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剣闘文学トーナメント:決勝戦

お詫び:前回ではシータとシントを混同したアクシデントが発生しました。担当者には修正してもらったのち、うなぎのタレ工場研修に送りました。

⚔️

『CHANCE CHANCE WAR WAR WAR、ピンチこそ滾るぜ!いよいよこの日がやって来た。今日、この場で、数々の戦いを制した男の中の男が二人、その中から、note界の剣闘チャピオンが決まる!それではご登場願おう。心が弱い観客の方どうか心を強く持って欲しい!この男はまさに異形で異常!バイオテクノロジーが産まれた生きたデーモン!神の摂理に背ける冒涜者!しかしながらピュアな心を持った愛の戦士!その腕力がゴリラめいて強力、皮膚はアリゲーターめいて強靭、身ごなしは猫のように軽やか、攻撃が虎めいて苛烈、頭脳は機械のように明晰。彼こそが……人虎・シィィィータァァァーッ!』

「ワオオオオー!!」「シータアアア!!!」「カワイイ!」

 三回目の出場、自動生成観客もシータの異形に慣れてきたようで、嘔吐昏倒者が前回より減っており、彼に歓声を送る者も少なくなかった。

「ハハ、皆盛り上がってくれるな」

 人間の両手と虎の四本足で悠然と進み、時に顔をあげて観客に手を振ったりもした。彼の顔には決戦に対する熱意や興奮など一切見当たらない。

『彼と戦った相手は漏れなく瞬ッ!殺ッ!人間の理性と獣の筋力を合わせた最上級捕食者に、この男が立ち向かう。剣闘士ならぬ、県闘士!宮ァ~~~さぁーきぃぃぃぃ!!!』

 カタンカタン、奴隷労働バー動力エレベーターに牽引され、鋼鉄籠がアリーナの地面に上がった。オレンジ色のショートスパッツしか着ておらず、格闘選手なり姿の男が歩み出た。よく鍛え上げられた肉体に比べ頭髪が非常に貧相ではあるが、逆にそれが精悍さを醸し出しているともいえた。

『準決勝戦では果敢に二体の機神に挑み、華麗に神殺しを成し遂げた、驚異の男!人間VS.獣、文明VS.野蛮、シリアルVS.ギャグ!真逆の二人の、最後の血戦がはじまるッッッ!』

 グワーン。ドラが鳴った。試合開始の合図だ。シータはいつも通り、速攻のゴリ押しで決めにかかった。前回の戦いで、宮崎の準決勝、目の覚めるような戦いぶりだったが、見る限り彼の身体能力は人間の枠を超えていない。ならやり方はシンプルだ。人間が対応できない速度と、人体の負荷を超えた打撃を加えればいい。武術の達人だろうと、摂理から外れた人獣の相手ではない。宮崎はシータが葬ってきたほかの選手みたいに肉片になるだろう。

 シータは力が漲った六肢を解放した。放されたキャノンボールみたいに宮崎をめかけて一直線。宮崎がネギドロよりひでえザマになるまでおよそ1.5秒!

 その時、宮崎はショートスパッツに右手を突っ込んだ。敗北を悟って、最後にせめての思い出を残すべく変態行為に走ったか?スパッツの中に、右手に何かを握った形が浮かんだ。変態行為か?宮崎は手を引き、スパッツの中から一本のカタナ抜かれた。

 時間を試合前に辿る。
「よう、宮崎ちゃん。調子どうよ?」
「東京!?なぜここに居る?」
 地下休憩室、細身の黒髪の青年の出現に、宮崎は訝しんだ。青年ーー東京は胸を挺し、ぴったりフィットのスポーツに印刷されたDEATH YOUNG DAYSのキャッチフレーズを誇らしく見せた。
「でやんでぃ、県闘士の首席として、我がリークの選手を応援しに来たんだぜ。喜べよ」
「はっ、むしろ相手の勝利を祈るよな」宮崎は干しマンゴを齧り、咀嚼しながら言った。「ここを片付けたら、今度はお前だぞ」
 ダガーのような鋭利な宮崎の視線を受けた東京は臆せず、含みのある笑顔で見つめ返した。
「てやんでぃ、勝てたらな。正直勝算は薄いんじゃねえの?お相手は完全に化け物だし?」
「……」
「だから殺死愛夢運営委員会はこれを寄こしたやんでぃ」
 と言い、東京はスポーツパンツの股間に手を突っ込んだ。宮崎は眉間にしわ寄せ、変態を見る目で東京を見た。
「どこに仕舞ったか……あった」手を引くと、東京の手は刃渡り2フィートのカタナを握っていた。一体どうやって仕舞っていたのか。宮崎は目を見開いた。
「マジか、。それって、シュ・ト・剣ではないか?」
「その通りちょんまげ」カタナを完全に引き抜き、伸縮性のあるパンツがペリッと音を立てて東京の腰にフィットした。「県闘を制し、シュ・トの称号を手に入れた闘士のみが与えられる栄誉のあかしの、アレだ。」

 宮崎はシュ・ト・剣を引き切った。

(しかし俺は剣術からきしだぞ)
(でやんでぃ。なら首席として一つアドバイスでぃ。シュ・ト・剣を御すると思うな、県の声を聞けぃ、そうすれば県がキミを導いてくれる)

 左腕を大きく広げ、ラリアットに似た姿勢でシータが迫る。この一撃をまともに受けたら、肋骨が複雑断裂して内臓が潰され、惨死を遂げるだろう。

 宮崎は腰を落とし、右足のつま先を軸に時計回り回転しながら、シュ・ト・剣を左下から右上に繰り出す。右側と頭上に空気が弾いた。宮崎すぐそばに新幹線が通過したと覚えた。

 シータと宮崎が交錯した。攻撃が避けられたとわかったシータは虎の四足でブレーキをかけ、身体を180度回転し、虎の四足でブレーキをかけて、サーッとスライディングして地面に爪痕を残りながら。

「む」人間部分の肉体に違和感がした。腕を上が手見ると、脇下の皮膚に切り傷が生じ、血液が流れた。

「県の声を聞け、なんかわかってきたぞ」宮崎がシュ・ト・剣を強く握ると、彼に応えるように、シュ・ト・剣の刀身は橙色に光った。アリーナにマンゴの甘酸っぱい香りが漂う。

ここで筆者のスマホに謎のメッセージが届いた。[なに一人で盛り上がってんだ。はよ結果を発表せんかハゲ]私は命の危険を感じたため、バトルシーンを割愛することにした。ではラストシーンに行きます。

「ハァ……!ハァ……!」全身がマンゴジュースまみれて、毛皮がねばねばとなったシータは苦しげに六足を地に着けた。マンゴエンハンスメントされたシュ・ト・剣の斬撃を受け、血糖値はすでに5050000にまで上昇!人智を超えた怪物といっても、これまでくるとさすがに耐えられなかった。強烈の目まいに襲われ、シータは気を失い、倒れ込んだ。

 胸と大腿を抉るよう爪痕を残されたな宮崎は残心し、ショートスパッツをずらしてシュ・ト・剣を戻した。一体どうやってそこに納められたのか、謎が深まるばかりである。

 宮崎は静かに腕をあげ、勝利を宣告した。臀部の『something must be done!!』の文字が輝いてるように見えた。

ドン!
ドドン!
クワーン!

「し、勝負あったァーッ!おめでとうございます!第一回剣闘文学トーナメントのチャンピオンがただいま、決まりましたァー!!!」

おめでとうございます。剣闘文学トーナメント、戦いの制した作品、それはグラディエーター ~戦国群雄伝~  です。チャンピオンに拍手を!

 貴人席に腕を組んで座っている東京に挑発的に指差し、宮崎は言った。

「剣を貸してくれてありがとうよ。次は殺死愛夢で会おうぜ。ぶっ潰す!」

「DEATH YOUNG DAYS……楽しみだぜ宮崎ちゃん」

 東京の顔に不敵な笑みが浮かんだ。

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