九×九

「天災、人災、犯罪……新年開始早々いろいろありすぎる!アァーッ!怒り……悲しみ……この心の中に溜まった暗い気持ちをとにかく発散したいぜ!そういえばXから得た情報によると『敵』なる者がこの大変な時に火事場泥棒やっているそうじゃないか!ゆるせねぇ……今すぐ街に駆り出して敵を探して正義の鉄鎚ーーもといこのネイルハンマーで頭をぶっ叩いてやるぜ!」

「街に出たぜ!早速ずる賢そうな人間を発見!こいつは敵に違いない!Xの情報によると敵は九九を初等教育で学んでないから言えない、また言えたとしても発音がおかしいから一発でわかるそうだ!さっそく凸るぜ!おいそこのおまえ!」
「えっ、なんですか?」
「おまえ敵だろ!九九読んでみろや!」
「ちょっ、いきなりなんなんですか!?」
「九九早くしろ!このネイルハンマーが見えないか!」
「わかった!わかったからやればいいでしょう!脅かさないでくださいよ!」
「早くやれ!」
「急かさないでくださいよ、心の準備が必要だから……じゃ、いきます。スゥー……可可と、スクールアイドルを始めてみませんか?(裏声)」
「は?」
「きゃぁ~恥ずかしい!これで満足ですか?」
「いや、なに今の?」
「なにって、ラブライブスーパースターに登場する唐可可というキャラのモノマネなんですけど」
「ラブ……?なにそれ?」
「ご存じない!?そうかー、コンテンツ全体が斜陽化してるもんな」
「しらばくれてんじゃねえぞ!九九といえば算数!本邦なら初級教育で並んだアレだろうが!」
「なんだそっちか。早く言ってくださいよもう」
「じゃ、行きます。スゥー……九九八十八(迫真の表情)(クソデカ声)!!
「は?」
「以上をもちまして九九終了いたしました!!御静聴感謝します!!」
「いや最後しか言ってないし!しかも間違っているし!」
「なんと、男の初等教育である魁!!男塾に登場する作品一のインテリ、田沢一号生によると九九をご存じでないと!?」
「さっきからなに訳のわからないこと。もういい、もう俺の中ではおまえは敵と認定だ!ハンマーを食いやがれ!」
「ふふふ、ここまでのボケに晒されてもなお闘志が減らぬか。では吾も本気を出そう!はあああああーー!!!」
「うわ、さっきまでずる賢そうな男が青黒膚に背中コウモリ翼が生えた悪魔じみた姿に!?」
『ネミネミネミ……吾こそが全生物、ひいては全無生物と敵対する存在ーーエネミーネメシスであるッ!』
「エネミーネメシス!?」
『そうだ。この地球に起こる天災、人災、犯罪はすべて吾が意図的に仕込んだのだ』
「なぜそんなひどいことを!?」
『ネミネミ……それはテレビに映る人々が苦しむ様は吾にとって無上の喜びであるからだ!』
「何たる外道……!」
『ネミネミネミ!憎かろう!しかし貴様ごとき何ができる?』
「できるできないかの問題ではない。俺は、やるんだ!このネイルハンマーでその頭をぶっ叩いてやるッ!」
『よかろう。かかってこい!』
「ウオオオーーッ!!」

彼の勇気が世界を救うと信じて……!

(お読くださり感謝します)

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