男の子の傷のえぐり方がうまい!

BBQの焼き方がヘタだといって離婚したカップルがいたと聞いて、そりゃさすがに嘘だろうと思っていたのだけれど、もしかしたらそういうこともあるかもしれないなあと思い直した。

昼過ぎの蕎麦屋はえらく混んでいて、とはいってもあと20分もしたらすぐに空いていくに違いない時間でもあった。ぼくはふらりと入った行きつけの蕎麦屋で、てばやくモリを頼む。慌ただしくスーツ姿の中年男性が携帯電話を片手に飛び出していく横から夫婦と覚しき男女がはいってきた。

男性は天ぷら蕎麦が食べたかったのか、天ぷらを頼んだ。そしたら「忙しい時間は天ダネやってないんですよ」とちょっと申し訳なさそうに花番さんがいう。それをきいてがっかりした男性が「じゃあきのこ蕎麦で」と言った。

そのあとである。いきなり女性がぶち切れた。その理由は大まかにいうとこうだ。

1.忙しい時間に天ダネをやっていない事はメニューに明記されてある。
2.天ぷら蕎麦が食べたいといったのに、天ぷらの代替品にならないであ  ろうキノコ蕎麦を頼んだ。許せん。
3.あなたはいつもそう。代替案と状況が噛合っていないのに、そのことについて無頓着すぎる。ほんとうにアホでどうしようもない。
4.ずっとまえからそういうところを直して欲しかった。

難しい。1は確かに男性のミスであるが、2に関しては個人の好みではダメだったのか。3はいろいろ溜まっているのは理解できるが、はたしてそれは蕎麦の注文に見えるところなのか。4は、できれば家で言ってほしかった。

すっかりしょげかえった男性は無言でキノコ蕎麦をすすり、女性はとろろ蕎麦を時間をかけて食べて帰った。理解できないことが多かったが、つまり、いろいろ溜まっていたのが爆発した、ということだろう。

男性自分の判断を責められると傷付く。

というようなことがあったのだけれど、男の人がしょげかえるのは2のところだ、ということが女性にあまり理解されていないのではないかということに思い至る。

3とか4とかはもう開き直ってしまうしかないのだが、「代替案がカス」と言われることは男性の知性やオルタナティビティに対する疑問を突きつけられているので深く傷付くのだ。

一つのことで責めたりない女性というのはどこでもよく見る。よく見るが、なぜそんなに一度に一杯責めるのかわからない。

BBQの焼き方離婚もそういうことだったのだろう。焼き方が問題なのではなく、焼いている作業の合間にやる仕事や作業の動きが全部気に入らないという状態だったにちがいない。そう、容易に想像が付くのである、つくのであるが、あんまり責めないであげてほしい。

昔のことや未来のことを考えるための、書籍代や、旅行費や、おいしい料理を食べたり、いろんなネタを探すための足代になります。何もお返しできませんが、ドッカンと支援くだされば幸いです。