シナリオの作り方

シナリオの作り方

簡単なシナリオの作り方について解説する。

ここでは、初心者がとりあえず自分で遊ぶシナリオを作ることを目指して解説していく。

そもそもどんなシナリオがあるのか?

どんなシナリオがあるのかとなると、昔はダンジョンシナリオ、シティシナリオ、ウィルダネスシナリオなどがあったが、今ではウィルダネスシナリオが聞かなくなり(消えたわけではない)、クローズドシナリオが加わりというように、シナリオの類型として語られるシナリオの分類も姿を変えている。そのため、シナリオを分類してもそれは分類方法や分類するそれぞれの個人で変わるものである、一応ここで挙げたものそれぞれについて簡単に紹介しておく。

ダンジョンシナリオ

ファンタジーもののルールではある程度定番となっている、ダンジョンを探索するというシナリオである。
ダンジョンは遺跡のイメージが強いが、古い屋敷などもダンジョンとなる。
クローズドシナリオと同じく閉じた空間を舞台とするが、ファンタジーもののルールなどで、戦闘を重要な要素とするルールではこの呼び方をし、探索が中心のルールになると、クローズドシナリオと言う呼び方をしている気がする。

シティシナリオ

シティシナリオはある程度広い範囲を自由に探索し、進めていくシナリオである。町ということなのでさまざまな場所を動き回ることが多い。
町でなくても、さまざまな場所を動き回るシナリオではシティシナリオの手法を利用することができる。

ウィルダネスシナリオ

ウィルダネスダンジョンと言われることもある気がする。
森の中などをマスやヘクスで区切り、調査していくシナリオである。
それぞれのマスやヘクスに個別のイベントやランダムなイベントが用意してあり、探索を進めることで目的を達成する。
目的は珍しい植物の採取ということもあれば、どこかに潜む標的の撃破という形にすることも可能である。
応用する形で、現代の町を舞台として、どこかに潜む標的を探し出したり、謎解きをするというシナリオも可能である。

クローズドシナリオ

クローズドシナリオは限られた範囲を探索するシナリオである。
ダンジョンシナリオに近いが、ダンジョンという言葉の似合わないルールや、ダンジョンとして扱われるものよりも小規模な、例えば一部屋程度の範囲(一部屋のダンジョンもなくはないが)を探索する場合にもこう呼ばれている気がする。

ここで扱うシナリオ

いくつか紹介したが、ここではシナリオの種類を以下の三つに分けて解説していく。
ただし、傾向としてこれらの要素があるというだけで、二つ以上の分類を合わせたシナリオもある。

場所のシナリオ

具体的な場所の上を移動するシナリオである。
場所が重要であり、物語への注目は小さいことが多い。
ダンジョンシナリオのように、新しい部屋に入ったり、どこかにある仕掛けを作動させたりということでシナリオが動くというのがわかりやすい。
ひとつの部屋でも、その中でどこを調べるかという要素が強いと、このタイプのシナリオになる。
場所を人に変えたり、時間の概念を加えたりという形で変形、応用させることができる。
例えば、町の中で人もしくは場所を時間を管理しつつ移動してイベントを発生させるシナリオという形にするとシティアドベンチャーとなる。

物語のシナリオ

物語の上を移動するシナリオである。
具体的な場所よりも、物語上の出来事、機能に重点を置くように作成されている。
物語上での行動や要素、合流する、情報を集める、交渉を行うといったもので構成されているシナリオであり、その出来事が起こる場所が多少変わっても成り立つものが多い。
とくに、他の要素と区別するなら、明確な進行ルールを持たず、不可逆的なシナリオであるというのが特徴である。
最近多いという話を聞く(主観)。

ボードのシナリオ

いわゆるボードゲーム的な進行をするシナリオや概念上を移動するシナリオである。
進行ルールがきっちりとしたルールのシナリオがよくこれに該当する。
基本的には進行ルールがきっちりとしたルールのシナリオのほとんどがこれに該当するが、進行ルールをシナリオで設定することでこの形にすることもできる。

すべてのシナリオがこのうちのひとつに完全に絞り切れるわけではないということは覚えておかなければならない。

場面のつながり

可逆的なシナリオという言葉を使ったが、これは後ろに戻ることができるという意味である。
例えば、場所のシナリオ、とくにダンジョンでは先の部屋に入ったあともすでに探索した部屋に戻ることができることが多いが、物語のシナリオでは、何らかの出来事が起きれば後に戻ることはできない。
このような、場所や物語上の場面のつながりが一方通行の場合を不可逆的、一方通行ではなく、いったり来たりできる場合を可逆的としている。
場面のつながりはこのどちらかである。

具体的なシナリオの書き方

これ以上書くと記事が長くなるので具体的なシナリオの書き方を書いていく。

まずはシナリオの内容、コンセプトを考えることが重要となる。

ゴブリンのような敵を退治しに行くのか、それとも、何らかの事件の犯人を追うのか、それをまずは考えなければならない。

次に、そのシナリオにフレームを用意することになる。
このフレームというのは、それぞれの場所や場面を要素とした場合に、どのような要素があり、どのような順番でその上を進んでいくかの大まかな流れである。
物語のシナリオではシーン(場面)自体が要素なので、とくに考えることなくフレームを作成することができる。
場所のシナリオでは、シーンに該当するものが特定の場所で起こるイベントとなるため、フレームの各要素を決めた上で、その要素のある場所にPCを誘導する必要がある。
ボードのシナリオでは、このフレーム自体がルールから提供されていることが多いので、ルールを参考にするとよい。

フレームの中身

フレームには要素、単純化したその場所や物語の一場面の役割が入る。
例えば、PCたちが合流する場面というのは、合流という要素である。
これは、情報収集、戦闘(課題)、手がかり……など、さまざまに存在し、こういった単純化した要素をシナリオの内容に合わせて飾りつけることでシナリオが形になっていく。
そして、それを場所のシナリオなら場所として、物語のシナリオなら物語として、ボードのシナリオならボードの上に配置することになる。

よく使われる要素

導入・合流

PCたちに今回のシナリオの情報を与え、行動を促すために導入を行う必要がある。
PCたちが別々の立場なら、PCたちを合流させる必要もある。
招待の手紙が届く、ギルドで仲間を探すというようなものが例となる。
強引なものとしては、いきなり連れ去られるというものや、気がついたら舞台となる場所にいるというものもある。

情報収集

とにかく、情報を集めることは多いだろう。
導入が終われば、とりあえずというぐらいするのが情報収集である。
シンプルに、手がかりとなるものから情報をたどっていくことや、キーワードから情報を集めるという形が例となる。
情報収集では、失敗した場合はデメリット付きで情報が手に入るとするとすると判定の失敗で進行が止まらない。

課題解決

課題解決は情報収集と並ぶ基本である。
中には、情報収集の実際が課題解決ということもある。
ルールでは情報収集の場合でも、そうしたほうが柔軟性が上がるので覚えておくとよい。
課題解決は何らかの課題を解決するという要素である。
例えば、情報収集を行った結果、そこから動きを嗅ぎつけた敵が刺客を差し向けてきたり、鍵のありかがわかったが、それが少し手に入りづらい場所にあり、それを取ろうとするというのがこれにあたる。

事件解決

解決は言ってしまえばクライマックスである。
戦闘を重視するシナリオではだいたい戦闘をする。
そうでなくとも、大きな危険や試練が待ち構えていることが多い。

エンディング

エンディングである。ここまで来る頃にはシナリオはほぼ終わっている。
ここまでの流れに応じて変化させることも多い。

組み合わせ例

フレームと内容の例を挙げると、

導入:ゴブリンの討伐を依頼される。
情報収集:被害にあった村人からゴブリンの情報を得る。
課題解決:ゴブリンの巣を探索する。
事件解決:ゴブリンのリーダーを退治する。
エンディング:報酬を受け取る。

導入:ペットを保護するように依頼される。
情報収集:ペットの手がかりを探す。
課題解決:ペットのいると思われる場所に侵入する。
事件解決:ペットを連れて脱出する。

という感じになる。
この二つはあえて同じフレームを使っている。
逆にペットを保護するように依頼されるという内容で別のフレームの例を挙げると、

導入:ペットを保護するように依頼される。
情報収集:手がかりがないが情報収集をする。
課題解決:ペットを探すための道具を手に入れる。
情報収集:道具を使ってペットを探す。
事件解決:ペットを保護する。
エンディング:ペットを依頼人に渡す。

という形の別のシナリオになる。

このように、要素で構成されたフレームを用意し、それにどのような内容をつけるかを考えると簡単にシナリオの物語としての部分を作成することができる。
あとはこれに、判定などのデータをつければ、十分にシナリオとして機能するだろう。
まずはフレームを意識してシナリオを読んだり、調べることで、いろんなフレームについて知るといいだろう。

まとめ

重要なのは、フレームを決めて、それに内容を貼るというだけであり、そのためには、既存のシナリオを読んでそこからフレームを理解することが重要である。
とりあえずシナリオを作りたい人は、フレームのわかりやすい適当なシナリオを読むところから始め、同じフレームでアレンジしてひとつ作ってみるといいだろう。

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