「ジョブ型」のブームは本物か
最近、様々なメディアで「ジョブ型」という言葉が踊っている。
ジョブ型への移行は20年ほど前に武田を筆頭とする製薬業界を中心に一度ブームが来て、日本の製薬企業を初め、大手企業はこぞって移行した。しかし日本企業では運用がなかなか難しく定着はしなかった。なぜなら、欧米のジョブ型人事制度を厳格に運用するとなると膨大な手間とコストがかかるからだ。すなわち、各ポジションのジョブディスクリプションを明確にしてポジションの大きさを定量化するとともに、市場における報酬水準を調査し、自社の各ポジションの報酬水準を設定するのだ。しかもそれを定期的に見直さなくてはならない。そのようなと手間ヒマのかかることをやり切れる企業は少なかった。しかも、そもそも労働マーケットがまだまだ未成熟で一部の業界を除いて労働流動性が低かったため、やる意味もあまりなかった。結果として従来の職能型とジョブ型がミックスされたような役割等級が主流となった。
それが数年前から他の業界でももう一度ジョブ型に切り替える動きがではじめ、今回のコロナで日立をはじめ総合電機まで動いたことでまたブームが来ている。
ただ、本当の意味でジョブ型にするにはマーケット水準に合わせた給与にしないといけないわけで、そのためには外資と同等の競争力、収益力をつける必要があるが、そこは多くの日本企業にとって引き続き非常に高い壁である。収益構造を根本的に変えていくことができなければ、表面的にな「なんちゃってジョブ型」が蔓延し、一過性のブームで終わる可能性が高いのではないだろうか。
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