見出し画像

iCAREのCEO室って何をやっているの? [後編] 〜CEO室は『足長おじさん』である〜

前書き

チームの理想像が具体化しにくい部署ランキング一位(私調べ)かつ周囲から見ても何をやっているのかイマイチわからない部署ランキング一位(私調べ)である『CEO室』。そんな株式会社iCAREのCEO室について、FRCという活動を通してCEO室を理解する──という趣旨で公開したのが前回のnoteです。

(未読の方は先にこちらの記事をどうぞ。)

今回はもうひとつのFRC活動について、引き続きインタビュー形式で紹介していきます。


『勝手にリサーチ、勝手に解決隊』

──勉強会は社内で拡がり、いい感じでCEO室の存在感も出てきつつ、さらにプラスアルファの活動を始められています。その『勝手にリサーチ、勝手に解決隊』なる活動の背景を伺いたいと思います。勉強会で解決を試みているもののほかにも、課題があったのですか。

小川「課題感としては、いくつかあるんだけど、たぶんティッピングポイントになったところでいくと……。さっきの勉強会は『僕らの専門性やできることを知ってもらおう』という課題がカバーできたと。もう一方の課題、僕たち自身が他の部署の業務や、今そこで課題になっていることへの理解も必要だよね、という話が非常に大きなスタート地点になって。

でもその話ってたぶん他の部署でもよく上がってると思うの。他の部署がどんな仕事をやってるかわかんない、とかってFRCリーダーの会議とかでよく挙がってると聞いていて。そこから僕の一個こだわりというか、面白さを追求したときにあったのが──

どういう課題を抱えてるとかどういう業務をやってるかとかがよくわからないから、それをヒアリングしに行く。困ってるから、どういうふうに困ってるんですかっていうのを聞きに行く。それって本当に困ってる人間からすると、半分迷惑だなと思って。『そこまで緊急性高くないけど軽く困ってんだよね』みたいなことだと、時間をつくって取り組むほどでもないってこともあるし、言語化できているほど(課題が)わかってるものでもないのにヒアリングされてもな……ってなる。余計な労力がかかるかもしれない。
だったら(ヒアリングをせずに)解決までもっていって、解決策だけ渡せばよい。こっち(CEO室)も見返りが欲しいわけじゃなくて、僕たちの専門性を使った解決策が提示できるのであれば、それは僕らとして単純に嬉しいことだから。あるいはさっき言ったように、ヒアリングしてこれについてこういうふうにやってあげますねって言うのって、究極的に自己満足だと思うんだよね。だったらもう自己満足で済ませるんだったら、ヒアリングなしで勝手に問題を見つけてきて、勝手に解決策まで用意して。それができるスキルを僕たちは持ってるから、渡してあげましょうというのを始めたのがこのクォーター(※)からです。」 (※2023年2月〜4月の3ヶ月間)

"声"を拾い、勝手に行動する

──具体的にどこで何をしてるのかを聞かせてもらえますか。

若松「まず、Slackですね。Slackに”みんなの困り事”というチャンネルを作っています。Slack上で磁石のリアクションをつけた投稿へのリンクが、このチャンネルに再投稿されるようになってるんですよ。で、みんなこういうこと考えてるんだなーとか、こういうことで困ってるんだなーみたいな投稿を、気付いた範囲で拾い上げてくる。」

──発見しに行く、パトロールって感じですか。

若松「そうです。自分から。」
小川「勝手にリサーチですから。」

──勝手にSlackのチャンネルをパトロールして、磁石で拾ってきて溜めていく。それに対して解決策を提示していくのも勝手にやっている、と。

小川「そう。解決できるものもあるし、できないものもあるし、なんだけど。」

──例えば、解決できた具体的な例ってあります?

若松「解決できたものだと……これかな。ある人のスレッドで、AI初心者におすすめ本が挙げられていて。でも、僕の感想は『いや、これ初学者にはハードルの高い本だろう』。初心者だったら、もっとかんたんな入門レベルの内容を、(書籍ではなく)講義形式で学ぶほうがいいのかなと思い、社内でAIの勉強会を(勝手に)開催しました。」

ChatGPTのローンチから1〜2ヶ月後に開催された、iCARE社内向けのAI勉強会。AIが再びブームになる中で、AIの適切な利用方法を伝えるべく開催した。前述の通り「勝手に」開催したもので、誰の指示も受けていない。上席の許可さえとっていない。

──それで開催になったんだ。すごいな。細かいところまで見てるんですね。

若松「作業してて疲れたなーっていうときに、気分転換がてら『未読のチャンネルをなくす』ことをやっていて、そのときに目を通しています。あと、オフィスで聞こえる会話を拾うことで、困りごとを把握したり。例えば、あるマネージャーが(普段は利用しないWindows機を使いながら)『Windowsのキー配置がしんどい、コントロールキーが遠くて指が痛くなる、キー配置を変更したい』と嘆いているのが背中越しに聞こえてきた。そこで、Caps LockをControlに割り当てたらいいだろうと思い、適当な記事をググって彼宛てに投稿して。それこそ『勝手にリサーチ、勝手に解決』。あと『会議室を譲ってください』とメンションされた人が数時間経っても無反応だったから、それを彼が見ていそうなチャンネルでリマインドしたり。」

──え?そんなことまで?

若松「暇なとき……というか、たまたま目についた時はやってます。」

小川「俺は結構オフィスにいることも多くて。そうなると何やってるかっていうと、営業の商談とかインサイドセールスの電話が聞こえてくるわけよ。聞いてると、やっぱり健康経営をこれから始めようっていう会社さんに対して、色々説明が難しいんだなっていうのがわかってきて。
その時に営業が何やってたかっていうと『まず最初は健康経営調査票を書いてみましょう』、そこからスタートしましょうっていう提案をする。だけど、その提案って、お客さんからするとめちゃくちゃ難しいんだよね。健康経営調査票ってサブクエスチョン含めて130、140問ぐらいある。だから、もうちょっと簡易的にできるものを作っとこうと思って。24問ぐらいの質問にギュッとまとめて、それに答えると、だいたいどれぐらいの健康経営の準備が整ってるかがわかるツールを、下の方に総合点数も出すようにして仕上げて。これを『いる?』っていうふうに聞かずに『作ったから使って』と言って渡したんです。」

──この間、他社の人もそういうのを営業ツールとして使っていました。

小川「完全に営業ツールとして。もう営業ツールよ。これはね、この裏側には色々と準備してるものが、元になってるものがいろいろあるんだけど、そんなのも『どこかに使えるだろうから、いいよ作る作る』と作って渡したりするんだよね。」

──ちゃんと使ってます?

小川「わかんない。そこが結構大事なところで、これを本当に使ってくれてますかとか、あるいはこれの成果がどうだったかみたいなのを見ようとすると、業務としてやるとそこまで見ないといけないから大変なんだけど。FRCとして、何ならCEO室の自己満足のためにやってるから、いいのよ。」

メンバーの『足長おじさん』として

──完全に善意なわけですね。そうすると、CEO室のFRC活動は『足長おじさん』のような印象を受けます。

小川「これは本当にFRCとしてです。どうしても会社で業務としてやると、一定の体裁を整えている必要があったり、そこにやるべき理由が必要だったり、やったらやったで、その成果はどうだったの?っていうのがもちろん求められる。それが含まれると、仮にやりたい仕事だったとしても、やる僕たち自身も、あるいはそれを受け取る側の人も負担に感じちゃう。
でもそれがこのFRCという枠組みを使うと、貰う人も気楽に貰えるし、やってる僕たち自身も、取り組みやすい。ファイブリングスだと、働きがいみたいなもの。自分たちは働きがいが作れて、みんなの働きやすさを担保してあげられる。このFRCという枠組みはありがたく使わせてもらってます。

──そうですね。業務時間中にやっていいですしね。

小川「業務時間中にやっていいよって言われてるし、でも業務(のような性質)じゃないから、そんな凝り固まったものをバッと出すというような話じゃない。」

──それで自己満足して働きがいがあったらいいことですね。

小川「僕らはそこに働きがいがあって、僕は(実際に)感じてる。」

──もちろん、こっそりどころか感謝もされますしね。嬉しいですよね。

若松「僕がやっていることは、基本はSlackのパトロール(からの課題解決)ですね。さっきも話したもののほかには、ChatGPTを触る会をやりました。あれもSlackからの思いつきです。」

──世の中の動きとしても、ちょっと人気になってましたしね。

若松「オフィスにいると”ChatGPT”という単語が、周りから聞こえるようになってきたんですよね。Slackを見てても『ここでChatGPTが使えたら……クソッ!』みたいな投稿が見えたりしたので。ただ、当時は、全社的に見ると、知ってる人も知らない人もいそうな印象でした。なので、全社のレベルを合わせる意味で、ChatGPTを触りながら学ぶ会があってもいいかな・っていうのと、もう少しちゃんと(AIを)勉強する会をやった方がいいかな、と。これも本当にみんなの声を勝手に拾って『こんなのやったらいいんじゃないかな』っていうのをそのままやってるって感じ。」
小川「やった方がいいですかってことも聞いてないんですよね。」

──聞かなくていいってのもいいですよね。福本さんは?

福本「例えば『自分がやりたいけど、あんまり業務としてまでやることでもない』みたいな、興味のある分析を勝手にやって勝手に出すみたいな。健康経営の、ホワイト500系の分析と絡めてそこら辺を少し。FRCとしてやってます。普通にやったらそこまで掘り下げてやるような分析じゃなくて。」

小川「うちの健康経営のデータの話なんて、仮に正式なルートを通してやるんだったら、福本さんも『4時間ぐらいで済む範囲でお願いしますよ、今わかる範囲で結果が出ればいいですよ』って(言われそうなもので)。ただ今出てる結果がそのレベルじゃないから。」

──最後、ちょっと答え半分出てたと思うんですけど、CEO室にとってのFRCって何ですか?

若松「FRCは……何でしょうね。『やりたいことをやっていいよ』ってお墨付きをいただいている素敵な時間。」

──それをやることが、たぶんファイブリングスでいう『働きがい』なんだよね。

若松「そうですね。(CEO室のFRC活動は)全体を通して、みんなの働きやすさを作ることで、自分たちのやりがいになっている。そう捉えてますけどね。」

──素晴らしい。それはやっぱり、うちのやってることがデータ活用とか、SaaS、クラウドっていうのがあるからですよね。本当にまさに、データを使う仕事が、割とメインの業務でもあるから、役に立ちますよね。それだけ、ITリテラシーとかもあるけども、ベースとして。

若松「そうですね。そこは、ただ、割と好きなことが遠慮なくやれるっていうのは、CEO室だからっていうところは結構大きいと思いますけどね。『緊急ではないけど、重要なこと』。そこにフォーカスをしていく、と。もちろん、CEO室の業務としてやることはあるんだけれども、『周りを支援していく』ことは、特にプロジェクトと関係しなくてもやるべきなんじゃないの?っていうのが、思うところですね。」

──社員として、社員のためにっていう、土台でいてくださってるってことが分かって、非常に嬉しいなって思いました。


タイトルに使っておいて今更なんですが、最近の若い人たちに「足長おじさん」って通じるんですかね……1990年の世界名作劇場だからな……と宙空を見つめていますが、本記事を通してiCAREという企業に興味を持っていただいたり、CEO室・社長室といった"何するのかようわからん”部門の方へのヒントになったりすれば幸いです。

P.S. 
「iCARE気になるな〜〜〜、社員の人とお話してみたいな〜〜」という方は、ほかのnoteや採用情報に書いてあるもろもろをざっと流し読みの上で、面白そうな人にDMを送ってみてください。カジュアル面談的なものをセットアップします。(カジュアル面談的なもの?)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?