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家具だけではない、魅力溢れる家具工房

人と木を繋ぐ、温もり

 11月に「家具工房 旅する木」さんに訪れました。校舎に足を踏み入れた瞬間、木のいい香りに癒され、それと同時に長い廊下を見たときに母校ではないのに、自分の小学生時代を思い出しました。
 そして、北海道犬の「のんのちゃん」と柴犬の「まるちゃん」の可愛い従業員さん達がお出迎えしてくれました。とても人懐っこい、のんのちゃんに癒されました!

北海道犬 のんのちゃん

 家具工房 旅する木さんの家具を見た時に、家具から温かさが溢れていました。旅する木さんの家具は表面を整える時にカンナを使ってひとつひとつ手作業で仕上げることがこだわりだそうです。滑らかでつるつるな触り心地は、手間暇かけた丁寧な作業だからこそ生まれるもの。機械を使って表面を整えるのが一般的なのに対して、手作業でしか出せない温もりが「旅する木」さんの家具の魅力として光っていました。

思い出を一緒に作れる家具

 親から受け継いだものを自分の子どもにも、そして孫にも、と世代を越えて長く使う。ヨーロッパでは物を大切にする文化は当たり前のようです。愛着が湧いて手放せなくなる家具を作り、お客様に喜びを届けている「旅する木」さんの家具の存在は、家具に対して「引っ越し先で集めるもの」と思っていた私にとって新鮮なものでした。そして、生活の一部に欠かせない家具だからこそ、私たちと一緒の時間を歩んでいくものとして存在しているのだなあ、と気づくことができました!
 今は好きなものを早く安く、そして簡単に手に入れられる時代です。だからこそ私は、ひとつのものを長く丁寧に愛せる、ものを大切にする人になりたいです!

当時のままの黒板と温もりある家具

はじめまして、ただいま

「家具工房 旅する木」は当別町立東裏小学校の跡地を活用した家具屋さん。廃校を工房に選んだ背景として、廃校を活用することの大切さはもちろん、体育館や教室など広いスペースを確保することができるところが決めてだそうです。自分の母校ではないけれど昔を思い出す。長い廊下を渡ると、懐かしくなる。どこか優しい雰囲気を味わうことができるとても素敵な空間です。

出入り口でほっこり

 廃校を活用することで、メディアに取り上げられる頻度も多くなり露出も増えたそうです。それ以上に、今まで暗かった校舎から電気の明かりが漏れるようになったことで、地元の人たちの心に安心と明るさを届ける役割を果たしています。建物自体を生き返らせることで、かつてその建物にあった思い出を含め、新たな思い出も作り出せることができ、よりパワーアップした状態で地域に貢献することができます。家具を長く大切に使うように、昔からある建物も再利用する事が町・地域にも愛着を持ってもらうきっかけになると思いました。

四季を巡る工房(旧校舎)

世界、いや宇宙初!!

 世界にひとつだけのオーダーメイドの家具を提供している「家具工房 旅する木」。
下の写真は、木で作られた「木の車椅子」です。木で車椅子を作るのは世界で初めての試みとのこと。木の車椅子を間近で見た時に、金属の車椅子特有の「硬さ」が全くなく、全体的に「柔らかさや温もり」が伝わってきました。それは、木だからこそ生み出せる要素であると思います。しかし、木を相手にする作業のため制作期間は3ヶ月もかかり大変な部分もあるそうです。温度や湿度によって、木は伸び縮みして日々変化する姿に命を感じると教えてくれました。大変な工程であっても、木を車椅子の材料にするのには、木も生きものであり、身体の一部の役割を果たす車椅子に使う事でより木の車椅子を使う方に安心・安全さを感じてもらえると教えてもらいました。 

木で作られた車椅子

このような、利用者に対して思いやりのある、素敵な考え方の裏にはたくさんの努力が隠されていて、それを聞く事ができてとても貴重な体験でした。

さいごに

 中心都市では、新しいことや物の情報に長けている。賑やかで明るさが特徴というイメージがあります。そこで、対となる「地域」って何だろう!?という疑問が出てきました。「旅する木」さんの取材を通して、地域の根底にあるものは「つながり」や「温もり」であると自分なりに導きました。それは、人や地域だけでなく物・自然にも存在する魅力。特に廃校を活用した取り組みは、地域の課題であると同時にそれを活用することが、地域活性化にも"つながって”います。そして、廃校を活用した家具工房で作られた”温もり”のある家具は、たくさんの人を通して町に明るさをもたらしています。当別町は札幌市から少し離れた場所に位置しますが、小さいながらも魅力と温もりで溢れた「心がホッとする」ような町です!!
 急な依頼にも関わらず、温かく迎え入れて下さった、須田様。本当にありがとうございました。


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