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桜畑門内は変

「大変です!大変です!」

「ジェシーやい、そんなに慌ててどうしんだい?」

ジェシーは息絶え絶えになりながら、呼んだ男の肩をガシッと掴む。

「落ち着いて聞いてくださいCE……親分!」

「ワシは親分だ。で、どうしたんだい?」

「ウチの、ウチのゼラチン模造桜がサマラ恒星系で取引禁止となりました!」

「なぁ〜〜にぃ〜〜ッ!」

ジェシーに思いっきり怒声を散らすこの親分の名は井戸直粥(いどなおかゆ)。押しも押されもしないが、あまり推されぬゼラチン桜製作会社『桜畑門内』のCEOである。

「サマラ恒星系って言やァウチの1番のお得意様じゃないか!」

「違います!唯一のお得意様です!」

「なんと!この桜畑門内にかつてない最大の危機!」

「公共料金延滞、指名手配、異様に厳しい税務署……今まで何とかやってきましけど、もうダメです!外宇宙逃げしましょう!」

ジェシーは頭をガクガクと揺らし美しい金髪と人形のような整った顔立ちをめちゃくちゃにして泣き散らす。直粥はジェシーの頭をガシッと掴み、恒星のような眼差しで彼女を見つめる。

「大丈夫だ!ワシの1万年前の先祖、井戸真粥は桜畑門内の変にて刺客5万人を桜の枝で斬り倒しエド・ガバメントを中州から守り通したのだ!」

あらゆる形あるものは崩れる。記録も例外ではない。

「ッ! 信じましょう井戸の血を…!」

形には元から崩れているものもある。

「うむ!まずはお得意様と相談だ!足を用意せよ!」

———公共宇宙船乗り場———

「乗せられないネ。アナタ達は宇宙崩壊誘致容疑で指名手配ネ」

船は行った。

「ウウム……50時間ほどかかるが泳いで行くしか……フネで行ければ1時間なのに……」

「大変です!あと25時間以内に酸素代を精算しなければあらゆる生命維持装置を止められます!あとこれ以上罪を重ねると宇宙維持機関が本気を出して殺されます!」

「なんと!この井戸直粥に24時間以内で合法的に宇宙船を作れと!」

【続く】

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