、$${ r_o }$$ はトランジスタの内部出力抵抗を表し、特にコレクタ抵抗 $${ R_C }$$ が非常に大きい場合や省略されている場合に、出力インピーダンスを表すのに使用されます。
$${ Z_{out} = R_C || r_o }$$:
直流(DC): 直流条件下では、この式は一般的には適用されません。直流解析では、トランジスタは特定の状態(飽和、遮断、アクティブ)にあり、出力インピーダンスはその状態に依存します。例えば、トランジスタが飽和状態にある場合、出力インピーダンスは非常に低く、主に $${ R_C }$$ によって決定されます。
交流(AC): 交流小信号解析では、この式はトランジスタがアクティブ領域にある場合に適用されます。ここでは、外部のコレクタ抵抗 $${ R_C }$$ とトランジスタの内部抵抗 $${ r_o }$$ が並列に接続されていると考えられ、出力インピーダンスはこの並列接続によって決定されます。
したがって、これらの式は直流と交流の両方の条件において異なる文脈で使用されます。直流解析では、トランジスタの動作状態(飽和、遮断、アクティブ)に基づいて出力インピーダンスを考える必要があります。一方、交流解析では、小信号モデルを用いてトランジスタの動作点での出力インピーダンスを計算します。
直流でもインピーダンス
はい、業界では直流(DC)回路においても「インピーダンス」という用語を使用することがあります。ただし、厳密に言えば、「インピーダンス」は交流(AC)回路の概念であり、電圧と電流の比を表す際に、位相差も考慮に入れる必要があります。交流では、インピーダンスは複素数で表され、抵抗(レジスタンス)とリアクタンス(インダクタンスとキャパシタンスによる影響)の両方を含みます。
一方、直流回路では、電圧と電流の比は通常「抵抗」と呼ばれます。直流回路においては、インダクタンスやキャパシタンスのリアクタンスは時間に依存しないため、考慮する必要はありません。したがって、直流回路の「インピーダンス」とは、実質的には「抵抗」と同じ意味になります。
しかし、電子回路などの分野では、抵抗、インダクタンス、キャパシタンスなどが組み合わさって動作する複雑な回路を扱うことが多いため、直流回路でも総合的な「インピーダンス」という用語を使うことがあります。これは、回路の振る舞いをより包括的に記述するための便宜上の用語です。特にトランジスタなどのアクティブコンポーネントを含む回路では、直流動作点での「インピーダンス」が重要な意味を持つことがあります。
NPNエミッタ接地交流回路
NPN型トランジスタのエミッタ接地回路における交流(AC)電流および交流電圧に関する式を紹介します。これらの式は、小信号解析において使用され、トランジスタの動作を周波数に依存する信号に対して理解するのに役立ちます。
1.入力インピーダンス $${ Z_{in} }$$:
エミッタ接地回路(共通エミッタ回路)の入力インピーダンスに関して、主に以下の二つの異なる式が一般的に使用されます:
$${ Z_{in} = R_B || (β \times r_e) }$$
$${ Z_{in} = r_{\pi} }$$ または $${ Z_{in} = r_{\pi} + R_B }$$($${ R_B }$$ が接続されている場合)
これらの式は、トランジスタの小信号モデルに基づいており、異なる側面から入力インピーダンスを表しています。
式 $${ Z_{in} = R_B || (β \times r_e) }$$:
この式は、ベース抵抗 $${ R_B }$$ と、トランジスタの内部特性に基づくインピーダンス $${ β \times r_e }$$ の並列接続を考慮しています。ここで、$${ β }$$ はトランジスタの直流電流増幅率、$${ r_e }$$ はエミッタ抵抗の小信号等価値です。この式は、トランジスタの内部特性と外部の抵抗がどのように組み合わさって全体の入力インピーダンスを決定するかを示しています。
式 $${ Z_{in} = r_{\pi} }$$ または $${ Z_{in} = r_{\pi} + R_B }$$:
ここで、$${ r_{\pi} }$$ はベース-エミッタ間の小信号入力インピーダンスで、$${ r_{\pi} = \frac{β}{g_m} }$$ で表されます。この式は、トランジスタのベース-エミッタ間の小信号動作を反映しており、ベース抵抗 $${ R_B }$$ が回路に含まれている場合は、それを加算します。
どちらの式も、トランジスタの小信号モデルに基づいており、トランジスタの動作と外部回路要素の両方を考慮しています。使用する式は、回路設計の詳細や分析の目的によって異なります。たとえば、ベースに追加の抵抗が接続されていない場合は、単純に $${ r_{\pi} }$$ を使用することができます。しかし、ベース抵抗が重要な役割を果たす設計では、並列接続を考慮した式が適切です。
2.出力インピーダンス $${ Z_{out} }$$:
エミッタ接地回路(共通エミッタ回路)の出力インピーダンスに関しても、異なるアプローチで計算することができます。ここで考えられる主な式は以下の通りです:
$${ Z_{out} = R_C }$$
$${ Z_{out} = r_o }$$
$${ Z_{out} = R_C || r_o }$$
これらの式は、トランジスタの出力インピーダンスを異なる視点から表しています。
式 $${ Z_{out} = R_C }$$:
この式は、出力インピーダンスが主にコレクタ抵抗 $${ R_C }$$ によって決定されるという考え方に基づいています。このアプローチは、外部の回路要素が支配的である場合、特に適用されます。この単純化された見方は、多くの実用的な回路設計で十分な近似となり得ます。
式 $${ Z_{out} = r_o }$$:
ここで、$${ r_o }$$ はトランジスタのコレクタ-エミッタ間の小信号出力インピーダンスを表し、トランジスタの内部特性に基づきます。この式は、トランジスタ自体の内部抵抗が出力インピーダンスに大きな影響を与える場合に適用されます。$${ r_o }$$ はトランジスタの特定の特性や動作点に依存するため、正確な値を求めるにはトランジスタのデータシートや詳細な解析が必要です。
どちらの式も、特定の状況や目的に応じて適切に選択されるべきです。一般的には、回路の設計や解析の文脈でどちらのアプローチがより適切かを判断します。例えば、外部のコレクタ抵抗が大きく、トランジスタの内部抵抗の影響が小さい場合は、単純に $${ R_C }$$ を出力インピーダンスと見なすことができます。一方で、より精密な解析やトランジスタの内部特性に焦点を当てる場合は、$${ r_o }$$ を用いた計算が必要になります。
$${ Z_{out} = R_C || r_o }$$
は、エミッタ接地回路(共通エミッタ回路)の出力インピーダンスをより包括的に表すものです。この式は、外部のコレクタ抵抗 $${ R_C }$$ とトランジスタの内部出力インピーダンス $${ r_o }$$ の並列接続を考慮しています。
この式における「||」記号は並列接続を意味し、両者のインピーダンスの合計効果を示します。具体的には、並列接続された二つのインピーダンスの合計は、それぞれのインピーダンスの逆数の和の逆数で計算されます。したがって、出力インピーダンス $${ Z_{out} }$$ は次のように計算されます:
$${ Z_{out} = \frac{1}{\frac{1}{R_C} + \frac{1}{r_o}} }$$
このアプローチは、外部のコレクタ抵抗とトランジスタの内部特性の両方を考慮に入れるため、より現実的な回路条件を反映しています。特に、高周波回路設計や精密なアナログ回路設計では、このような包括的な計算方法が必要になることがあります。この式を使用することで、回路の出力インピーダンスの詳細な挙動をより正確に予測することが可能になります。
3.電圧増幅率 $${ A_V }$$:
$${ A_V = -g_m \cdot R_C }$$
あるいは
$${Av}$$:$${ Av = -\frac{R_C}{r_e} }$$
ここで、$${ g_m }$$ はトランジスタのトランスコンダクタンス(単位電流当たりの電圧変化率$${ g_m = \frac{I_C}{V_T} = \frac{1}{r_e} }$$)、$${ R_C }$$ はコレクタ抵抗です。マイナス記号は位相が180度反転することを意味します。
$${ r_e }$$ はエミッタ抵抗の小信号等価値(約 26mV/IE で近似される)です。負号は位相が180度反転することを示しています。
4.電流増幅率 $${ A_I }$$:
これはベース電流に対するコレクタ電流の比率として定義され、通常は $${ h_{fe} }$$ または $${ \beta }$$ と同等です。
これらの式は、交流信号の小信号解析においてトランジスタの動作を理解するために使用されます。トランジスタの小信号パラメータ $${ r_{\pi} }$$、$${ r_{o} }$$、$${ g_m }$$ は、トランジスタの直流動作点(バイアス点)に依存し、それによって変化します。したがって、交流解析を行う前に、まずトランジスタの適切な直流動作点を決定することが重要です。
トランジスタの内部特性
$${ r_o }$$、$${ r_e }$$、および $${ r_{\pi} }$$ はトランジスタの小信号モデルにおける重要なパラメータです。これらはトランジスタの内部動作を理解するのに役立ち、特に小信号解析において重要です。
$${ r_o }$$(出力抵抗):
$${ r_o }$$ はトランジスタのコレクタとエミッタ間の小信号出力抵抗です。これはトランジスタがどれだけの負荷変化に対して出力電圧を一定に保つ能力を持っているかを示します。$${ r_o }$$ の値は通常、トランジスタのコレクタ電流 $${ I_C }$$ と初期コレクタ-エミッタ電圧 $${ V_{CE} }$$ に依存し、高い$${ I_C }$$ で低くなります。
$${ r_e }$$(エミッタ抵抗の小信号等価値):
$${ r_e }$$ はエミッタ抵抗の小信号等価値で、エミッタ端子での電流と電圧の関係を表します。一般的には、$${ r_e \approx \frac{26mV}{I_E} }$$($${ I_E }$$ はエミッタ電流)で近似されます。この値はエミッタ電流 $${ I_E }$$ に依存し、エミッタ電流が増加すると $${ r_e }$$ は減少します。
$${ r_{\pi} }$$(ベース抵抗の小信号等価値):
$${ r_{\pi} }$$ はベースとエミッタ間の小信号入力抵抗で、ベース電流とベース-エミッタ電圧の変化の比率を表します。$${ r_{\pi} }$$ は $${ r_{\pi} = \frac{\beta}{g_m} }$$($${ \beta }$$ は電流増幅率、$${ g_m }$$ はトランスコンダクタンス)で計算されます。$${ r_{\pi} }$$ の値はトランジスタの電流増幅率 $${ \beta }$$ に依存し、$${ \beta }$$ が高いほど $${ r_{\pi} }$$ も大きくなります。
これらのパラメータは、トランジスタを使用した回路の設計と解析において非常に重要です。特に、小信号モデルではこれらの値がトランジスタの周波数応答、増幅特性、およびインピーダンス特性を理解するために利用されます。各パラメータは、トランジスタがどのように信号を増幅し、どのように負荷や他の回路要素と相互作用するかを示すため、アンプ設計、オーディオシステム、無線通信機器など、さまざまな電子回路設計において重要です。
ベース接地回路
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ベース接地回路(またはベース接地増幅器)は、トランジスタの基本的な増幅回路の一つです。この回路では、トランジスタのベース(B)が接地され、エミッタ(E)が入力信号に、コレクタ(C)が出力信号にそれぞれ接続されます。ベース接地回路の特徴は以下の通りです:
高入力インピーダンス: ベース接地回路は非常に高い入力インピーダンスを持っています。これは、高インピーダンスの信号源からの信号を受け取るのに適していることを意味します。
低出力インピーダンス: 出力インピーダンスは低いため、低インピーダンスの負荷に接続するのに適しています。
電流増幅: この回路は主に電流の増幅に用いられます。電圧増幅率は比較的低いです。
位相変化なし: 入力信号と出力信号の間には位相差がない、つまり位相が反転しません。
周波数応答: 高い入力インピーダンスのため、高周波数での応答が良好です。
応用分野: RF(無線周波数)アンプ、バッファアンプ、インピーダンス変換など、特に高周波数での用途に適しています。
ベース接地回路は、その特性から特定のアプリケーションに適していますが、全ての用途に適しているわけではありません。例えば、高い電圧増幅が必要な場合や、位相反転が必要な場合には他の回路構成が選ばれることが一般的です。
電流増幅率 $${Ai}$$:
$${ Ai = -\alpha }$$
ここで、$${ \alpha }$$ はトランジスタの電流利得(コレクタ電流とエミッタ電流の比)です。負号は位相が180度反転することを示しています。入力インピーダンス $${Z_{in}}$$:
$${ Z_{in} = \frac{1}{g_m} }$$
$${ g_m }$$ はトランジスタの変換コンダクタンス(transconductance)、つまり $${ I_C }$$ に対する $${ V_BE }$$ の変化率です。出力インピーダンス $${Z_{out}}$$:
$${ Z_{out} = \frac{1}{g_m} + R_E }$$
$${ R_E }$$ はエミッタ抵抗です。電圧増幅率 $${Av}$$:
$${ Av = g_m \times R_L }$$
ここで $${ R_L }$$ は負荷抵抗です。
これらの式は、ベース接地回路の基本的な特性を計算する際に使用されます。実際の回路設計では、これらのパラメーターに加えて、電源電圧、トランジスタの特性、その他の要因も考慮する必要があります。ベース接地回路は高い入力インピーダンスと低い出力インピーダンスを持つため、特に高周波数のアプリケーションで有用です。
コレクタ接地回路(エミッタフォロワー)
![](https://assets.st-note.com/img/1705273795980-CpX8DCRu0y.png)
コレクタ接地回路(またはコレクタ接地増幅器)は、トランジスタの3つの基本的な増幅回路の一つです。この回路では、トランジスタのコレクタ(C)が接地され、ベース(B)が入力信号に、エミッタ(E)が出力信号にそれぞれ接続されます。コレクタ接地回路の特徴は以下の通りです:
高入力インピーダンス: コレクタ接地回路は高い入力インピーダンスを持っており、これは高インピーダンスの信号源に適しています。
高出力インピーダンス: 出力インピーダンスも高く、これは特定のアプリケーションで便利ですが、一般的にはバッファ段やインピーダンスマッチングのために使用されます。
電流増幅: この回路は電流の増幅に用いられますが、電圧増幅はほとんどありません。電流増幅率は約1です。
位相変化なし: 入力信号と出力信号の間には位相差がありません。
応用分野: この回路は主にバッファやインピーダンスマッチングに使用されます。また、高周波数のアプリケーションにも適しています。
コレクタ接地回路は、その独特の特性から、特定のアプリケーションに非常に適しています。しかし、全てのアプリケーションに適しているわけではなく、例えば大きな電圧増幅を必要とする場合には他の回路構成が選ばれることが一般的です。
電圧増幅率 $${Av}$$:
$${ Av = \frac{R_E}{R_E + r_e} }$$
ここで、$${ R_E }$$ はエミッタ抵抗、$${ r_e }$$ はエミッタ抵抗の小信号等価値です($${ r_e \approx \frac{26mV}{I_E} }$$ で近似されます)。コレクタ接地回路の電圧増幅率は1に近く、通常は少し小さい値です。入力インピーダンス $${Z_{in}}$$:
$${ Z_{in} = (β + 1) \times R_E }$$
ここで、$${ β }$$ はトランジスタの電流増幅率です。この高い入力インピーダンスは、エミッタフォロワーの重要な特徴です。出力インピーダンス $${Z_{out}}$$:
$${ Z_{out} = \frac{R_E}{β + 1} }$$
この低い出力インピーダンスは、エミッタフォロワーをバッファとして理想的にします。
これらの式は、コレクタ接地回路の基本的な特性を計算する際に使用されます。実際の回路設計では、これらのパラメーターに加えて、電源電圧、トランジスタの特性、その他の要因も考慮する必要があります。エミッタフォロワーは、高入力インピーダンスと低出力インピーダンスのために、信号を次の段に伝える際のバッファとして非常に有用です。
増幅率・利得・ゲイン
線形動作範囲において、
出力は入力の定数倍であって、
出力は入力の波形を模倣する。
ただしエミッタ接地回路は位相が反転する。
線形動作範囲: トランジスタが線形動作範囲(アクティブ領域)内で動作している場合、出力信号は入力信号の定数倍になります。この定数はトランジスタの電圧利得(ゲイン)に相当します。
非線形動作範囲: トランジスタが飽和領域や遮断領域で動作している場合、出力は入力の単純な定数倍ではなくなります。これはトランジスタが非線形に動作しているためです。
Ebers-Mollモデル
Ebers-Mollモデルは、バイポーラトランジスタの動作を理解するための重要なモデルです。このモデルは、トランジスタの内部動作を表現するために二つの対向するダイオードを使用しています。Ebers-Mollモデルは、トランジスタの三つの端子(エミッタ、ベース、コレクタ)間の関係を詳細に説明するもので、以下の主要な特徴を持っています:
二つのダイオードモデル: Ebers-Mollモデルでは、トランジスタはエミッタとベース間、およびベースとコレクタ間の二つのダイオードとしてモデル化されます。これは、トランジスタのPN接合の動作を理解するのに役立ちます。
アクティブ領域の動作: このモデルは、トランジスタがアクティブ領域で動作する際の振る舞いを捉えます。アクティブ領域では、エミッタとベース間のダイオードは順方向にバイアスされ、ベースとコレクタ間のダイオードは逆方向にバイアスされます。
数学的式: Ebers-Mollモデルは、トランジスタのI-V特性を記述するために数学的な式を提供します。これにより、エミッタ、ベース、コレクタ間の電流と電圧の関係が定量的に理解できます。
飽和領域と遮断領域: このモデルは、トランジスタが飽和領域(両PN接合が順方向にバイアスされる領域)や遮断領域(両PN接合が逆方向にバイアスされる領域)での動作も説明しています。
Ebers-Mollモデルは、トランジスタの動作を解析する際の基本的なツールであり、電子工学の分野で広く利用されています。このモデルは、トランジスタの物理的な動作をより深く理解するための出発点として重要ですが、実際の回路設計やシミュレーションでは、より複雑なモデルや数値シミュレーションが使用されることもあります。
Ebers-Mollモデルの方程式
Ebers-Mollモデルでは、トランジスタは二つの対向するダイオードとして表現されます。以下の方程式は、トランジスタのアクティブ領域でのコレクタ電流 $${ I_C }$$ とエミッタ電流 $${ I_E }$$ を表します:
$${ I_C = I_S (e^{\frac{V_{BE}}{V_T}} - 1) - \alpha_R I_S (e^{\frac{V_{BC}}{V_T}} - 1) }$$
$${ I_E = \alpha_F I_S (e^{\frac{V_{BE}}{V_T}} - 1) - I_S (e^{\frac{V_{BC}}{V_T}} - 1) }$$
ここで、
$${ I_S }$$ は飽和電流(トランジスタ固有の小さな電流値)
$${ V_{BE} }$$ はベース・エミッタ間電圧
$${ V_{BC} }$$ はベース・コレクタ間電圧
$${ V_T }$$ は熱電圧(約 26mV)
$${ \alpha_F }$$ はフォワード電流増幅係数
$${ \alpha_R }$$ はリバース電流増幅係数
Pythonプログラムの実装
以下のPythonプログラムは、Ebers-Mollモデルを使用して、特定のベース・エミッタ間電圧 $${ V_{BE} }$$ に対するコレクタ電流 $${ I_C }$$ を計算し、プロットします。このプログラムは、Google Colabや任意のPython環境で実行することができます。
import numpy as np
import matplotlib.pyplot as plt
# Constants
V_T = 0.026 # Thermal voltage at room temperature (26mV)
I_S = 1e-16 # Saturation current (example value)
alpha_F = 0.99 # Forward current gain (example value)
alpha_R = 0.5 # Reverse current gain (example value)
# Base-emitter voltage range for the plot
V_BE = np.linspace(0, 0.7, 100) # 0 to 0.7 volts
# Assume V_BC is 0 for simplicity (no reverse bias)
V_BC = 0
# Calculate collector current I_C using the Ebers-Moll equations
I_C = I_S * (np.exp(V_BE / V_T) - 1) - alpha_R * I_S * (np.exp(V_BC / V_T) - 1)
# Plotting the output characteristic curve
plt.figure(figsize=(10, 5))
plt.plot(V_BE, I_C*1e6) # Plotting I_C in microamperes
plt.xlabel('$V_{BE}$ [V]')
plt.ylabel('$I_C$ [μA]')
plt.title('Collector Current vs. Base-Emitter Voltage')
plt.grid(True)
plt.show()
![](https://assets.st-note.com/img/1704631516689-Qv6aOANZwy.png?width=800)
このプログラムは、ベース・エミッタ間電圧 $${ V_{BE} }$$ の範囲に対してコレクタ電流 $${ I_C }$$ を計算し、結果をプロットします。$${ V_{BC} }$$ は単純化のために0と仮定されていますが、これは一般的にリバースバイアスがかかっていない状態を意味します。
プロットは、ベースエミッタ間電圧 $${ V_{BE} }$$ とコレクタ電流 $${ I_C }$$ の関係を示します。実際のトランジスタのパラメータに基づいて $${ I_S }$$、$${ \alpha_F }$$、$${ \alpha_R }$$ の値を調整することができます。
Gummel-Poonモデル
Gummel-PoonモデルはEbers-Mollモデルに基づいており、トランジスタの非直線性、周波数依存性、および温度依存性をより詳細に取り扱うことができます。Gummel-Poonモデルは、Ebers-Mollモデルの基本的な方程式に、チャージストレージ効果、早期効果、およびその他の高度な特性を考慮した項を追加しています。
Gummel-Poonモデルの方程式
Gummel-Poonモデルの基本方程式は次のようになります:
$${ I_C = I_S \left(\frac{e^{V_{BE}/V_T}}{1 + \frac{V_{CE}}{V_A}} - e^{V_{BC}/V_T}\right) }$$
$${ I_B = I_{SE} \left(e^{V_{BE}/(N V_T)} - 1\right) + I_{SC} \left(e^{V_{BC}/(N V_T)} - 1\right) }$$
ここで、
$${ I_C }$$ はコレクタ電流
$${ I_B }$$ はベース電流
$${ I_S }$$ は飽和電流
$${ I_{SE} }$$ と $${ I_{SC} }$$ はエミッタとコレクタの飽和電流
$${ V_{BE} }$$ はベース・エミッタ間電圧
$${ V_{BC} }$$ はベース・コレクタ間電圧
$${ V_{CE} }$$ はコレクタ・エミッタ間電圧
$${ V_T }$$ は熱電圧
$${ V_A }$$ は早期電圧(早期効果を表す)
$${ N }$$ は発射効率因子
Pythonプログラムの実装
以下に、Gummel-Poonモデルの基本的な実装を示します。この実装は非常に基本的なものであり、全てのGummel-Poonパラメータをカバーしているわけではありませんが、コレクタ電流とベース電流の関係を計算する出発点となります。
import numpy as np
import matplotlib.pyplot as plt
# Constants for the Gummel-Poon model
V_T = 0.026 # Thermal voltage at room temperature (26mV)
I_S = 1e-16 # Saturation current (example value)
I_SE = I_S # Emitter saturation current (example value)
I_SC = I_S # Collector saturation current (example value)
V_A = 100 # Early voltage (example value)
N = 1 # Emission coefficient (example value)
# Define the range of V_BE and V_CE
V_BE = np.linspace(0, 0.7, 100) # Base-Emitter voltage range
V_CE = np.linspace(0, 5, 100) # Collector-Emitter voltage range
# Create meshgrid for V_BE and V_CE
V_BE_grid, V_CE_grid = np.meshgrid(V_BE, V_CE)
# Calculate I_C using the Gummel-Poon equations
I_C = I_S * (np.exp(V_BE_grid / V_T) / (1 + V_CE_grid / V_A) - np.exp(-V_CE_grid / V_T))
# Calculate I_B using the Gummel-Poon equations
I_B = I_SE * (np.exp(V_BE_grid / (N * V_T)) - 1) + I_SC * (np.exp(-V_CE_grid / (N * V_T)) - 1)
# Plotting the output characteristic curve
plt.figure(figsize=(10, 5))
plt.contourf(V_BE_grid, V_CE_grid, I_C * 1e6, levels=50, cmap='viridis')
plt.colorbar(label='Collector Current (μA)')
plt.xlabel('$V_{BE}$ [V]')
plt.ylabel('$V_{CE}$ [V]')
plt.title('Collector Current vs. Base-Emitter and Collector-Emitter Voltages')
plt.grid(True)
plt.show()
![](https://assets.st-note.com/img/1704632376845-KtPBcUQf8g.png?width=800)
このプログラムは、$${ V_{BE} }$$ と $${ V_{CE} }$$ の異なる値に対するコレクタ電流 $${ I_C }$$ を計算し、等高線図でプロットしています。実際のトランジスタの特性に合わせて $${ I_S }$$、$${ I_{SE} }$$、$${ I_{SC} }$$、$${ V_A }$$、$${ N }$$ の値を調整する必要があります。また、このプログラムは基本的なモデルであり、全てのGummel-Poonパラメータを含んでいないことに注意してください。実際のシミュレーションや解析には、より多くのパラメータと高度なモデルが必要になる場合があります。
オペアンプ
主にトランジスタの組み合わせで内部回路が構成される差動増幅回路である。
オペアンプ(オペレーショナルアンプリファイア)に関連する主要な数式を以下に列挙します。これらの数式はオペアンプの基本的な動作原理と応用を理解するのに役立ちます。
オープンループ利得(Open-loop gain):
$${ A_{OL} = \frac{V_{out}}{V_{in}} }$$
ここで、$${ A_{OL} }$$ はオープンループ利得、$${ V_{out} }$$ は出力電圧、$${ V_{in} }$$ は入力電圧です。クローズドループ利得(Closed-loop gain)- 非反転アンプの場合:
$${ A_{CL} = 1 + \frac{R_f}{R_{in}} }$$
ここで、$${ R_f }$$ はフィードバック抵抗、$${ R_{in} }$$ は入力抵抗です。クローズドループ利得(Closed-loop gain)- 反転アンプの場合:
$${ A_{CL} = -\frac{R_f}{R_{in}} }$$入力インピーダンス(非反転アンプの場合):
オペアンプの入力インピーダンスは非常に高いため、非反転アンプではほぼ無限大と見なせます。入力インピーダンス(反転アンプの場合):
反転アンプの場合、入力インピーダンスは $${ R_{in} }$$ に等しいです。出力インピーダンス:
オペアンプの出力インピーダンスは非常に低いですが、特定の応用では考慮する必要があります。周波数応答と帯域幅制限:
$${ f_{c} = \frac{f_{unity}}{A_{CL}} }$$
ここで、$${ f_{c} }$$ はカットオフ周波数、$${ f_{unity} }$$ は1の利得での周波数応答(ユニティゲイン周波数)です。オフセット電圧の補正:
オペアンプには入力オフセット電圧が存在することがあり、特定の応用ではこれを補正するための回路が必要です。
増幅回路
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