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僕が天使になった理由 感想

前書き

全体評価 : 95/100
作品の構成が群像劇なので、章ごとに分けて感想を書き殴っています。
結構長め。ネタバレあります。

1章『駆け出すキモチ』

評価 : 78/100
学生同士の甘い恋愛ラブコメ。
選択肢無しの一本道の王道な展開は、やっぱ安心感あって面白いですね……

2章『夢と現実』

評価 : 73/100
この章の主役が先生だったので、生徒との恋愛か!?と思ったらそこは違いました。
1章で学生青春ラブコメした直後の章の題名が夢と現実でめちゃ笑いました。
夢と恋愛どっちを取るかの選択を迫られるお話。
全体を通して春貴がとてもかっこ良かった。
選択肢は欠片返さない方が好き。
選択肢が正解不正解ではなく、どちらもあり得た未来になっているのはとても好みな構成です。

3章『心の在り処』

評価 : 70/100
恋愛を取るか友情を取るか。
この章の主人公の女の子がネガティブ思考なので、プレイ中は結構きつかったです。
選択肢は返す方が好き。
恋愛を取って唯一の親友と仲違いするシーンでは、文子は事前の相談だったり、バレるにしろいきなり行為をしようとしてる所じゃなければ、とか色々と駄目な所はあるし、美里は頭に血が上ってしまっているしで、恋愛も友情も取ることも出来たんじゃないかなあとは思ってます。

4章『同じで、違って、同じもの』

評価 : 82/100
同性愛のお話。
エロゲでこの題材は初めて触れました。
選択肢は返さない方が好きです。
巴が能瀬に対して、まずは君が行動するべきだと諭すところは本当に好み。
やっぱり当事者同士でぶつかって欲しいなあって思います。
巴ならこうするよね~~~と強く思うというのもあります。
この章に限らずなんですが、群青劇故に第三者である主人公組、主にアイネがでしゃばる際に「部外者」がなんか言ってるなあ感が強くあったので、問題の当人達で解決させよう、あくまで自分は他人だというスタンスの巴は好きです。
堅物生徒会長が嫉妬で巴を嫌ってるの、とても好き。

5章『未来の描き方』

評価 : 68/100
大人と子供での恋愛のお話。
責任の在処だったり、逃避や共依存だったり。
選択肢は返さない方が好き。
少しの選択、少しの行動やきっかけ次第で自分の世界は大きく変わるという結末は好きです。
傷のなめ合いしてる人達は、当然好きなんですけど、大人が子供となめ合いしてるのは何かなあ……感を感じてしまうので、そういう意味でも返さない方が好きです。
創作における「大人」はしっかりと責任を果たす感じでいて欲しいというのがあるんですよね。
読んでる最中は正直嫌いよりだった辻さん。最後の最後はきっちりとしてくれたので最終的には良かったです。

6章『君の手を離さない』

評価 : 43/100
壊れてしまった女の子のお話。
救いが無さすぎるので選択肢どっちも嫌いです。
……あと、この章の選択肢には実質的な「正解」があるのがこの作品のコンセプトを壊してると感じてしまい嫌いです。
私は基本的にハッピーエンド厨なので……
ここで言うハッピーエンドは登場人物が幸せかどうか、望んだ結末かどうかであるので、マジでこの章は無理だった。
凌辱描写がシンプルに汚いと思ってしまったのも、普通に警察に行けよと思ってしまったのもある。
章の評価ではないが、アイネがお祈りの内容を聞こえるのは天使らしいと言えばらしいんですが、自ら誘導してお祈りをさせて、事情を全部知った上で知らない体でその後のアドバイスをするのはどうなの……

百合ルート

評価 : 78/100
壊れた姉妹の救済のお話。
作品全体の構成が群像劇故に、主人公とヒロインのお話と見た際には恋愛感情の唐突感や掘り下げの薄さなどマイナス点はありました。
ただ、これも群像劇の一つだと思うなら、そのマイナス点は些細なものでした。
選択肢は返す方が好き。
桃ちゃんのラストCGが美しすぎる。
巴はまた重たいものを背負ってしまった。百合もまた、近い未来で真実をしって絶望することになるのだろうけど。
それでも、幼くして両親が亡くなり、その原因が事故とは言え姉にある。
その姉は、自分が原因であることを否定せず、自分のいうことを何でも聞く奴隷になった。
肉親の仇が肉親という壊れてしまうには十分すぎる条件に、その責めを100%肯定してしまった姉という環境は桃が壊れるには十分すぎたんだなと。
百合も十分壊れてますが、心が欠けていたという理由もあった。でも、桃にはそれすらなかったんですよね……
心は欠けず、正常のままに狂った少女。だから、天使にはどうすることも出来ない。
そんな桃が、お姉ちゃんを想って出した最後の結論。
これまで姉と自分に関わる人間全てを排除しようとし、駄目なら取り込んでしまうという狂気を見せた彼女が、最後に自分が消えることで姉を幸せにするという結論を出した。
その結論が正しいかどうかなんてわからない。きっともっといい結論はあったのだと思う。だけど、私はその結論を尊重するし、美しいと思ってしまったんだ。

みなもルート

評価 : 77/100
アイドルとの恋愛のお話。
そして、主人公である巴の救済のお話。
選択肢は返す方が好き。
一貫して「みなもによる巴の救済」がメインテーマになってるみなもルート。それが最後まで一貫した返す方の選択肢が好きです。
まあ、10年後とかにしれっと復縁してもろて……歌メインでそこそこの年齢となれば結婚とかしても別にだしね。
そういう意味で、この分岐は未来で恋愛する希望があるのも好きです。
個人的な好みとして、お母さんは言葉でちゃんと説明しよう!!!となる。
表向きは厳しいけど裏では優しい~~的なものになんも良さを感じないので……
先に百合√やってると巴ってここまで性欲ない???ってなるけどどちらかと言うとこっちの方が解釈一致でした。

奈留子ルート

評価 : 88点
天使に振り回されるお話。
選択肢は応えない方が好き。
巴と奈留子好きだ~~~~と個別で一番読み込みました。
それ故に、結局作中ではちゃんと恋人として結ばれる分岐がない(あるけど)のが残念。
応えない分岐が好きなのは、二人でバカやってる姿がこれからも見てえ~~~と思ったから。
なので応える方も好き。他の赤い糸の影響で破局したカップルは少なくともお互いのこと認識はしてる感じだったのに、巴と奈留子はお互いの記憶すら消えてるのは「そうでもしないと別れない」感あって大好きです。
そして、このルートで一番株を挙げたのは間違いなく清人。
巴に「お前がどうしたいのか」と発破をかけつつ、自分は奈留子の為に身を引くことを躊躇わないのは実にブーメランだなあと思った。
まあ二人とも好き、と言うのも嘘ではないのだろうけどもね。
天使のあれこれが明かされることにもなって、なんというか、そうかあ……と思った。
アイネが黒い翼に対して軽蔑しますって言った直後に自分も染まるのもとても良きでした。

アイネルート

評価 :97点
僕が天使になった理由。
諸々の伏線回収、タイトル回収はめちゃくちゃ好き。
巴とアイネの関係性良きだ~~~この二人だけの話するなら100点ある。いや流石に嘘、でも95点はある。
幼少期巴くん、基本年相応に純粋なのに変な所で大人のいや~~~な影響受けてしまってるの本当にだめ。
私は彼女もきっと巴の無理心中解ってたと思うよ。二人で一緒に天使になろうって本気で想ってたんだろうなあ(要考察)
肝心のシナリオに関しては、急に地球の救済とスケールがやばくなってちょっと理解まで時間かかった、とはいえ最低限の説得力はあったしこの辺はもうちょい共通で伏線欲しいな~~~って思いながら群像劇だからむずいか、ともなる。
相変わらず普通に結ばれてはくれなかったりと中々一筋縄ではない故に、ハピエン厨の私がこの終わりはハピエンなのか審議してます。結果は出ない。

後書き

総評 : 95/100
群像劇で色んなお話を見れるのは面白かったけど、反面ヒロインの深堀に欠けていた印象。
これは、基本構成は群像劇だけど、最終的には主人公とヒロインの恋愛になるっていう作品全体の構造の問題点ですね。
個別でヒロインの心の欠片を返すイベントがある以上、深堀はもう少し欲しかったな~~~と思う。
結果的に百合さんとみなもちゃんが個別で急に惚れてるみたいになってる。勿体ないなあ。
奈留子とアイネはどっちも感情が重たすぎて好き。どっちがより好きかといわれるとギリ奈留子かなあ。自分で恋心捨てちゃうの大好きなんだ。
ただこれ95点と96点どっちが上ですか見たいな話ではあるのでどっちもとても好きです。
後やっぱ個別での展開にそこまで欠片を返してきたかが反映されてるの良いよね、ただ単純に分岐条件というだけじゃないのは好きです。
章ごとの評価より総合評価が高いのは、奈留子×巴とアイネ×巴でめちゃ好きなカプが2つもあるからです。
この辺はおすすめしてくださったFFの方に感謝ですね。
自分だと見つけられなかった作品、沢山ありますからね。進めて頂けるのはとてもありがたいことです。


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