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この1冊ですべてわかるIRの基本の感想と出てきたアイディア

 前回の記事で、「最近ボードメンバーで取り組んでいること」を書きました。結論は、「週次で課題図書や動画を1つあげてそれについて全員がアウトプットを出して議論する」というだけなんですが、テキストでもどんな内容かをまとめておきます。

 まず第一弾は、コーポレートの責任者より提案があった「この1冊ですべてわかる IRの基本」です。この本を読んで、各部責任者がそれぞれ本の要約・感想と会社としてやれるアウトプットを意見交換し合う。備忘録的な要素もありますが、早速やっていきます。(リンクはアフィじゃないよ)

IRの目的のところ

  1. 投資をしてもらう

  2. 対話して保有継続してもらう

  3. FBを経営に活かす

  4. 1~3を通じ企業価値をあげると共に適正株価を保つこと

ここの認識は必ず合わせる必要があって超重要になってくる。IRの本質的な目的は、株を高く買ってもらうことではなくて、「投資⇒対話⇒FB⇒企業価値をあげて適正株価を保つ」というサイクル。

適正に株価をあげていくには、まずは企業としての価値向上からという順番。加えて、IR担当者の必須スキルとして「インテグリティ(誠実さ)」をあげていて、ここは徹底していきたい。いたずらに株価を引き上げにいくテクニック的なところではなく、本質的に企業価値向上に向き合いそれを正しく伝えていく姿勢を保つ必要がある。

適正な株価でちゃんと会社に向き合って投資をしてもらい、それを握り続けてもらいながら企業価値を1段ずつ上げて行く方が会社の方針にも合っている。

会社で掲げている経営からの約束事

求められるステークホルダーへのスタンス

「コウモリは鳥にも獣にも良い顔をして、結局どっちからも相手にされない」というイソップ物語の結末を例にあげている。IRのスタンスは逆で「投資家に対しては会社側のスタンス」「社内に対しては投資家側のスタンス」を誠実に伝えていくことが必要となる。

本書では、経営陣に対して株式市場側の意見を厳しく伝えるのが重要のように書かれているが、河田を筆頭に経営陣全体がそのスタンスで臨む。

投資家の分類の話

投資家には4つのスタンスがある。

  1. 短期目線の個人投資家

  2. 長期目線の個人投資家

  3. 短期目線の機関投資家

  4. 長期目線の機関投資家

大きく分けるとこの4つで、自分達は今どの投資家層に向けてIRを行うべきか?という観点を持ちたい。原則としては長期の機関投資家に対し、パッシブ運用の中に組み入れられるかを考えるのがセオリー。ただ時価総額300億規模になるまではスコープ対象とならないこともあるので、全体を通じて誠実に情報開示をしていく。

機関投資家が見てるところ

  1. ROE

  2. ROIC

  3. 資本コスト(WACC)

  4. 環境(G)に関する指標(CO2排出等)

  5. 還元性向((配当+自社株買)/当期利益)

  6. 社会(S)に関する指標(女性管理職比率等)

  7. 利益額・利益の伸び率

  8. FCF

  9. 配当性向(配当/登記利益)

  10. 売上高利益率

他にもROAや自己資本比率、DEレシオなどあったが、ここでは記載されていた中から10項目のみ引用。

単純にここはすべての指標を開示できるようにして、社内目標をおいてターゲットしていきたい。今のところでは、

  • E(環境)指標

  • S(社会性)指標

  • 経済付加価値(EVA)(支払利息控除前税引後利益-資本コスト額)

  • DEレシオ

  • 市場占有率

このあたりは明確に追いかけれていないので、数字を出して目指す具体的な数値をセットしていきたい。配当の方針も明確に回答ができるようゆくゆくの方針を固める必要がある。

ESG/サステナビリティの部分

改めてESGの項目を読んで、「地球と社会の持続可能性とはなんぞや?」という部分の整理ができた。SDGs文脈としてポジティブなインパクトを与える部分の表現と、CSRとしてネガティブインパクトの解消をどう進めていくのかは議論の余地がある。

この部分はESG文脈で他社の資料作成をした経験がある専門家や経験者から意見を聞いて当社独自の観点を洗い出していきたい。まだまだ自社内でも気づいていない部分がありそうに思う。

決算説明の考え方

原則としてバックキャストで考える。

「中長期ここを目指しているから今この戦略をとっていて、その途中経過として今ここのマイルストーンまできていて課題と解決策がこうだと考えていて、KPIはこうなっている。」

みたいなところを決算毎に高速で回転させる。サプライズ情報はポジティブでもネガティブでもマイナスとなるので、起きえるサプライズ要素は事前に資料に盛り込むことも重要。

フィードバック資料作成について

最後の方にフィードバック資料の項目があり、投資家やアナリストとの対話で指摘された部分をまとめて社内や役員会で共有しPDCAを回すべきという内容。

これは今すぐでも初めて良い取り組みで、経営と株主が考えている会社の課題と取り組み、方針みたいな部分になると思うのでありのままで共有しておくのが良さそう。今後投資家やアナリストとの壁打ちできる場面があれば早速やっていく。

IRに求められることとは

最後IRに求められる要素として、改めて

  • 誠実さ

  • IRとPRの違い理解

  • 俯瞰

  • 地味な作業の積み重ね

とある。一番やらなければいけないのは「英語」なのかもしれない。ここは情報伝達を行う立場としてコツコツやっていくしかない。

上記以外でも社内で出た意見

  • ネガティブ情報もありのままに開示する意識をもつ

  • 社外ではなく社内向けにもIRを行う

  • ESGは建前ではなく本質的に意味を理解して取り組みを考える

  • IRサイトを充実させ英語ページも同時に作る

  • ガバナンスを強化して社外取締役とあるべき対話をする

  • 部内のKPIもすべて数値化できる体制を備える

  • 徹底してデータで語るIRを作成していく

  • コーポレートストーリーの合意形成

まとめ

 全体通じて、長期的にはどこを目指していて、足元の事業状況はどういう状況で何をしているか?というのを数値観点で誠実に、良い部分も悪い部分も正確に伝えていくのが本質的なIRの役割だと感じる。それを高速かつ正確にやりきり最速最大の成長をしていくには全社的にベクトルを合わせていくのみ。おすおすおす。

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