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麺やりたいです。

歌舞伎町でボコボコにされて、ついでに行ってなかった大学も辞めて実家に帰ってきた僕。

2ヶ月ほどニートしながら遊び呆けていよいよ親の視線も痛くなってきたのでバイトを始めた
社会復帰という事でまずは派遣から

夜勤の工場で謎のガンプラの仕分けとか海の近くの工場でイカのゲソと頭を1日分け続ける仕事とか色々やった
その中である日派遣されたのがインスタントラーメンを出荷している工場

コンベアにトレーが流れてくるので、それぞれ担当の品を乗せていく作業
1番目の人が麺を乗せたら、2番目の人はスープの素を乗せる。それが回り回って袋詰めされて出荷されていくようだ。

僕はスープを乗せる係に任命されたのだが、トレーが流れてくるスピードが早く案外忙しい。
慣れるまで現場を統括しているおばさんに何度も怒られる青年じょい

半日働き既にクタクタになりもう帰りたいなーと思っていた休憩明け、同年代ほどの青年が現場を統括しているおばの前で何か言いたそうにモジモジモジモジ…
少し年上の人から背中を押されて青年が口を開く
「あっあっあの、麺ッッ!やりたいです!」

統括おばさん…沈黙の後一言
「…やれんのか?」
「っ!!はい!!!」
「よし…やってみな!」と青年の背中を叩く統括おば

おい!よかったな!頑張れよ!と周りに励まされる青年。嬉しそうな青年。

どうやらこの現場ではスープを乗せる人より麺を乗せる人の方が偉いらしく、青年は自ら統括おばに直談判してその地位を勝ち取った様だ

あーよかったな青年。家帰ったらお母さんとかに言うのかな。俺今日ついに麺任せて貰えたんだよって。明日からは麺の一員として胸を張って出社するのかな…
感動の一場面に立ち会えたことに涙が止まらなかった。

…いやいやどうしちまったんだよと
ついこないだまで東京でブリブリやってたのにちょっと失敗したからって俺は麺目指す男になるのかと
まだ10代だよ。もうちょっと頑張ろうよ俺
麺任命に立ち会ったことで久しぶりにハートが熱くなるのを感じた。

ところであんた今日残業できるよね?
と統括おばに聞かれる
あ、ごめんなさい。用事あるんで帰ります。

ここにいちゃやばい!!
僕は麺を目指し始める前にこの現場を去った。

そしてその日の帰り道思った。
「このままじゃ俺人生やばくないか?」

ついに危機感を感じた青年ジョイ!
次回 燃える命🔥

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