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映画「mellow」

mellow

開始3分で、これただただ田中圭がカッコいいだけの映画だろって思いました。全然違った。凄く良かった。

いやぁ、あんな風に誰かを好きになれたら、最高なんじゃないか。この映画、好きに気づいた瞬間ていうのが、ないのが凄くいいんですよね。いつの間にか、緩やかに好きになってた。mellowって「熟した」とか「円熟」という意味らしいのですが、本当にそんな感じで、長い時間の中で、いつの間にか好きという気持ちが熟れていて。
じゃあその好きって気持ちどーすんの?という感じで、物語の軸は「告白、言う?言わない?」ということ。人妻、女子中学生、ラーメン屋女店主、2流AVみたいなラインナップだけど、みんなそれぞれの立場で、好きの感情の行方を探していました。こればっかりは正解はないし、良い悪いもないと僕は思うんですけど、まあ確実に言えることは、好きなようにしたらいいっていうことですね。終盤のお父さんの手紙から引用しましたけど、結局全部そーいうことだと思います。実っても実らなくても、いつかもっと大人になって振り返ってみたら、あの時の熟れた好きという気持ちを伝えた思い出さえも熟れて、笑えるんじゃないかなと思いました。

で、このmellowという映画。緩やかで甘酸っぱい雰囲気を最後まで纏いながら、好きの感情への向き合い方、環境と感情のギャップとかをユーモアに描いていました。この話をユーモアに描いていたっていうのが凄いと思いました。やばいくらい事件という事件は起きないし、突飛なキャラクターも変なノリもありません。人と人の会話の中でしか生まれない「ズレ」とか、誰しもが経験のあるようなクスっとなるような細かい種類の笑い。あの角度で、人を笑わせようとしていて、実際ユーモアな会話シーンだけ浮いてるみたいなこともないし、すごく自然でした。
そして自然といったら、役者の方たちやば過ぎました。美容師さんは本当にどっかの美容師のおばちゃん捕まえてきたんかっていうくらい美容師のおばちゃんだし、閉店間際にラーメン食いに来た爺さんも、本当に閉店間際にラーメン食いにいく爺さん捕まえてきたんじゃねえかなっていうくらいの閉店間際ラーメンジジイでした。会話の言葉の運び方がすごく自然なんですよねえ。

セリフも衣装もすごく丁寧に作られていて、手も繋がないしキスもハグもしない、変化球だけど真っ直ぐ刺さる恋愛映画でした。
そして、これはただの田中圭がカッコいい映画じゃありません。田中圭の潜在能力を全て引き出したアルティメット田中圭が観れる映画です。色々な人の気持ちに対して、優しさと花を持って向き合う田中圭はエロすぎました。

観て良かったです。俳優さんたちみんな好きになったなあ。登場人物全員が魅力的に映る今泉監督の作品、他も観てみたいと思います。ありがとうございました。

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