撲滅させたい日本語(1)

その使用法から、日本語から、もしくは日本社会から追放・撲滅させたい日本語があります。結構あります(あくまで私見です)。

そのうちの一つは「外国語」です。この言葉は、ぜひ日本語から追放し、辞書には「現在では使われていない」と定義させたいものの一つです。

その理由は単純で、「外国語」というのは、間違った表現であると感じるからです。

私たち日本語話者(≠日本人)が「外国語」という場合、この「外国語」とは、おそらく英語とかフランス語とか、アルメニア語とか、ズールー語とか、マリ語とか、漠然と「日本語以外の言葉」を指しているような印象です。手元にあるiPhoneにある『大辞林』を紐解けば、「自分の国ではないよその国家」(「外国」の項)の言葉ということになります(ちなみに『大辞林』には「外国語」の項がありませんでした)。なんとなくそれでいいような気もしますが、では、例えば、日本という国を構成するアイヌの人たちが使うアイヌ語というのは、「外国語」なのでしょうか?日本語ではないことは自明でしょう。では、なんなのでしょうか?

忘れがちですが、日本で話されている言葉は、日本語だけではありません。中国語を話す人は少なくないでしょうし、韓国/朝鮮語はいうまでもありません。ブラジルポルトガル語あたりもそれなりに多そうですし、沖縄の言葉も「琉球語」と捉える考え方もあります。琉球語は「外国語」なのでしょうか。

日本でさえ、ある程度の多言語話者がいるという状況なのですから、「一つの国で一つの言語」というのは、世界中を探しても極めて例外的な存在であるというのは容易にわかるのではないかと思います。有名どころは、例えばスイスなんかは、ドイツ語・フランス語・イタリア語・ロマンシュ語が公用語として定められています(ちなみに、外務省にあるウェブサイトでもこの四つで94.5%であるとあります。つまり、これ以外に5.5%は上記の公用語以外の言語が話されている、ということになります。第4の公用語であるロマンシュ語の話者は0.5%)。

上記にあるドイツ語もそもそもドイツだけで話されている言葉ではなく、スイスそしてオーストリアでも話されているのはいうまでもありません。

そもそも英語は(その是非はともかく)、数カ国で日常的に使用されており、国の単位と言語の単位とは全く一致しません。

再び『大辞林』をみてみると、上で述べたように「外国語」は定義されていないものの、その代わり「外語」という項は立っています。ただし定義として「外国の言葉。外国語」とあります。この定義は同意しかねるところもありますが、この「外語」という表現は無難で良いのではないかと思います。

そんなわけで、「外国語」という表現は撲滅すべきだと思いますが、同意していただける人はそれほど多くないでしょう。わかってます。ですから、私はこっそりと、しかし堂々と使っていきたいと思います。もちろん、同様の表現を使っているのは、私だけではありません。

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