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仮説「企業がグループを形成することの意味は、理念とお金のふたつだけ」

いわゆるグループ経営についてです。私が働く企業グループには、結婚、保険、不動産、などいくつかの事業ドメインが含まれます。また業態としてもアプリ開発などエンジニアリングから、不動産の対面販売や結婚式のプロデュースなど、土日祝が稼ぎ時の対面スタイルまで、多岐に渡ります。グループ全て合わせて約250人の規模にしては、多様性が高い企業グループだと思います。そんな背景でグループ経営について考察した結果、たどり着いた仮説が「企業がグループを形成することの意味は、理念とお金のふたつだけ」なんじゃないかと。

ふたつは確かにある

グループに所属する各企業は、そのグループがグループとして掲げている理念に共感していないと、または接続していないと、所属している意味はないです。仮説の論理構造上、お金的な意味があれば理念に共感しないまま所属しててもいいと言ってるのですが、両方合ったほうがいいですね。もう一つはお金です。安定的にキャッシュを生んでくれる会社があればそれを吸い上げてグループの別の企業での事業投資、新規事業への進出、グループ拡大のためのMA資金などに回せます。単一の企業がひたすら成長を追求せずとも、PERそこそこの企業が集まることで、グループとしての成長期待が高まるという可能性も考えられます。事業領域やビジネスモデルが多様であれば、どれかが業績不振でも他でカバーするというヘッジにもなります。ここまでは特に異論はないとおもいますが、今回の仮説のポイントは「ふたつだけ」という点です。

本当にふたつしかないのか

企業グループにおける業種業態の多様性が高いことは、先述のようなよいこがいくつもある一方で、多様であるがゆえに共通化できることが少ないという言い方もできます。(はい。ほぼトートロジーです。鋭いご指摘ありがとうございます。)管理機能は共通化できるんじゃないか。広告宣伝は集約することで規模のメリット取れるんじゃないか。営業機能は。人事制度は。いろいろ考えうるんですが、実際に共通化して効率的にやれることはあまりない、というのが現時点のわたしの結論です。すなわち、理念とお金以外、グループに所属することの意味は別にないという仮説です。

気づいたきっかけは、コロナとslackです。二度目の緊急事態宣言の発出を受けて、ホールディングス内に設置した対策チームで対応方法なりガイドラインなりを考え、そしてそれをグループ全体に発信するというとき、非常に議論になりました。コロナなんて今生きている人類全員にとって初体験なので議論になるのは当たり前ですが、われわれの論点の根底にはいつも多様性がありました。まず、コロナ対応(在宅勤務にするべきか否か、など)については、企業単位でいくとウチはこうします、わたしのところはこうします、と、比較的すんなり答えが出るのですが、グループ全体の方針としてどうするかまで昇華するのは非常に困難でした。また、グループ方針が固まったとて、それを発信する際、全社員に届くslackチャンネルで一斉に配信しようという話においても、趣旨は同じでも企業によって文面やニュアンスをカスタマイズしないと正しく理解されない、場合によっては誤解からのヘイトを生みかねないという議論があり、内容もさることながら発信方法にも同様の困難性がありました。

ふたつしかないと割り切る

グループ経営というと、いろいろなシナジーや共通化による効率化を期待して胸が踊るのですが、多様性を前提にしたグループ形成だと、働き方やオペレーション、制度設計で横串させることはあまり無いと思ったほうがよくて、むしろ多様なグループ構成員に対してきめ細やかな対応をしていく必要があり、コストはかさむかもしれないし、管理は大変になるかもしれない、と思ったほうがいいんだろうなと。それでもグループを形成するのは、冒頭書いたようないいことがあるからなんだなと、そう思います。ありがとうございました。(おわり)

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