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金銭消費貸借契約書のパターンとひながた (基本型編:返済方法)

 こんにちは、あらん@バックオフィスのひと です。

 中小・ベンチャー企業で法務の仕事をして驚いたのは、会社からお金を貸す機会が結構多いということです。
 役員や従業員に対して。取引先に対して。あと、経営者の知人に一時的な資金の用立てを頼まれることが結構、多いです。

 役員・従業員に対しては報酬や給与から天引するなどが考えられるので、回収に対してあまり考えることは多くないのですが、取引先でもない”社長の知人の会社”とかは曲者で、なにかしらの回収手段、担保や保証人をつけるなど、契約上で工夫をする必要があったりします。

 この記事では、経験したり調べたりした事例をもとに、金銭消費貸借契約についてつらつら記載します。
 今回の記事は、「基本編」ということでベースとなる内容を記載しています。支払(返済)方法別の3類型を記載しています。
 今後、応用編や実践的な記事を第2段、3段と書いていく予定です。なので、よろしかったらフォローして継続して読んでください。
 次回は、応用編:債権保全 ということで、担保・抵当、保証人など債権回収の保全手段を契約に盛り込む方法を記載します。

 記事の最後は契約書のひながたを載せています。ひながたの記事部分は有料ですが、ご自身で調べたり、弁護士先生にサラから作成を依頼するよりは安価ですむと思います。また、ひながたを元に作成したドラフトは顧問の弁護士先生などにレビューしてもらうことをおすすめします。

金銭消費貸借契約について

 金銭消費貸借契約書は、金銭の貸し手側と借り手側が、契約条件を明確にするために締結します。金銭消費貸借契約書に最低限記載する事項としては
・金銭授受の事実
・貸付金(借入金)の元金および利息
・その支払方法
などがあります
元金の金額(契約金額)によって印紙税額が決まります。なので印紙は貼ってください。
 支払方法は、
 1)元利ともに一括払
 2)元利均等分割払(支払額が毎月一定)
 3)元金均等分割払(元金の弁済額が毎月一定、利息の支払は毎月減少)などがあります。
 分割払いで期限に遅れた場合、遅延損害金が発生する他、「期限の利益」が失われ、直ちに残債務を全額弁済することが求められるよう規定することが多いです。
 貸し手として、リスクを回避するための方法としては、A)連帯保証人をつける、B)担保を設定する、などがあります。

元利一括弁済

 元金と利息を弁済日に一括で返済する方法です。
 利息を記載しますが、利息制限法や出資法に違反しない利率にしてくください。また、弁済日が決まっているので予め計算して、金額を記載することも考えられます。

(利息)
第●条 本件消費貸借の利息は、元金に対し年●●%とする。
(利息)
第●条 本消費貸借の利息は、金●●●●円とする。

 弁済の期日を設定し、一括で送金する旨を定めます。

(弁済期)
第●条 乙は、甲に対し、令和●●年●●月●●日限り、元金および利息を一括して持参または甲指定の銀行口座へ送金して支払うものとする。ただし、送金に係る手数料等は乙の負担とする。

契約書上に振込先の銀行口座や金額をまとめて記載することも考えられます。

乙は甲に対し、第●条の借入金及び前条の利息について、令和●●年●●月●●日に一括して甲方に送金して支払う。なお、送金先及び送金する返済金及び利息は次の通りとする。
(送金先)●●銀行●●支店普通預金9999999 
(弁済金)金9,999,999円 

元利均等分割払い

 元利均等分割払の場合、支払額が毎回同じで、支払額に占める元金返済分が次第に増えます。一般的な住宅ローンの返済方法と同じイメージです。元利の額って変わるので、別紙として返済スケジュール表を添付するのよいです。
 端数については、第一回目の支払時に調整して支払うことが多く、支払金額を定める際に「ただし初回のみ金●●円」との記載を追加します。

(利息)
第●条 利息は、元金に対し年●%とする。
(借入金及び利息の支払方法)
第●条 乙は甲に対し、第1条の借入金及び第2条の利息について、令和●●年●●月●●日を第1回として、以後毎月●日限り金●●●●円を●●回に元利均等分割して、甲の指定銀行口座に送金して支払うものとする。ただし、第1回の弁済金は、金●●●●円とする。なお、送金に係る手数料等は乙の負担とする

元金均等分割払

 元金均等分割払の場合、元金の返済額が毎回同じで、支払額と利息支払額が次第に減っていきます。毎回支払額が変わりますので、別紙として返済スケジュール表を添付しないとわからなくなります。
 端数については、第一回目の支払時に調整して支払うことが多く、支払金額を定める際に「ただし初回のみ金●●円」との記載を追加します。

(利息)
第●条 利息は元金に対し年●%とし、乙は、毎月●日限り当月分を甲の指定銀行口座に送金して支払うものとする。なお、送金に係る手数料等は乙の負担とする。
(借入金の支払方法)
第●条 乙は甲に対し、第1条の借入金について、令和●●年●●月●●日を第1回として、以後毎月●日限り金●●●●円を計●回の元金均等分割として、甲の指定銀行口座に送金して支払うものとする。ただし、第1回の弁済元金は、金●●●●円とする。なお、送金に係る手数料等は乙の負担とする。

元金均等払い

 元金均等分割払の場合、元金の返済額が毎回同じで、支払額と利息支払額が次第に減っていきます。毎回支払額が変わりますので、別紙として返済スケジュール表を添付するのが親切でしょう。
2.端数については、第一回目の支払時に調整して支払うことが多く、支払金額を定める際に「ただし初回のみ金●●円」との記載を追加します。
3.分割払いの場合、長期に渡る貸し手側の貸倒れリスクを抑えるために、弁済が一度でも遅延した場合に、①期限の利益の喪失、②遅延損害金(年14.6%)の規定を定めることが一般的です。

様式のひながた

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