ならてぃぶTRPG的な思考でのスキルとか

ならてぃぶTRPG?

なぜナラティブではなく、ひらがなの「ならてぃぶ」なのか、
「ならてぃぶTRPG」とは何なのかという疑問は下の記事を参照である。
最後のほうに書いてある。

note
https://note.com/akshigi/n/na81ae0c96f77

ここでは「ならてぃぶTRPG」の考え方に即していろんなTRPGの要素をデザインすることに関して触れていく。
つまり、実際に例を挙げたりして見ていくということである。

注意

ここでひとつ、重要な注意がある。
それは、ならてぃぶTRPGという考えに至ったことと、ならてぃぶTRPGについて理解していることと、ならてぃぶTRPGを作成する能力はすべて別ということである。

つまり、これが他にもっとうまくやれる人や説明できる人、理解の深い人はいるだろうが、とりあえず実際に例を見せていくという記事であることを理解しておいて欲しい。
そして、自分のほうがより強い理解を持っていたり、よりよいならてぃぶを含んだTRPGを作成できるという人はぜひ作成して欲しい。

ならてぃぶが使えそうな項目

スキルデザインに関してならてぃぶを語ったが、これはスキルデザイン以外にも使用可能である。
むしろ、ルールの記述以外にはだいたい使用できる
それを踏まえて、ライフパス、スキル、アイテムのデザインについて書いていく。

ライフパス

いくつものゲームでキャラクターの設定を決めることになる。
そこで、使われるもののひとつがライフパスである。
他にも、生まれや経歴、アイデンティティなど、その他の要素でも何でもよい。
この部分の表記やこの部分がゲームに与える影響によってならてぃぶにすることができる。

具体的にはどうするのか?
簡単である。この項目に質問や誘導をつければいいのである。
他にも方法はあるだろうが、今ぱっと思いついたのはこの二つである。
ちなみに、プロンプトを作ればいいという答えではないのは、どのようなプロンプトを作るかというのが大事だからである。

「あなたは商人の家で育った」
という出自があるとして、これはすでにプロンプトである。
何も引き出さない少し残念なプロンプトなのである。

「あなたは商人の家で育った、その家が貧しかったのか、裕福だったのかは自由に決めること」
というようにPLに質問する内容を書くと、その答えを確認することで他の参加者とも設定が共有でき、そのキャラクターの物語が広がることになる。

「あなたは商人の家で育った、そこであなたは取り引きを学んだ」
というように誘導をすると、その設定をロールプレイで活かしやすいものとなる。
ここに取り引きに関する能力を得る効果があるとさらにこの誘導は強いものとなるだろう。

この際に重要なのは、質問と誘導のどちらがいいということはなく、質問と誘導のどちらでもよいということである。
なぜなら、質問がナラティブTRPGと呼ばれるものより、誘導がならてぃぶTRPGよりの手段であり、どちらも有効な手段だからである。
(ナラティブTRPG、ならてぃぶTRPGのイメージは主観である)

ちなみに、ライフパスには人間が複数の項目を整理する際に物語を作成するという理論が使われているという話もあるため、ひとつのライフパスで見るのではなく、クラスや取得したスキルを含めた視点では、質問や誘導のないライフパスでも十分にならてぃぶなこともある。

ここから先はデザインの域、つまり善し悪しを簡単には語れないところに入ることになるので深く考えてはいけない

そのため、このならてぃぶを活かしたライフパス作成は、あくまで少ない数や他の要素と切り離した際に有効なライフパスの作り方である。

スキル

次は必ずあるであろうと予想されるスキルである。
むしろスキルをメインにしてならてぃぶについて説明したのだからなければおかしいはずである。

スキルのならてぃぶについて語るには、まずはスキルを分解しなければならない。

つまり、スキルを、その「名称」「効果」「フレーバーテキスト」に分解するのである。

ならてぃぶな名前

ならてぃぶを活かすのなら、そのままロールプレイに活かせる名前というのがよい。
ここで「跳び蹴り」のような具体的な名前をつけるとそれだけで十分にならてぃぶであるが、ここで具体的にするとフレーバーテキストで選択させることができなくなるので、それも踏まえて考えたほうがよい。
例えば、「空中攻撃」という名前の場合は空中で攻撃しているというだけであり、他の要素でそれが剣で切りつけているのか、蹴っているのかを決めることになる。そのため、フレーバーテキストで具体的な内容を選択させる場合には、具体的な名前は避けた方がよい。
ただし、具体的な名前で名前と違うことをするというのも珍しくはない気がするので深くは気にしなくてもよい。
「跳び蹴り」の場合、「跳び蹴りや飛行技を仕掛けるスキル」というフレーバーテキストで、選択肢が飛び蹴りだけではないことを示しているものはそれなりにある気がする。
ただし、フレーバーテキストがシートに転記されるのか、読まれるのかという問題を考えれば、スキル名は具体的なほうが有効なことは多い気がする。

「全力攻撃」を五種類考えるというようなスキル作成の練習は、「全力攻撃」という抽象的なものから具体的な五つの例を挙げるということであると考えることもできる。
これをユーザーにさせるゲームもあるが、こういったゲームはならてぃぶから少し外れた、ならてぃぶの弱いゲームとなる。
逆に、ナラティブかというと、そうとはいいづらいものが多い。

つまり、別の評価軸に沿ってデザインされていると考えるべきルールである
(評価軸がない可能性もあるが)

まとめると、

「全力攻撃」という名前を使うよりは「全力蹴り」や「一閃」というようなイメージしやすい名前のほうがならてぃぶであるということと、
「炎属性攻撃魔法」よりは「ファイアボール」のほうがならてぃぶであるし、別に「ファイアボール」は炎の玉でなくてもいいということである。

ならてぃぶなフレーバーテキスト

ナラティブなフレーバーテキストだが、これは簡単である。
書いてあることを読んでそのスキルがどのようなものかを具体的にイメージできればよい

ただし、ひとつ難しいのは、このフレーバーテキストが短いとはいえ最も長く演出について書くことができる場所であるということである。
飛んでいく炎の形を矢にするか、玉にするか、それとも鳥にするかを自由に決めさせることもここで書くことができる。
そのため、必ずしも具体的である必要はないが、描写の誘導にはなったほうがならてぃぶ的にはよい。
飛んでいく炎の形でいうなら、人によって炎の形が違うということを提示することで、炎の形を設定するように誘導するというのもならてぃぶである。
どちらにせよ描写と設定を誘導すればそれでいいというのはある。

ならてぃぶな効果

ならてぃぶな効果はルールを踏まえるということは前提で、処理を組み合わせた結果によるもの、何らかの流れを連想させるもの、ルールを拡張するものがとりあえず考えられる。

処理の組み合わせによる効果

処理の組み合わせによる効果というのはごく単純で、移動してから攻撃するというような二つの処理、行動を組み合わせたものである。
この中には、ひとつの宣言で二つ以上の処理を行うものと、二つ以上の宣言でひとつの行動を行うものがあるが、どちらもこれに含むとする。
例の移動してから攻撃するスキルというのは、突撃のオプションに相当するスキルとしてシンプルなものであるが、これでも十分に突撃のイメージを喚起できる。
二つの宣言でひとつの行動の例としては、隠密状態からの攻撃、飛行状態からの攻撃というのがよくある例である。隠密状態からの攻撃というのは一瞬で相手の目の前から姿を消すという予備動作のあと、死角から攻撃するという演出を誘導するし、飛行状態からの攻撃というのは飛び上がるという予備動作のあと、空中から攻撃するという演出を誘導する。
なお、このひとつ目の行動は必ずしも動きのある行動である必要はない。武器の重量を使うことで武器を叩きつけることを、防御力を使うことで防御の頑丈さを活かした体当たりなどを、移動力を使うことで加速の力を活かした行動を誘導することができる。
さらに、命中判定の結果がダメージに影響を与えるルールでは、命中判定の結果がダメージに影響を与えるというのをより有効な部位を攻撃したという表現に誘導が可能である。
いずれにせよ、ひとつの行動に別の行動をはじめとした別の演出や処理が加わることでそれがアクション、ならてぃぶになるというものである。

ルールを踏まえた効果

そもそも、ならてぃぶな効果という以前に、ベースになるルールがなければ、そのダイスが何なのかを示すことはできない

命中判定のあとダメージロールを行うという場合、武器による攻撃で、命中判定の失敗時にもう一度命中判定を振り直すというのは攻撃が外れた後、もう一度武器を振るっているという想像が可能である。
同様に、ダメージや減少するHPを決定するダイスであればダメージロールでなくてもそれが攻撃であると連想することが可能である。
実際にはもっと別の形なのであまり見ないが、同じ3D6のダメージでも、3D6ダメージを1回だと強力な一回の攻撃、1D6ダメージ3回だと素早い連続攻撃を連想させることになる。
これがスキル名やフレーバーテキストと合わさることでよりしっかりとしたイメージを誘導するのである。

ただし、この前提もベースとなるルールがあってこそである。ダメージの決定でダイスを振らない場合はダイスを振ってもそれが攻撃には結び付かない
なので、ルールを踏まえた効果なのである

例としては先ほどのダメージを減少させるためにダイスを振ることで、攻撃の処理を行わなくても攻撃を行っているようにイメージを誘導するものや、判定の振り直しで時間の操作や素早い追撃を表現するものなどがある。

ルールを拡張する効果

スキルというのは基本的にかなり細かい細則であることが多い。
それゆえに、他のルールを書き換えることや、特殊なルールを加えることが可能である。
スキルは基本的にルールの拡張であるのだが、ここでは新たなルールを作るスキルをルールを拡張する効果とする。

なお、通常は1ラウンドに1回しか行動できないゲームで、1ラウンドに2回行動できるというルールの拡張はルールの拡張ではあるが、ルールを踏まえた効果でもあるので、ここでは触れない。

どんなものがルールを拡張する効果かとなると、約束をして、それを守ろうとする限り何らかのボーナスを得るというものであったり、何らかの条件や演出でボーナスを得るといった、本来は存在しないルールをいきなり追加するようなものがルールを拡張する効果である。

例をいくつか挙げただけなのでまとめはない。


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