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福岡グルメ・観光

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個人的な福岡のおすすめグルメと観光スポットを紹介しています
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2020年12月の記事一覧

福岡の「明太子」事情あれこれ

誇張が過ぎる『秘密のケンミンSHOW』の影響ばかりではないでしょうが、福岡県民が毎日明太子を食べているイメージは誤りです。印象ではなく、数字で示したいと思います。 最新の総務省統計局の調査によれば、たらこの年間購入量は福岡市が1,555gで1位、購入額でも6,527円で1位。ただし、これを本数で換算すると、1世帯あたり35本の明太子を食べていることになります。単身世帯でも、これでは毎日食べているとは言えないでしょう。 ここから先は印象ですが、自宅で食べる家庭用よりも、贈答

今年の年末は一人「手締め」

時代劇における人気キャラ「遠山の金さん」。演じた俳優も数多く、誰が一番のはまり役だったかについて議論もありますが、自分は断然、中村梅之助さん(中村梅雀さんのお父さん)派。 梅之助さんは『遠山の金さん捕物帳』のほか、『伝七捕物帳』にも主演、人気シリーズとなりました。同作のラストには、梅之助さん演じる岡っ引きの伝七が、「ヨヨヨイ ヨヨヨイ ヨヨヨイヨイ めでていな」の二本指締めをするのがお約束。これが子供心にも楽しくて。 祭りや宴会、結婚式などの終わりに行われる「手締め」。全

椎名林檎に井上陽水も「ご当地ソング」(福岡編)

地名や方言などを歌詞に織り込んだ歌を「ご当地ソング」といいます。“ご当地ソングの女王”の異名を持つ、水森かおりさんら演歌のイメージがありますが、実際にはさまざまなジャンルの音楽による「ご当地ソング」が存在。 福岡は芸能人が比較的多いこともあってか、「ご当地ソング」も結構あるのですが、ここでは非演歌系を何曲か挙げてみます。まずは、椎名林檎さん「正しい街」。椎名さんが学生時代を過ごした福岡市の風景が、「百道浜」や「室見川」といった歌詞を交えながら描かれています。 次は福岡市出

国宝金印ともう一つの藩校「甘棠館」

「日本3大がっかり名所」といえば、札幌市時計台・高知市はりまや橋・長崎市オランダ坂。期待していたほどのことはなかった、という意味では、福岡市博物館所蔵の「金印」もそうかも知れません。国宝として教科書で見た印象とは異なり、ほとんどの人が「小さい…」と思うことでしょう。 江戸時代に市内の志賀島で発見され、 福岡藩主黒田家に代々伝わった後、1978年に福岡市に寄贈されました。印面の5 文字は「漢倭奴国王」と読むことができ、 弥生時代に福岡平野を統治した奴国の国王が、当時の中国皇帝

佐藤栞里さんも絶賛!福岡「今屋のハンバーガー」

今夏、テレビ東京では『女子グルメバーガー部』というドラマを放送していました。ここ数年、グルメバーガーといわれる、こだわりのハンバーガー店が増えているとか。 1971年、マクドナルド1号店が銀座に誕生してから半世紀。ハンバーガーは日本の食文化にすっかり定着。より美味しく、多彩になってきました。というわけで、個人的なハンバーガー史と、福岡の絶品グルメ「今屋のハンバーガー」を紹介したいと思います。 子供の頃、地元に先に出現したハンバーガーチェーンは「ドムドムバーガー」。当時は知

博多っ子御用達「水炊き長野」が美味すぎる件

ポピュラーな料理ながら、一応、福岡の郷土料理としても知られる「水炊き」。子供の頃から自宅でよく食べていましたが、専門店で食したのは社会人になってから。 明治時代、市制施行時の福岡市は、おおまかにいうと、武士のまち「福岡部」と商人のまち「博多部」で成立。直後に「福岡市VS博多市」論争が起こるのですが、これはまた別の機会に。 そんな旧「博多部」で仕事をしていた若き日の自分。ある団体の担当をしていて、その新年会が毎年行われていたのが「水炊き長野」でした。味にうるさい中高年の皆さ

「角打ち」発祥の地 北九州ではしご酒

福岡市と北九州市。共に屋台で有名ですが、大きな違いはお酒の提供。北九州市の屋台は、おはぎはあってもお酒が出ません(持ち込みはOKな所も)。その代わりといってはなんですが、北九州市は「角打ち」発祥の地ともいわれ、市内の酒屋さんでお酒が飲める場所が、百数十軒あります。 2005年には「北九州角打ち文化研究会」も発足。北九州市役所も、観光資源として積極的に情報発信し、初心者や女性でも安心できるスポットとして、人気を集めています。というわけで、自分も行ったことがある「角打ち」酒屋さ

コンパクトシティの演劇空間『博多座』

福岡市の“売り”を表現するのに使われる「コンパクトシティ」。空港から都心部までが5~10分など、交通や商業など都市機能が狭い範囲に集積されている上に、大相撲・プロ野球・プロサッカー・ドームコンサートなどエンタメも充実。それでいて、食料物価の安さは20大都市中で第1位。 そんな福岡市の数少ない弱点だったのが商業演劇。市民会館などでの数日間の公演はあっても、かつては常設の演劇専用施設がなかったのです(正確には、劇団四季の専用常設劇場「福岡シティ劇場」が先行してあったのですが、入

『キングダム』もやってくる!「福岡市美術館」のすすめ

原泰久さんの大人気マンガ『キングダム』の展覧会「キングダム展 -信-」が、2021年夏に上野の森美術館と福岡市美術館で開催されることが決定しました。 全国にはわざわざ観光で行きたくなるような、魅力的な美術館が少なくありませんが、福岡市美術館もその一つ。その魅力について周辺も含め語ってみましょう。 まずは建物。世界的な建築家ル・コルビュジエに師事した前川國男さんの設計です。外壁や床に多用されるレンガ風のタイルが、周辺の緑豊かな大濠公園内に溶け込み、エスプラナード(中庭的広場

三大ちゃんぽんは久留米「光華楼」推し

日本にはさまざまな分野で「三大○○」というものがあります。「三大河川」(信濃川、利根川、石狩川)や「三筆」(嵯峨天皇、空海、橘逸勢)など確定的なものもありますが、「三名泉」や「三大奇祭」などは、4つ以上の候補が入り乱れていて、自称も多い気がします。 長崎市の四海樓が発祥とされるちゃんぽんの場合、「長崎三大ちゃんぽん」なら長崎・小浜・平戸で確定。ところが、「日本三大ちゃんぽん」だと長崎・小浜・天草なのに、「九州三大ちゃんぽん」となると長崎の四海楼・福岡の福新楼・ 久留米の光華

北部九州「かしわうどん」3選

九州を含めた西日本では、鶏肉のことを「かしわ」と呼ぶことがあり、「かしわ飯(鶏肉の炊き込みご飯)」の駅弁が名物だったりします。 「かしわうどん」のかしわとは、鶏肉を甘辛く煮て、そぼろ状態にしたもの。肉うどんより安価な上、そぼろのエキスが汁に溶け込んで濃厚な味。九州らしい柔らか麺に、そぼろが絡んで絶品です。 というわけで、有名な「かしわうどん」の名店を3か所ご紹介。まずは佐賀県JR鳥栖駅構内の立ち食いうどん「中央軒」。構内に4店舗もあり、同じ味のはずなのに「6番線の店が一番

日本一おいしい説 福岡「吉塚うなぎ屋」

現在では鰻料理は全国で食されていますが、「蒲焼」は元々は江戸料理ですし、「うざく」は三重県の郷土料理、「ひつまぶし」は名古屋発祥など諸説あります。 鰻料理を名物としている都道府県の一つが福岡県。大まかにいうと、3地域に鰻屋の密集地&名店が存在します。まずは柳川市。蒲焼をタレをかけたご飯の上に乗せて蒸し上げる「せいろ蒸し」発祥の地。創業1681年の「元祖 本吉屋」を中心に、市内には約30店舗の鰻屋が存在。 次は久留米市。日本三大暴れ川の一つである、筑後川沿いの大善寺町黒田地

引揚港「博多」とモニュメント

かつて「岸壁の母」というセリフ入りの歌が流行っていたことがあります。シベリアからの引揚船で帰ってくる息子を待つ、実在の母親をモデルにしたもので、映画化もされました。 1945年の敗戦時には、軍人・民間人併せて660万人ともいわれる日本人が海外に居住。それらを早期に帰国させるため、国(厚生省)は佐世保、博多、鹿児島、唐津、仙崎、宇品、舞鶴、田辺、名古屋、浦賀、函館の11カ所に地方引揚援護局を設置しました。 「岸壁の母」に歌われた港が舞鶴だったためか、引揚港というと舞鶴のイメ

福岡「屋台」の流儀

「アジアの玄関口」といわれる福岡市を、最も象徴するものといえば「屋台」。1960年代のピーク時に比べれば、大きく減少したとはいえ、現在でも100軒余りの「屋台」が市内数か所に集中。夜の都心に、何件もの屋台が立ち並ぶ姿は、壮観ですらあります。 とはいえ、福岡の人ならば、誰でも屋台を利用するかというと、そうでもなく。意外に一度も行ったことがないという人も多いものです。自分自身、社会人になって同僚に連れていかれたのがきっかけ。以降、地元の屋台ブックを片手に、全屋台制覇に邁進し、行