【沢庵和尚から柳生宗矩への手紙その13:前後際断】
前後際断ということについて。
その前の心持ちを捨てることなく、また、今の心持ちをその後へ残すことは、良いことではありません。
前と今との間を、バッサリと切って捨ててしまいなさいということを意味した言葉です。
これは、前後の際(きわ)を切って放てという意味です。心を今にも後にもとどめてはなりません。
前後際断
と申す事の候。前の心をすてず、又今の心を跡へ残すが悪敷候なり。
前と今との間をばきつてのけよと云ふ心なり。是れ前後の際を切って放せと云ふ義なり。心をとどめぬ義なり。