一頻り落ち込んだ空の表情は、ちょっと浮腫んでいる

その心情には、泣く事で感情を表現しきった後に見られる、ある種の爽快感がある

油絵具をベタベタと塗ったような天蓋を、生乾きの風が慰めると、

雨のせいで、身体の境界を有耶無耶にされた僕の感覚帯は、命を秘めた木々に似て陰鬱に揺れる

自分がまだ水中にいる事を知らない人たちは、地上にいる不幸を嘆いているみたい


濡れた岩肌に張り付く苔たちは、あんなにも鮮やかな緑をしていて

日光の下では枯れてしまう、涼しくて柔らかい地上の息吹は、久しぶりの登場で嬉しそうに乱舞していて

鬱っぽい感情は、曇という身体を帯びて空を回遊している

雨を嫌う生命体は人間しか見当たらない

雨は僕の心を晴れやかにするためだけに表れた

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