コイルとコンデンサ

元記事



オイラーの公式

オイラーの公式は複素数の指数関数を三角関数で表すための式です。この公式は次のように表されます:

$$
e^{i\theta} = \cos(\theta) + i\sin(\theta) 
$$

ここで、

  • $${ e }$$ は自然対数の底。

  • $${ i }$$ は虚数単位($${ i^2 = -1 }$$)。

  • $${ \theta }$$ は角度(ラジアン単位)です。

オイラーの公式を使用して交流電圧や交流電流を表現することができます。交流電圧や電流は通常、正弦波形を持ち、次のように表されます:

  • 電圧: $${ V(t) = V_0 \sin(\omega t + \phi) }$$

  • 電流: $${ I(t) = I_0 \sin(\omega t + \psi) }$$

ここで、

  • $${ V_0 }$$ と $${ I_0 }$$ は電圧と電流の振幅、

  • $${ \omega }$$ は角周波数($${ \omega = 2\pi f }$$、$${ f }$$ は周波数)、

  • $${ \phi }$$ と $${ \psi }$$ は位相角です。

オイラーの公式を使用すると、これらの正弦波形を複素数の形で表すことができます:

  • 電圧: $${ V(t) = V_0 e^{i(\omega t + \phi)} = V_0 (\cos(\omega t + \phi) + i\sin(\omega t + \phi)) }$$

  • 電流: $${ I(t) = I_0 e^{i(\omega t + \psi)} = I_0 (\cos(\omega t + \psi) + i\sin(\omega t + \psi)) }$$

この複素数の形式は、交流回路の解析において非常に便利です。位相差、インピーダンス、電力などを計算する際に、複素数の代数的特性を利用することで、計算が簡単になります。ただし、物理的に測定可能な実際の電圧や電流は、これらの複素数表現の実部または虚部に相当します。通常、電圧や電流の振幅として実効値(RMS値)が使用されます。

微分

交流電圧

複素数の形式で表された交流電圧 $${ V(t) = V_0 e^{i(\omega t + \phi)} }$$ を時間 $${ t }$$ に関して微分すると、次のようになります。

微分する式:
$${ V(t) = V_0 e^{i(\omega t + \phi)} }$$

微分の実行:
$${ \frac{dV}{dt} = \frac{d}{dt} (V_0 e^{i(\omega t + \phi)}) }$$

計算すると:
$${ \frac{dV}{dt} = V_0 i\omega e^{i(\omega t + \phi)} }$$

交流電流

式 $${ I(t) = I_0 e^{i(\omega t + \psi)} }$$ を時間 $${ t }$$ に関して微分すると、次の結果が得られます:

$${ \frac{dI}{dt} = i I_0 \omega e^{i(\omega t + \psi)} }$$


インダクタ

$$
v(t) = L \frac{d i(t)}{d t}\\
v(t)d t = L d i(t)\\
i(t) = \frac{1}{L} \int v(t) dt
$$

$$
v(t) = L \frac{\Delta i(t)}{\Delta t}\\
v(t)\Delta t = L \Delta i(t)\\
i(t) = \frac{1}{L} \int v(t) dt
$$

上記3式は交流回路で用いるオームの法則に対応する式。
コイルの場合直流というか変化の無い(脈流でない)定流ならば$${v(t) = L \frac{d i(t)}{d t}=0}$$である。この場合コイルは短絡。つまりその場にコイルは存在しないも同じであって、電流はなんら抵抗を受けることなくそのまま流れる。
電圧と電流は比例係数L(インダクタンス)にて繋がる。

状況によって$${(t)}$$がなかったり$${\Delta}$$じゃなくて$${d}$$だったり、みんな好き勝手使う。

コイルやコンデンサは電磁気的な影響で抵抗が発生する感があるため、逆起電力と呼ばれるが、線形素子の抵抗であっても逆起電力と呼ぶことはあり、これはつまり逆起電力=電圧降下である。

p6
電気学会大学講座 アナログ電子回路: 半導体デバイスとその応用技術 単行本 – 2022/8/26落合 政司 (著)


コイルの逆起電力の場合
電験三種 やさしく学ぶ理論(改訂じゃないやつ) 
早川 義晴 (著)p185

$$
e=-L\frac{\Delta I}{\Delta t}[V]
$$

電験二種徹底マスター 理論(改訂2版) 単行本(ソフトカバー) – 2018/7/25
飯田芳一 (著)p97

$$
e_L=L\frac{di_L}{dt}
$$

例題で学ぶ はじめての電源回路 単行本(ソフトカバー) – 2017/11/25
柿ヶ野 浩明 (著)p30

$$
v=L\frac{di}{dt}[V]
$$

Lに交流電圧$${E(t)}$$が加わると、電磁誘導による起電力(電圧)を生じながら電流$${I(t)}$$が流れます。
例題で学ぶ はじめての電気電子工学 単行本(ソフトカバー) – 2019/7/1
臼田 昭司 (著), 伊藤 敏 (著), 井上 祥史 (著)p150

$$
E(t)=L\frac{dI(t)}{dt}=E_m \sin \omega t
$$

ベクトル・複素数的な用途と過渡応答で表記を使い分けておられる。
電子回路設計のための電気/無線数学: 回路計算の基礎からマクスウェルの方程式まで (RFデザイン・シリーズ) 単行本 – 2008/5/1
石井 聡 (著)p67p135p222

$$
\dot V=L\frac{d\dot I}{dt}\\
v_{coil}(t)=L\frac{di(t)}{dt}\\
V_{coil}=L\frac{dI}{dt}
$$

電流$${I}$$を増加すると、発生電圧はこれを妨げるように抵抗と同じ向きになる
回路理論基礎 (電気学会大学講座) 単行本 – 1986/9/1
柳沢 健 (著)p24

$$
V(t)=L\frac{dI(t)}{dt}
$$

電流が変わると磁束が変化し、回路には電流の変化を妨げる方向の逆起電力を誘導する
電気・電子工学の基礎 単行本 – 1982/10/1
島谷 信 (著)p39

$$
e_L=-\frac{d\phi_0}{dt}=-L\frac{di_1}{dt}
$$

電気工学概論 監修 鳳誠三郎 著 青木正喜p24

$$
e_L=N_1\frac{\Delta \phi}{\Delta t}=L\frac{\Delta i_1}{\Delta t}
$$

電気回路 単行本 – 1992/10/1
川村 雅恭 (著)p21
Lに誘起される起電力$${v_L}$$はファラデーの法則から

$$
v_L=-L\frac{di}{dt}
$$

$$
v=L\frac{di}{dt}
$$

電磁気学 物理学 [分冊版] 単行本 – 1997/11/20
小出 昭一郎 (著)p64

$$
V=-L\frac{dI}{dt}
$$

コイルに電流$${i(t)}$$が流れている時の誘導起電力
電磁気学 (電気・電子系教科書シリーズ 2) 単行本 – 2004/12/1
多田 泰芳 (著), 柴田 尚志 (著)p159

$$
v_e=-L\frac{di}{dt}
$$

磁束が変化すると、電磁誘導による起電力が、その電流が流れる回路にも生じることになる
電磁気学 II-変動する電磁場 (物理入門コース 新装版) Kindle版
長岡 洋介 (著)

$$
\phi_{em}=-\frac{d\phi}{dt}=-L\frac{dI}{dt}
$$

自己インダクタンスを使って電磁誘導の法則を表すと
電磁気学 基礎物理学シリーズ (講談社基礎物理学シリーズ) Kindle版
横山順一 (著)p115

$$
V=-\frac{d\phi}{dt}=-L\frac{dI(t)}{dt}
$$

電流$${I}$$が時間変化すれば誘導起電力より……このときの起電力を特に逆起電力とよぶこともある
マクスウェル方程式から始める電磁気学 Kindle版
小宮山 進 (著), 竹川 敦 (著)p206

$$
\epsilon=-L\frac{dI}{dt}
$$



また

$$
\phi = LI
$$

であって、磁束と電流は比例係数L(インダクタンス)にて繋がる。
あるいは時間変化を強調して

$$
\phi = Li(t)
$$

インダクタはコイル。コイルは時間的に変化する電流を流すと、コイルの両端に電位差を生ずる。すなわち電圧が発生する。Lはその時の比例係数であり、インダクタンスと呼ばれる。単位はヘンリー[H]。
電流が毎秒1Aの割合で増加する時、コイルの両端に1Vの電位差を生じさせるインダクタンスを1H。

これはそのまま、交流電流に対する抵抗成分となる。回路中にコイルがあると、交流電流は流しにくくなる。逆に、既に流れている交流電流は止めにくくなる。

電流が時間的に変化しない場合、すなわち直流回路(定電流)の場合、電工2種や1種の範囲の電気回路の場合。$${v=di/dt=0}$$。ゆえにコイルの両端に電位差は生じない。電位差が生じないとは、そこに抵抗が何もない、すなわちただの導線であるということである。

この範囲において、コイルはただのグルグル巻いただけの導線。このことを、直流回路においてインダクタは短絡して扱う、という。

オームの法則

ファラデーの電磁誘導の法則 $${ V = -L \frac{dI}{dt} }$$ に誘導性リアクタンス $${ X_L = \omega L }$$ の式を代入してオームの法則まで変形することは可能です。ただし、これは交流回路での状況に限定されます。

まず、ファラデーの法則における電圧 $${ V }$$ と誘導性リアクタンス $${ X_L }$$ を関連付けましょう。交流回路において、電流 $${ I }$$ が $${ I = I_0 \sin(\omega t) }$$ (ここで $${ I_0 }$$ は最大電流)と仮定します。時間に対する微分 $${ \frac{dI}{dt} }$$ は $${ \omega I_0 \cos(\omega t) }$$ となります。

これは複素数で表現される交流電流から有効成分(複素数実部)をとりだしたものです。

次に、ファラデーの法則にこれを代入します:

$${ V = -L (\omega I_0 \cos(\omega t)) }$$

ここで、誘導性リアクタンス $${ X_L = \omega L }$$ を使用すると、

$${ V = -X_L I_0 \cos(\omega t) }$$

交流回路における瞬時電圧と電流の関係は、オームの法則 $${ V = I R }$$ に似ていますが、誘導性リアクタンスが抵抗 $${ R }$$ の代わりになります。したがって、交流の場合のオームの法則は次のように表されます:

$${ V = I X_L }$$

ただし、この式は瞬時値ではなく、実効値を表すときに使われることが一般的です。実効値においては、電圧と電流の最大値はそれぞれの実効値の $${\sqrt{2}}$$ 倍となります。そのため、交流回路におけるオームの法則の一般的な形は次のようになります:

$${ V_{rms} = I_{rms} X_L }$$

ここで、

  • $${ V_{rms} }$$ は電圧の実効値

  • $${ I_{rms} }$$ は電流の実効値

  • $${ X_L }$$ は誘導性リアクタンスです。

電流の式が虚部(無効成分)込みの場合。式は

$$
I(t) = I_0 e^{i(\omega t + \psi)}
$$

および

$$
\frac{dI}{dt} = i I_0 \omega e^{i(\omega t + \psi)}
$$

となります。 $${ V = -L \frac{dI}{dt} }$$から

$$
V=-L(i I_0 \omega e^{i(\omega t + \psi)})
$$

$${X_L=\omega L}$$を代入すると

$$
V=-X_LI_0e^{i(\omega t + \psi)}
$$

この式から実部を取り出すとオームの法則です。


自己インダクタンスと相互インダクタンス

自己インダクタンスは、電気回路における重要な概念の一つです。この現象は、あるコイルが流れる電流の変化に応じてそのコイル自身に起電力(電圧)を誘導する性質を指します。自己インダクタンスの主なポイントを以下に説明します:

  1. 原理:自己インダクタンスは、ファラデーの電磁誘導の法則に基づいています。コイルを流れる電流が変化すると、コイルに磁場が生成されます。この磁場の変化が、コイル内に電圧を誘導します。

  2. インダクタンスの単位:自己インダクタンスの単位はヘンリー$${H}$$です。1ヘンリーのインダクタンスは、1アンペア/秒の電流の変化が1ボルトの起電力を生じさせる時のインダクタンスを意味します。

  3. 影響要因:コイルの自己インダクタンスは、その形状、巻き数、コアの材質などに依存します。コイルが密に巻かれているほど、またコアが磁性材料であるほど、インダクタンスは高くなります。

  4. 応用:自己インダクタンスは、トランスフォーマー、電磁石、インダクタ、無線通信機器など多くの電気機器において重要な役割を果たします。

  5. レンツの法則:自己誘導によって生じる起電力は、その原因である電流の変化を妨げる方向に作用します。これはレンツの法則として知られています。

相互インダクタンスは電磁気学の一分野であり、二つの電気回路がどのように相互に影響を及ぼすかを記述します。この現象は、一つの回路での電流の変化が別の回路に電圧を誘導することによって表れます。以下に相互インダクタンスの重要な点を説明します。

原理

  • ファラデーの電磁誘導の法則に基づいています。一つのコイル(プライマリコイル)を流れる電流が変化すると、それによって生成される磁場も変化します。この変化する磁場が、別のコイル(セカンダリコイル)に作用し、そこに起電力を誘導します。

数式

  • 相互インダクタンスの公式は次のように表されます:$${ V_2 = -M \frac{dI_1}{dt} }$$
    ここで、

    • $${ V_2 }$$ はセカンダリコイルに誘導される起電力です。

    • $${ M }$$ は相互インダクタンスの係数です。

    • $${ \frac{dI_1}{dt} }$$ はプライマリコイルの電流の時間に対する変化率です。

特徴

  • 相互インダクタンスは、コイル間の距離、その相対的な位置、コイルの巻き数、コアの材質などに依存します。

  • プライマリとセカンダリコイルの相互インダクタンスは同じです(つまり、$${ M_{12} = M_{21} }$$)。

応用

  • トランスフォーマー:電力の伝送において、電圧を上げたり下げたりするのに使われます。

  • 無線通信機器:アンテナ設計において重要な役割を果たします。

  • 誘導加熱:金属の加熱に使われる工業的な応用です。

相互インダクタンスは、エネルギーの伝送と変換において重要な概念であり、多くの電気工学および電子工学のアプリケーションで基本的な役割を果たしています。

電磁誘導

コイルに対して時間に伴って変化する電流を流す
→電流による磁場が発生する(アンペール則)
→電流が変化すると磁束も変化する(自己インダクタンスによって)
→変化した磁束を打ち消すような誘導起電力が発生する(交流電流の抵抗成分)

また、電圧(誘導起電力)と磁束に関して、コイルの巻数Nで繋がる。

電流の流れる向きとしての情報、マイナス符号が追加されていることに注意を要する。(レンツの法則)
そういう意味では回路で用いる式とは微妙にニュアンスが異なる。

回路で用いる最上段の式が圧制を強いる帝国なら、下記の式は反乱軍である。

$$
v(t) = -L \frac{\Delta i(t)}{\Delta t} = -N \frac{\Delta \phi}{\Delta t}
$$

両辺積分。(上の方のΦ=LIと一緒)

$$
N \phi = L i(t)
$$

時間的に変化する電流は時間的に変化する磁束と比例する。
ΦはΦ(t)と考えてよい。

コンデンサ

$$
i(t) = c \frac{d v(t)}{d t}\\
i(t) d t = C d v(t) = d q\\
v(t) = \frac{1}{C} \int i(t) dt
$$

$$
i(t) = c \frac{\Delta v(t)}{\Delta t}\\
i(t) \Delta t = C \Delta v(t) = \Delta q\\
v(t) = \frac{1}{C} \int i(t) , dt
$$

コンデンサは、電気エネルギーを一時的に蓄えるために使われる電子部品です。その基本的な構造は、二つの導体(通常は金属の板や箔)と、その間に挟まれた絶縁体(誘電体)から成り立っています。

コンデンサは電圧の変化がなければ導通しません。
すなわち電流を流しません。
交流電圧なら電流は流れます。
直流の脈流でも電流は流れます。
直流定電圧だと導体を絶縁体でちょんぎったただの断線です。

コンデンサは直流だと抵抗無限の断線であるという表現は直流定電圧を意味します。

コンデンサの主な機能は以下の通りです:

  1. 電荷の蓄積:コンデンサは、導体間に電圧が印加されると電荷を蓄積します。この蓄積された電荷は後に放出することができます。

  2. エネルギーの蓄積:蓄積された電荷はエネルギーの形で保存され、必要に応じて回路に供給されます。

  3. フィルタリング:AC信号(交流)からDC成分(直流)を分離する際に使用されます。これは、電源回路やオーディオ回路で一般的に見られます。

  4. 信号の平滑化:電源からの不安定な電圧を平滑化するために使われます。これは、電源が出力する電圧の変動を減少させるのに役立ちます。

コンデンサの容量はファラド(F)で測定され、これはコンデンサが蓄えることのできる電荷の量に依存します。容量が大きいほど、より多くの電荷を蓄えることができます。

様々なタイプのコンデンサがあり、それぞれ異なる用途や特性を持っています。例えば、セラミックコンデンサ、電解コンデンサ、フィルムコンデンサなどがあります。それぞれのタイプは、使用される材料や構造によって異なる特性を持ち、特定の回路設計の要求に応じて選択されます。

  1. 容量の定義:
    $${ C = \frac{Q}{V} }$$
    ここで$${ C }$$ はコンデンサの容量(ファラド$${F}$$)
    $${ Q }$$ は蓄積された電荷(クーロン$${C}$$)
    $${ V }$$ はコンデンサにかかる電圧(ボルト$${V}$$)です。

  2. 平行板コンデンサの容量:
    $${ C = \varepsilon \frac{A}{d} }$$
    ここで$${ \varepsilon }$$ は誘電体の誘電率
    $${ A }$$ は板の面積(平方メートル$${m^2}$$)
    $${ d }$$ は板の間の距離(メートル$${ m }$$)です。

  3. エネルギーの蓄積:
    $${ U = \frac{1}{2} C V^2 }$$
    ここで$${ U }$$ はコンデンサに蓄積されたエネルギー(ジュール$${ J }$$)
    $${ C }$$ は容量、$${ V }$$ は電圧です。

  4. 直列接続されたコンデンサの全体の容量:
    $${ \frac{1}{C_{\text{total}}} = \frac{1}{C_1} + \frac{1}{C_2} + \cdots + \frac{1}{C_n} }$$
    ここで$${ C_{\text{total}} }$$ は全体の容量
    $${ C_1, C_2, \ldots, C_n }$$ は各コンデンサの容量です。

  5. 並列接続されたコンデンサの全体の容量:
    $${ C_{\text{total}} = C_1 + C_2 + \cdots + C_n }$$
    ここで$${ C_{\text{total}} }$$ は全体の容量
    $${ C_1, C_2, \ldots, C_n }$$ は各コンデンサの容量です。

結果
電圧が高くても抵抗が大きければ電荷の消耗は少ないが、
同じ抵抗なら電圧が高い方が電荷の消耗は大きい。

また、静電容量は導体に影響されない。

また、絶縁が破れればコンデンサはただの導線となり、
コンデンサが破裂するなどして絶縁が無限となればそれは断線である。

静電容量

$${ C = \frac{Q}{V} }$$

静電容量はコンデンサーが電荷を蓄える能力を表す物理量です。
SI単位はファラド$${F}$$で、1ファラドは1クーロンの電荷を蓄えるために1ボルトの電圧が必要な容量を意味します。しかし、実際のコンデンサーではファラドは非常に大きな単位なので、マイクロファラド$${μF}$$、ナノファラド$${nF}$$、またはピコファラド$${pF}$$といったより小さな単位が一般的に使用されます。

静電容量は、コンデンサーの構造によって決まります。基本的には、二つの導体(通常は金属の板)がある距離を隔てて向かい合わせに配置され、その間に絶縁体(誘電体)が挟まれています。静電容量は以下の要素によって決まります:

  1. 電極の面積: 電極の面積が大きいほど、より多くの電荷を蓄えることができ、静電容量が大きくなります。

  2. 電極間の距離: 電極間の距離が短いほど、静電容量は大きくなります。

  3. 誘電体の種類: 誘電体の誘電率が高いほど、より多くの電荷を蓄えることができます。誘電率は、誘電体が電場をどれだけ効率よく蓄えるかを示します。

静電容量周りの式

$$
I=\frac{Q}{t}=\frac{Q}{\Delta t}\\
$$

電流は単位時間当たりに移動する電荷の量。
コンデンサの場合、電圧が時間に応じて変化しなければ電流が流れない。そのため単純に$${Q=CV}$$を用いた

$$
I=C\frac{V}{t}=C\frac{V}{\Delta t}\\
$$

は成り立たない。
Vは定数であってはならない。

$$
I=C\frac{\Delta V}{\Delta t}
$$

あるいはより精密に

$$
I=C\frac{dV}{dt}=\frac{dQ}{dt}
$$

であって、時間で微分できるならVはtの関数であるから、
それにより構築されるIもまたtの関数である。

$$
I(t)=C\frac{dV(t)}{dt}\\
\frac{1}{C}\int I(t) dt = V(t)
$$

オームの法則

この説明をコンデンサバージョンに変換するために、まずファラデーの電磁誘導の法則のコンデンサに適用可能な形に変換し、その後オームの法則へと導きます。コンデンサの場合、重要なのはキャパシタンス $${ C }$$ と電圧 $${ V }$$ の関係、そして電流 $${ I }$$ とこれらの間の関係です。

まず、キャパシタンス $${ C }$$ に蓄えられる電荷 $${ Q }$$ は $${ Q = CV }$$です。交流回路において、電圧 $${ V }$$ が $${ V = V_0 \sin(\omega t) }$$ (ここで $${ V_0 }$$ は最大電圧)と仮定すると、電荷 $${ Q }$$ は $${ Q = CV_0 \sin(\omega t) }$$ となります。電流 $${ I }$$ は電荷の時間に対する変化率なので、$${ I = \frac{dQ}{dt} }$$ となります。

したがって、電流 $${ I }$$ は以下のようになります:

$$
I = \frac{d(CV_0 \sin(\omega t))}{dt} = CV_0 \omega \cos(\omega t)
$$

次に、キャパシタンスに関連するリアクタンス、すなわち容量性リアクタンス $${ X_C }$$ を考慮します。容量性リアクタンス $${ X_C }$$ は $${ X_C = \frac{1}{\omega C} }$$ で与えられます。

ここで電圧 $${ V }$$ を $${ I }$$ と $${ X_C }$$ を使って表現すると、

$$
V = IX_C = I \frac{1}{\omega C}
$$

となります。これは交流回路におけるオームの法則の形に似ていますが、抵抗 $${ R }$$ の代わりに容量性リアクタンス $${ X_C }$$ が使われます。したがって、コンデンサを含む交流回路の場合のオームの法則は次のように表されます:

$${V = IX_C}$$

ただし、この式も瞬時値ではなく、実効値を表す時に使われることが一般的です。実効値においては、電圧と電流の最大値はそれぞれの実効値の $${ \sqrt{2} }$$ 倍となります。そのため、コンデンサを含む交流回路におけるオームの法則の一般的な形は次のようになります:

$$
V_{rms} = I_{rms} X_C
$$

ここで、

  • $${ V_{rms} }$$ は電圧の実効値

  • $${ I_{rms} }$$ は電流の実効値

  • $${ X_C }$$ は容量性リアクタンスです。

電流の式が虚部(位相差を含む)を考慮する場合、式は

$$
I(t) = I_0 e^{i(\omega t + \psi)}
$$

となり、その導関数は

$${\frac{dI}{dt} = i I_0 \omega e^{i(\omega t + \psi)}}$$

となります。オームの法則に戻ると、

$${V = I X_C = I_0 e^{i(\omega t + \psi)} \frac{1}{\omega C}}$$

となり、この式から実部を取り出すことで、位相差を含むオームの法則になります。


セラミックコンデンサ

  1. 構造と材料

    • セラミックコンデンサは、セラミック材料を誘電体として使用しています。

    • 通常、セラミックディスクや多層構造を持ち、表面に金属の電極が塗布されています。

  2. 特徴

    • 小型で、低コスト。

    • 広範囲の容量値を提供。

    • 安定した容量で、熱や周波数の変化に対して比較的影響を受けにくい。

  3. 用途

    • 一般的にはバイパス、結合、フィルタリングなどの用途で使用されます。

    • 高周波回路やアナログ回路で頻繁に使用される。

セラミックコンデンサの誘電率は、使用されるセラミック材料によって大きく異なります。一般的なセラミック材料としては、チタン酸バリウム(BaTiO3)などがあります。セラミックの種類によって、誘電率は以下のように変わります:

  • 低誘電定数材料(Class 1):誘電率は約5から100程度。

  • 高誘電定数材料(Class 2):誘電率は数千から数万に及ぶこともあります。

電解コンデンサ

  1. 構造と材料

    • 電解コンデンサは、金属のアノード(通常アルミニウム)、液体または固体の電解質を使用します。

    • アノードの周りに形成された薄い酸化層が誘電体として機能します。

  2. 特徴

    • 高い容量値を提供できる(マイクロファラドから数千ファラドまで)。

    • 極性があり、逆接続すると故障する可能性があります。

    • 寿命が限られており、特に高温環境では劣化が早まります。

  3. 用途

    • 電力供給回路の平滑化、エネルギー貯蔵、フィルタリングに使用されます。

    • オーディオアンプなどの低周波アプリケーションにも広く使用される。

電解コンデンサの誘電体は、アノード材料(通常はアルミニウム)の酸化物です。この酸化アルミニウムの誘電率は、以下の範囲です:

  • 酸化アルミニウム(Al2O3):誘電率は約7から10程度。

フィルムコンデンサ

  1. 構造と材料

    • フィルムコンデンサは、プラスチックフィルム(ポリエステル、ポリプロピレンなど)を誘電体として使用します。

    • フィルムは金属箔でコーティングされ、巻かれるか平板として配置されます。

  2. 特徴

    • 容量の安定性と長寿命が特徴です。

    • 高い耐電圧性能を持ち、電圧のスパイクに対して耐性があります。

    • 高周波特性が良好で、低損失です。

  3. 用途

    • ACアプリケーション(モーター起動、電源ラインのフィルタリング)に適しています。

    • オーディオ信号の結合や車両の電力システムなど、高い耐久性が求められる用途に使用されることが多い。

フィルムコンデンサに使用されるプラスチックフィルムの種類には多くのバリエーションがあり、それぞれ異なる誘電率を持ちます。一般的な材料としては、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリカーボネートなどがあります。これらの誘電率は以下の通りです:

  • ポリエステル(PET):誘電率は約3.3。

  • ポリプロピレン(PP):誘電率は約2.2から2.3。

  • ポリカーボネート:誘電率は約3.0。

これらの値は一般的なガイドラインであり、具体的なコンデンサ製品によっては異なることがあります。また、誘電率は周囲の温度や周波数によっても変動することがあります。と、ChatGPTがいってます。



可変容量コンデンサ(バリコン)

平行板コンデンサの2つの導体を半月状にし、回転させることで$${Q=\varepsilon \frac{A}{d}}$$
における面積Aを増減させ、結果静電容量を増減させることができるコンデンサ。

同調回路で使う

共振周波数

共振周波数 $${ f }$$ は、コイル(インダクタンス $${ L }$$)とコンデンサ(容量 $${ C }$$)を用いた同調回路で次の式で表されます:

$${ f = \frac{1}{2\pi\sqrt{LC}} }$$

ここで、

  • $${ f }$$ は共振周波数(単位:ヘルツ$${Hz}$$)

  • $${ L }$$ はコイルのインダクタンス(単位:ヘンリー$${H}$$)

  • $${ C }$$ はコンデンサの容量(単位:ファラド$${F}$$)

この式は、LC回路における共振条件を表しており、この周波数で回路は最も高い電流を流し、最も高い電圧を生成します。これにより、特定の周波数の信号を選択的に取り出すことができます。

1. 直列LC回路

直列LC回路では、コイル(インダクタンス $${ L }$$)とコンデンサ(容量 $${ C }$$)が直列に接続されています。この回路では、共振周波数でインダクタンスと容量のリアクタンス(反応抵抗)が等しくなり、互いに打ち消し合います。その結果、回路全体のインピーダンスは最小になり、共振周波数の信号が最も強く通過します。直列LC回路の共振周波数は、次の式で表されます:

$${ f = \frac{1}{2\pi\sqrt{LC}} }$$

2. 並列LC回路

並列LC回路では、コイルとコンデンサが並列に接続されています。このタイプの回路では、共振周波数でコイルとコンデンサの両方が同じ周波数で振動し、回路全体のインピーダンスは最大になります。共振周波数でのインピーダンスの増加は、外部から見ると回路が非常に高い抵抗を持っているように見え、そのため共振周波数の信号が遮断されます。並列LC回路の共振周波数も同じ式で表されます:

$${ f = \frac{1}{2\pi\sqrt{LC}} }$$

両タイプの回路は異なる特性を持ち、使用する目的に応じて選択されます。直列LC回路は、共振周波数での信号を通過させるために使われることが多く、並列LC回路は共振周波数での信号を遮断するために使われます。


同調回路の場合、並列LCを負荷に並列に接続し、
選択した周波数以外はグランドに逃がす。
選択した周波数の場合、並列LCのインピーダンスが最大となり、グランドに逃げずに負荷に向かう。

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