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【セカコの世界史2024】 3-1 都市の出現から文明の成立へ

 

都市の出現

セカコ:今回は都市の出現から学んでいきます。

先生:はじめに、新石器時代に出てきた「集落」と、今回出てきた「都市」の違いから確認していきたいと思います。「集落」と「都市」はどう違うと思いますか。

セカコ:どちらも人が集まって暮らしている場所です。規模の違いかなあ。集落の方が人口が少なくて、都市の方が多い。

先生:そうですね。人口規模の違いは、集落と都市を分ける一つの指標と言って良いでしょう。集落というとどれくらいの人口だと思いますか。

セカコ:青森県の三内丸山遺跡に行った時に、人口が五百人くらいだったと知りました。だから、新石器時代の集落というのは、数百人から、多くて数千人くらいだと思います。

先生:遺跡によってまちまちですが、その数字でだいたい当たっています。では都市はどうでしょう。

セカコ:都市は数万人かなあ。数千人でも成り立つと思いますが、最低でも五千人以上は住んでいるイメージです。

先生:そうですね。時代や地域によって異なりますが、古代メソポタミアで成立したシュメール人の都市がそれくらいの規模です。ただ、集落と都市を分けるのは人口規模だけではないんです。他には何か思いつきますか。

セカコ:そうだなあ。集落は、みんなで狩猟をしたり、採集をしたり、農業をしたりしているイメージがあります。都市は、色々な職業の人がいて、商工業者とかですね、それで、取引などが行われているイメージです。

セカイシシ:その通りじゃ。集落と都市の違いは、主に人口の規模や機能の違いによって区別される。
 集落は、家族や血族、氏族などが集まって共同で生活する小規模な集団を指しておる。集落は、農耕や牧畜、漁労などの生産活動を中心に行われ、住居や生活用品などの生産も集団で行われる。集落は、共同体の中で協力しあいながら生活することが重視され、共同体の中には、文化や習慣などの共通点が多く見られる。
 一方、都市は、集落よりも人口が多く、商業や政治などの機能が発達しておる。都市は、交通・流通の拠点として発展し、文化・芸術・科学技術などの分野でも発展しておる。都市には、多様な人々が集まり、異なる文化や習慣が交流することで、文化や芸術、科学技術などが発展するのじゃ。

先生:セカイシシさん、ありがとうございました。集落の人口が増えて、色々な職業の人々が現れ、色々な機能を持つようになったものが都市だということがわかりました。

セカコ:集落が都市に成長していったのでしょうか。どのようにして集落は都市になっていったんだろう。

先生:灌漑農業や治水により、生産が増大し、(1)余剰生産物が増えると、農業に従事しない人々が現れ、(2)職業の分化がおこりました。

セカコ:職業の分化って、どういうことですか。

先生:農業に従事しない人々が現れ、職人とか、商人とか、いろいろな職業の人たちが現れてきたんです。

セカコ:どうして、灌漑農業や治水により、生産が増大し、(1)余剰生産物が増えると、(2)職業の分化がすすむんですか。

先生:新石器時代の農業集落では、基本的に全員が農民でした。土器も石器もみんなで作っていたと考えられています。土器づくりが得意な人も苦手な人もいただろうし、石器づくりが得意な人も苦手な人もいたと思います。でも、基本的に全員が農民でした。

セカコ:どうして全員が農民なんだろう。そういえば、江戸時代の日本も八割以上が農民だったって習いました。地理で学んだ発展途上国の中には、第一次産業の人口割合が高い国がたくさんありました。何か関係があるのかな。

先生:そうですね。社会を維持するために、つまり、全員が食べていくのに必要な分の食糧を生産するために、それだけの労働力が必要なんです。農業の生産性が低いと、大勢で農業をしないといけない。全員が農民であるということは、1000人の集落で、1000人が農業をしないと食べていけないということです。ところが、治水や灌漑など、農業技術が向上して、生産性が上がるとどうでしょう。例えば、1000人で農業をして、2000人分の食糧が作れたらどうしますかね。

セカニャン:たくさん食べるニャ。

セカコ:私だったら半分を売ります。

先生:二人ともいい答えです。でも、今求めているのは、違う答えなんですね。

セカコ:あ、わかった!わかりました!

先生:セカコさん、どうぞ。

セカコ「500人で農業をして、あとの500人は別のことをします!

先生:その通り、こうして職業の分化が起こります。農業以外のことをして生計を立てる人々が現れるんです。もう一度テキストを確認しましょう。

 生産が増加し(1)余剰生産物が増えると、農業に従事しない人々が現れ、(2)職業の分化がすすんだ。

セカコ:地理で習った言葉を使うと、第一次産業の割合が下がって、第二次、第三次産業の人口割合が増えるってことですね。

先生:そういうことです。どんな職業が出てきたと思いますか。

セカコ:金属を扱う鍛冶屋とか、家を建てる大工さんとか、あとは、お店やさん。

先生:そうですね。特定の商品を専門に製作する鍛冶屋や大工など(3)手工業者や、交換や交易を専門に行う(4)商人があらわれ、地域間の(5)交易が盛んになっていきます。    

セカコ:そうやって(6)都市が成立したんですね。

先生:そうですね。数百年とか、もっと長い時間をかけて、集落の規模が大きくなったり、いくつかの集落が集まったりして、職業の分化がゆっくりと進み、都市が成立したと考えられています。また、交易の拠点となる場所に手工業者や商人が集まり、都市が生まれる場合もありました。

セカコ:周辺の集落から食糧を手に入れることができれば、第二次産業と第三次産業で生きていくことができます。

先生:その通りです。 アフロユーラシア大陸では、おおよそ(7)前4千年紀 に最初の都市が成立しました。アメリカ大陸でも、遅くとも前 1 千年紀までに、都市が成立しました。

セカコ:また出てきた。「千年紀」って苦手です。前4千年紀って、いつからいつまででしたっけ。確か紀元前4000年から紀元前3001年までかな。

先生:当たっています。千年紀は1000年を一つの単位として数える年代の数え方です。英語では「ミレニアム」と言います。わかってしまえば難しくないんですが、慣れていないと、難解に感じてしまいます。

セカコ:まとめてみました。

セカコの世界史マイノート 千年紀(ミレニアム)

紀元前第4千年紀
紀元前4000年~紀元前3001年

紀元前第3千年紀
紀元前2000年~紀元前2001年

紀元前第2千年紀
紀元前2000年~紀元前1001年

紀元前第1千年紀
紀元前1000年~紀元前1年

第1千年紀
西暦1年~西暦1000年

第2千年紀
西暦1001年~西暦2000年

第3千年紀
西暦2001年~西暦3000年

セカコ:私たちは、第3千年紀の始まりを生きているんですね。

先生:そうですね。私は第2千年紀の終わりに生まれました。2001年には、新しい千年紀=ミレニアムの始まりということで、世界中が盛り上がっていたのを覚えています。

セカイシシ:2001年には新しい千年紀の始まりであるミレニアムが迎えられたことを祝って、世界中で様々なイベントや祝祭が行われた。ヨーロッパやアメリカ、アジアなど世界各地で、花火やライブコンサート、文化祭などが開催され、多くの人々が新しい時代の始まりを祝った。また、ミレニアムに合わせて世界各地の有名な建造物や観光地がライトアップされたり、ミレニアム記念硬貨や記念切手などが発行されたりするなど、様々な形で祝福された。

セカコ:千年紀の変わり目を生きているって、なんだか得した気分です。1000年に一度しかないんですよね。

先生:そうですね。

セカコ:千年紀については、慣れるしかないですね。

先生:よく買い物に例えて説明しています。

セカコ:買い物ですか。

先生:ある値段のものを買うときに、お札を何枚出すかという計算方法と、千年紀の考え方が一緒なんです。

セカコ:どういうことですか。

先生:2023円のものを買うときに、千円札は何枚出しますか。小銭は持っていない場合です。

セカコ:3枚です。

先生:では2023年は第何千年紀ですか。

セカコ:第三千年紀です。

先生:この二つは、実は同じ計算をしているんです。

セカコ:なるほど。

先生:2000円のものを買うとき、千円札が何枚必要ですか。

セカコ:ぴったり2枚です。2000年は第二千年紀ってことですね。

先生:お釣りがいらないときは、それがその千年紀の最後の年であることを示しています。

セカコ:何となくわかってきました。

先生:この方法は、千年紀(ミレニアム)だけではなくて、世紀(センチュリー)でも使えますから、覚えておくと便利です。

セカコ:わかりました。世紀(センチュリー)は100年で1世紀なので、100円玉で計算するんですね。

先生:お察しの通りです。100円玉だけを使って買い物をします。1582円のCDを買うには、100円玉を何枚出しますか。

セカコ:16枚。

先生:1582年は、世界史ではユリウス暦からグレゴリオ暦に改暦した年、日本では本能寺の変が起きた年です。何世紀ですか。

セカコ:16世紀です。なるほど、年代の計算と買い物の計算が同じだということがよくわかりました。これはとてもわかりやすいですね。中学生の頃に知りたかったです。

先生:千年紀や世紀がわかったところで、先に進みましょう。

セカコ:先ほど、 アフロユーラシア大陸では、おおよそ(7)前4千年紀 に最初の都市が成立しましたが、アメリカ大陸では、前 1 千年紀までに都市が成立したとおっしゃっていました。アメリカ大陸の方が遅いのは、どうしてですか。
 
セカイシシ:アフロユーラシア大陸においては、新石器時代の終わりに河川流域での農業生産力の向上や貿易の拡大が加速し、都市が形成されていった。一方、アメリカ大陸においては、農業生産力の向上や貿易の拡大がゆっくりと進んだため、都市化も遅れたと考えられておる。また、アメリカ大陸には、馬やラクダなど馬力のある大型の家畜が存在しなかったため、移動や輸送の手段が限られていたことも、都市化の遅れに影響を与えたと考えられておる。家畜を使った交通手段があることで、商品の流通が容易になり、都市化が進展しやすくなるためじゃ。アメリカ大陸は、長距離の貿易や農業の発展など、都市化を促す要素が不足していたことが、都市化の遅れの要因と考えられておる。

先生:人類学者のジャレド・ダイヤモンドは、著書『銃・病原菌・鉄』のなかで、両大陸の発展に差が生じた理由として、地理的な環境の差異を指摘しています。東西に長いアフロユーラシア大陸では、似通った自然環境の中緯度地域に農業社会が数珠つなぎに成立したため、交易や交流が盛んになりました。一方、南北に長いアメリカ大陸では自然環境の異なった社会が南北に並んで点在し、交流や交易が行われにくかったと言います。

都市国家の成立

先生:都市国家の成立に進みます。

セカコ:都市が国家になるということですか。

先生:そうですね。都市が、国家になっていきます。ただ、そうではない場合もあります。遊牧国家とか、遊牧帝国と呼ばれるものがそうです。これは、家畜とともに移動しながら暮らす遊牧民が、小規模なテントの群れを統率する小集団から、大規模なテントの群れを統率する国家のような社会組織に発展したものです。これについては、別の機会に学びます。今回は都市国家に着目していきましょう。

セカコ:都市がどうやって国家になっていったんだろう。

先生:そうですね。それを考えるために、「国」という漢字について、考えてみましょう。「囗」(くにがまえ)に「玉」と書いて「国」ですね。これは何を表していると思いますか。

セカコ:「囗」(くにがまえ)は多分、城壁です。「玉」は王様のことでしょうか。

先生:「囗」(くにがまえ)は、城壁です。「玉」は「王」とよく似ていますね。

セカコ:最近、藤井聡太さんが活躍するようになって、将棋を見るようになったんですけど、将棋では、一方が「王」で、もう一方が「玉」です。だから、同じ意味で使うんじゃないかなあ。

先生:なるほど。お察しの通り、「玉」は「王」のことを意味しています。

セカコ:つまり、国という漢字の起源は、城壁に囲まれていて、王がいるということなんですね。

先生:そうです。都市国家の起源も同じです。中国の場合、(8)邑と呼ばれた集落が、都市に発展し、城壁と支配者=王が現れて、都市国家が成立していきました。これを「国」と表したと考えられています。*異説もあり。

セカコ:なるほど、王がいるということは、身分の差ができているわけですね。農民や、手工業者や商人だけじゃなくて、支配者が出てきたわけだ。

先生:メソポタミアの例を見ます。都市には、商人や職人のほかに、祭祀をつかさどる(9)神官や防衛のための(10)戦士が住んでいましたが、彼らは神様とやりとりしたり、敵と戦ったりする特別な職業なので、しだいに勢力を強め、富を蓄え、都市の権力を握っていきます。

セカコ:なるほど。

先生:彼らは支配階級となり、彼らに従属する人々との(11)階級の分化がおこりました。

セカコ:カイキュウノブンカ、ですか。

先生:そうです。住民が、支配する者と支配される者に分かれていきます。こうして、(12)階級社会が成立しました。

セカコ:神官や戦士が、人々を支配していると。彼らは税を取り、その税で戦争をしたり、神に祈ったりするわけですね。

先生:そうです。そしてその中から王が現れ、都市を統率するようになります。階級の分化を経て、都市は都市国家へと成長しました。

文明の誕生

先生:集落から都市へ、そして都市から、都市国家へと、社会の成長をみてきました。そしていよいよ、(14)文明が成立します。世界史上の文明は、都市国家とともに成立しました。

セカコ:文明という言葉は、何を意味しますか。文化と似ています。どう違うんだろう。

先生:確かに、日本語だと「文化」と「文明」はよく似ていますね。「文化」と「文明」は、どちらも元号として使われたことがある言葉なのですが、江戸末期から明治時代に、西洋の概念を訳すときに、cultureの訳語として「文化」を、civilizationの訳語として「文明」を充てたんですね。

セカコ:cultureとcivilizationの違いが、「文化」と「文明」の違いということですか。

先生:そうですね。cultureは、ラテン語の「cultura(栽培、耕作)」に由来します。元々は農耕に関する意味合いでしたが、次第に知識や芸術、宗教などの人間の精神的・文化的な生産活動を含むようになりました。農耕を伴わない、旧石器時代についても、文化という言葉を用います。civilizationの由来は ラテン語 civitas で「都市」「都市国家」を意味し、「都市化」や「都市生活」を意味していました。今ではより広い意味で使われています。

セカコ:わかったような、わからないような。civilizationの語源がラテン語のcivitasだということは、文明の起源が都市にあるということですか。

先生:そうですね。授業でよくラテン語や英語を紹介するのは、日本語訳だとわからないニュアンスをお伝えしたいからです。「都市」が「文明」の起源だと言われてもピンときませんが、civilizationがcivitasから生まれたというのであれば、語感から関係が分かります。

セカコ:世界史の教科書だと、文化の段階では、石器や土器、言語が用いられていましたが、文明の段階では、青銅器などの金属や、記録をするための文字、ピラミッドやジッグラトなどの建造物、それにカレンダーが登場しています。

先生:これは、参りました。セカコさんの説明の方がわかりやすいですね。その通りです。もう一つ、大切なことをお伝えしておきます。civilizationや「文明」という概念は、近代以降に成立したもので、メソポタミア文明やエジプト文明の当時を生きていた人々は、自分たちを「文明」とは考えていなかったということです。

セカコ:え、文明って、後から考えられたんですか。自分たちで文明を作っているという意識はなかったと。

先生:そうです。後から、歴史学者が、こういうものが文明だという定義をしたわけです。先ほどセカコさんの発言にあった、青銅器などの金属や、記録をするための文字、ピラミッドやジッグラトなどの建造物、それにカレンダーなどが、文明を定義づけているといっていいでしょう。青銅器などの金属や、記録をするための文字、ピラミッドやジッグラトなどの建造物、それにカレンダーなどが、人類社会の中に、どうやって出てきたと思いますか。

セカコ:人口が増えて、職業の分化や、階級の分化が起こると、専門家が出てくるじゃないですか。鍛冶屋とか、大工とか、船乗りとか。そこで、金属を扱う専門家が、青銅器などの金属の技術を発展させたり、記録を扱う専門家が、文字を考え出したり、種まきや収穫の計画を立てる専門家が、カレンダーを作ったり、建築の専門家が、ピラミッドやジッグラトなどの建築技術を発展させた、ということではないでしょうか。

先生:その通りです。今回、文明に関するセカコさんの説明は、たいへんわかりやすいですね。私が説明するよりも、ずっとシンプルでわかりやすいです。

セカコ:商人や交易の存在も欠かせないと思います。新しい知識や技術、色々な資源などがもたらされることで、新しい技術の発展に貢献するからです。

先生:そうですね。実際に、青銅器の技術などは、今、セカコさんが話したような過程を経て成立したと考えられています。遠隔地間や都市国家間の交易が盛んになり、各地から多様な鉱物や産物がもたらされるようになると、冶金術が発達し、銅と(15)錫の合金である(16)青銅が使用されるようになりました。

セカコ:職業の文化や交易によって、人類は、石器時代から、青銅器時代へと進むことができたんですね。

先生:そうですね。そうそう、よく、石器時代、青銅器時代、鉄器時代という三区分法が用いられますが、これはちょっと注意が必要です。青銅器時代は、実は石器時代だということです。

セカコ:え?青銅器時代は、実は石器時代だって、どういうことですか。

先生:青銅は、どんなものに使われていましたか。

セカコ:武器やアクセサリーなどです。

先生:そうですね。 西アジアでは、前 4 千年紀に斧や刀剣としてつくられ、やがて容器、装身具、留針として用いられました。他にもありませんか。

セカコ:上野の国立博物館の東洋館で見た中国の青銅器は、ツボでした。

先生:その、ツボ、というのは、総じていうと、ウツワ=「器」のことですね。 東アジアでは、前2千年紀に文字通り「ウツワ」としての青銅器を制作する技術が高度に発達しました。 ただし・・・

セカコ:わかりました。武器やアクセサリー、ウツワを使えたのは、階級の分化で成立した身分のうち、高い身分の人だけだったと思います。先生が、青銅器時代は、実は石器時代だとおっしゃるのは、庶民にとっては青銅器は手が届かないものだからです。

先生:その通りです。青銅は高価なので、青銅の農具などはないわけです。青銅は、主に武器や祭器に使われました。中国の「ツボ」は、後日学習しますが、古代中国の祭器でした。お祭りや占いに使う道具なんです。

セカコ:そういえば、弥生時代の銅鐸も、お祭りの道具だと習いました。鉄は違うんですか。

先生:鉄は、青銅と違って、庶民も手にできました。鉄製農具というものが登場し普及したことが、それを物語っています。この話は、鉄器時代に入ったときにあらためて学習しましょう。

セカコ:そうなると(17)文字もそうですよね。識字率は、近代まで低いままだったと習いました。文字を使えたのも、階級の分化で生まれた身分のうち、高い身分の人だけだったということですか。

先生:そうですね。文字は、神意をうかがう祭祀や財政・会計事務を記録するために発達したと考えられています。世界最古の文字記録は、メソポタミアの都市国家(18)ウルクで発見された粘土板です。これは、神官や専門の書記が、記録用の記号として用いたものだと考えられています。

セカコ:カレンダーや建築技術は、どうやって生まれてきたんだろう。

先生:そうですね。文明が成立すると、(19)占星術 や(20)測地術が発達しました。占星術は一見、占いに見えますが、星の動きを観測することから、天文学の発達、暦の成立につながりました。測地術は、農地の区画や都市の区画に必要でした。ここから数学や物理学などの科学が発展し、建築技術の発展に繋がりました。

セカコ:青銅器などの金属や、記録をするための文字、ピラミッドやジッグラトなどの建造物、それにカレンダーなどは、どれも階級の分化によって生まれた高い身分の人々が、低い身分の人々を支配するための道具という印象を受けます。文明は、階級の分化から生まれてきたということになります。

先生:そうですね。ただし、青銅器などの金属や、記録をするための文字、ピラミッドやジッグラトなどの建造物、それにカレンダーなどは、都市国家や文明の発展に寄与し、人類社会全体の発展につながだがことも事実ですね。

セカコ:全員で農業をやっていたら新石器時代から先に進めないままです。階級が分化し、都市国家が成立したことで、青銅器などの金属や、記録をするための文字、ピラミッドやジッグラトなどの建造物、それにカレンダーなどが登場したことがよくわかりました。

重要語句まとめ

セカコ:この節で学んだ重要語句をまとめておきましょう。

1  余剰生産物
2  職業の分化
3  手工業者
4  商人
5  交易
6  都市
7  前 4 千年紀 
8  邑 
9  神官
10  戦士 
11  階級の分化 
12  階級社会 
13  都市国家 
14  文明 
15  錫 
16  青銅
17  文字
18  ウルク
19  占星術 
20  測地術

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