こだわりではなく「たしなみ」を持ちたい
「たしなみ」という言葉が持つ、気品というか触れてはいけないキレイなもの感がとても素敵だな、と思う。
たしなみとは一般的に、好みだったり趣味だったり心がけだったり、そういう意味で使われることが多いと思うのだけれど、なんだかそれは単なる普通の好みとか趣味ではなく、「プラスワン」のそれとして使われることが多いような気がしている。
単なる趣味や心がけのことを「たしなみ」と呼ぶ人は少ないだろう。けれど、自分で豆を挽いてハンドドリップでコーヒーを淹れてみたり、葉巻のタバコを吸ってみたり、そういう、日常からちょっとだけ離れてぜいたくをした「プラスワン」のことを人はたしなみと呼ぶのではないだろうか。
この「たしなみ」って、人生をとても豊かにしてくれると思う。
こだわり、とは少し違う。何かにものすごく精通しなければいけないわけではないし、これだけは絶対に譲れない! というものがあるわけでもない。だけど、めちゃくちゃ疲れた日にちょっと高級な入浴剤を入れてお風呂に入ってみるとか、毎回地元に帰省した時には大好きな人が働いているハンカチ屋さんでハンカチを1枚ずつ買うとか、そういうちょっとしたこと、本当に小さくて、だけど自分にとって「プラスワン」なものを、私はたしなみと呼びたい。
料理だってそう。調味料をいつもより良いものを買ってみて、ちゃんとカレーにはスパイスを入れてみたり、にんにくや生姜などで下味をしっかりつけてみたり。こういうのも、たしなみのひとつ。
こだわりがたくさんある人生ではなく、たしなみがたくさんある人生を歩みたいなあ、と思う月曜日の夜なのでした。
ありがとうございます。ちょっと疲れた日にちょっといいビールを買おうと思います。