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下駄を履いたら自ずと成長するのです

下駄を履かせてみたらいいのに。

最初の会社の上司が良く言っていた。その人を成長させるには、現時点で能力が足りてなくても、そのポジションに据えてしまえば良いということらしい。

そうすれば自ずとそのポジションにフィットしようと成長するもんだと。

人はそういうもんなんだと。 

転職でいきなりマネージャーに

その時は、そんなに成長意欲もなくて、ハイボール片手に「そんなもんですか〜」なんて偉そうに相槌打っていたけれど。

そんな私も下駄を履く時が来たようで。

マネージャー未経験ながら外資系企業の1人目マーケティングマネージャーというポジションに挑戦しようとしたのが29歳、2回目の転職の時である。

これまでアルバイトの人に仕事を指示することはあったけれど、まさか自分がマネージャーになるなんて微塵も思っていなかった。

転職の時は正直ひよった。

「いえ、マネージャーじゃなくていいんです…」という言葉を何度か飲み込むのに苦労した。本音を言うとまだまだマネージメントされたいお年頃なので。

それが今ではしれっと肩書きにマネージャーが入っている。

訳もわからぬまま、右から来たものを左へ、前から来たものを後ろへ。目の前にやってくる仕事を一つ一つ煮たり食ったり焼いたりしている。

実態が伴わないまま、マネージャーと書かれた名札だけが胸元にぶら下がっているような感覚。

手の届かないポジションではなかった

本当に私はマーケティングマネージャーなの?

最初は半信半疑もいいところ。

けど名刺交換の時はしれっとマネージャーです、と名乗る。
え?あなたがマネージャー?頼りないわね!とか意地悪言ってくる人もいない。

Linkedinは転職して早々にヘッドラインをマネージャーに変えさせてもらったし、私宛の封筒にマネージャー〇〇様とか書いてあるのを見ると、あ一応マネージャーなんだなぁと思う。

のほほんとした性格の自分が、まさかこの年齢でマネージャーなんて肩書きがつくとは思わなかったけれど、意外と欲すれば手に入るものだったということが分かったのは大きな収穫だった。

本当に強く望めば、下駄を履かせてもらえることがある。その後ちゃんとフィットできるかどうかは自分次第だけど。

一回マネージャーになってしまえば、周りは私をマネージャーとして扱うしかなくなるし、マネージャーとして扱われる中で、私はゆっくりとマネージャーになっていく。

つまり、今のところどう考えても、今のポジションに対して私は役不足というのは明白で。そうなると待ち受けているのは、必死に足掻いて、そのポジションにいる自分が当たり前のように振る舞うしかない、そんな日々だ。

社長は生まれた時から社長?

もしかしたら周りもそうなのかもしれないと、この歳になってなんとなく想像することがある。

変な話、私は社長は生まれた時から社長なんじゃないかと思い込んでいる節がある。私が物心つくころには社長だったその人は、生まれながらにして社長で、社長であること疑うことなどついぞなかったように見受けられる。

けどそうじゃないんだろうな。

自分って社長の器なのかな、とか、まさか自分が社長に!?とかそんな瞬間とか迷いとか戸惑いとかもあったんだろうな。

社長は最初から社長なんじゃなくて、社長というポジションに当てはまった人が、結局のところ社長になるんだろうなぁ。
知らんけど。

誰しもが下駄を履かせてもらえるわけではない

とは言っても誰しが社長になるための下駄を履かせてもらえるわけではないのは当然で。

じゃあ下駄を履くにはどうすればいいのか。

大袈裟な話にはなるけれど、デビュー前のアイドルでも、本当にデビューできる子は何かしら人と違うオーラを放っていることがある。

それは彼、彼女らがアイドルになれるんだ、いや、なるんだという強い意志と、アイドルになった自分というのが、見えているからかもしれない。

そのポジションを掴む前から、そのポジションにいる自分がはっきりと見えているのかもしれない。

そう考えると、下駄を履かせてもらえるには、ただただ憧れているだけではダメなのかもしれない。憧れから一歩飛び出して、そこにいる自分が当然のように見えていること。

例え未熟であっても、そのポジションにいる自分を鮮明にイメージできた時に、下駄を履かせてもらえるチャンスが生まれるのかもしれない。

憧れから現実に

どんなことでも鮮明にイメージすれば叶う!なんてことを言うキャラでもないし、そうはいかないことも多いけれど、本当にやり遂げたいことがあった時に鮮明なイメージを持つのは良い手かもしれない。

勝ちたい!じゃなくて勝つものと思って勝負に臨むとか
彼氏欲しい!じゃなくて彼氏がいるものと思って生活するとか

そういうことなのかもしれない。
ちょっと違うかもしれない。

だから私もいつか堂々とマーケティングマネージャーを名乗れる日が来るまで、堂々とマーケティングマネージャーのフリをしようと思う。

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