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【東京図書館めぐり】北区立中央図書館

東京の図書館をめぐってみようとふと思い立ち、記念すべき第一回として、王子の近くにある『北区立中央図書館』へ行ってみました。

図書館はJR埼京線「十条」駅から徒歩15分ぐらいのところにあり、赤レンガ倉庫を改装して作られた建物はレトロで可愛かったです。近くには子供が遊べるような芝生があり、そんなに人も多くなく、休日にゆっくりと本を読みたい人にはもってこいな場所でした。

図書館に来ると、読みきれないのは分かっていても何冊もよくばってしまいます。

手に取ったのは、この4冊。実際に読んだのは、庄司薫の「赤頭巾ちゃん気をつけて」

これは、先週金曜日にとあるブロガーさんたちの飲み会に参加させてもらったときに教えてもらった本で、その独特なタイトルとかに惹かれて読むことにしました。

学生運動で東大入試が中止になり、進学校で東大入試を目標に頑張ってきた主人公・薫の喪失と再起を描く物語です。

上辺ごとが大嫌いで、本質的なことを大事にしようとする薫は、自分という存在や世の中のことを考え、その矛盾や不合理に悩み苦しみます。そんな時に周りを見わたすと、何も考えずに楽しそうにしている人がたくさんいて、その時に初めて薫は深い深い喪失感を覚えます。

それで結局ぼくはどうなるというのだろう、たとえばその結果、多くのどうでもいい問題から逃げきり、そしてほんとうに重大な問題だけを見つけたとしても、その時にはそれを解決する力も時間もなかったということになったら、いったいどうなるというのだろう。
ぼくは何を我慢して頑張っているのだろう?

こっちから先手をうって、さっさとゴマをすり、居直り、趣味なんかもかっこよく確保して、なにごとも適当にやっていればそれでいいんだ。みんなみんな簡単、とっても、簡単なことなのだ。誰にも頼まれたわけじゃもともとないのだから。

「なんのために頑張っているんだろう?」という答えがない問いは、きっと誰もが一度は考えることで、まさに社会人2年目の私とかは、頑張った先に見える自分の姿が想像できなくて、それでも頑張るしかなくて、という、なんとも言えないもどかしさを抱えながらお仕事をしていたりするので、薫の姿と自分を重ねてしまったりして、深く共感してしまうわけです。

そのあと薫はある少女との出会いによって自分の守るべきもの(幼馴染の由美)に気づき、立ち直りますが、そんな簡単に見つかるもんでもないだろうとかちょっと思いつつ、やっぱり最後は「自分以外の誰かのために」っていうのが自分の存在を確たるものにする大事なことなんだろうな、と思ったのでした。

若いうちに読めてよかった。
ラスト30ページはぽろぽろ涙がこぼれてきました。

また年を重ねてから、読んでみたいなー。

ありがとうございます。ちょっと疲れた日にちょっといいビールを買おうと思います。