お米マイルール。
お米の炊き方…洗い方、水分量、浸水させるか、蒸らしは?鍋は?炊飯器…? 色々なことを耳にしますよね。私も今まで様々なことを聞きました。母は冷たい水で一回すすいで、その後少ない水で研いでいたな…とか。洗ってザルに入れて冷蔵庫に入れていたな…とか。やっぱり文化窯がいいと言ってみたり、土鍋の頃もあったり、かと思うとやっぱり加圧式の炊飯ジャーが最高!とか(笑) お米は玄米?それともやっぱり白米?それとも炭水化物は抜きですか?ご飯は硬め、柔らかめがお好きでしょうか?
ちょっとずつみんな違っても、日本人には基本のお米。でも、毎日食べるシンプルな物ほど難しいものです。なので深追いはしませんし(笑)…出来ませんが、今日は私のお米マイルールのお話をしたいと思っています。
マイルール#1: オーガニック米のススメ
残留農薬と遺伝子組換え、ゲノム編集米など…と言った理由で、オーガニック米を買うようにしています。米栽培でカメムシなどの対策として使用されるネオニコチノイド系の農薬は、タネに附着させてある場合、水を張った水田に粒剤を散布する場合、空中に散布する場合など使用される場合などの使用法があるようですが、水溶性のネオニコチノイドは、農薬が水に溶けて根から吸収され、 薬の成分が植物内を移行して、植物全体を毒化、植物を食べた害虫が駆除できるという仕組み…。これは植物の蜜などにも同様に影響するため、まず被害を受けたのがミツバチでした。以前は、花の蜜に殺虫作用はなかったものに、神経毒性の殺虫剤が含まれるようになり、 ミツバチの神経が錯乱して巣に戻れなくなり、蜂の受粉活動が低下した事で農業に大きな支障が出始めました。そのような理由でEUやフランスでは、数種類のネオニコチノイド系の農薬が使用禁止となりました。また、ネオニコチノイド系の農薬は、植物と共存し、成長を助ける有益微生物をも殺傷してしまうため、花の蜜に含まれている微生物から恩恵を受けていたミツバチの生態系を狂わせたとも言われています。
ネオニコ系殺虫剤は世界中で使用されていますが、子宮への発ガン性、胎児への影響、神経毒性などが指摘され、使用禁止や制限に踏み切る国や地域が増えています。残留性が高くて使用回数を減らせるので「減農薬」として用いられ、多くの農産物に多量に使用されるようになった日本は、まだ規制の大幅緩和を進めています。(ネオニコチノイド系農薬・殺虫剤|日本茶が危ない! )
ネオニコチノイド農薬は浸透移行性があるので、土壌に入れたり、葉に散布しておけば、 植物全体に行きわたって殺虫効果を発揮するので、使い勝手がよく、急速に売り上げを伸ばして、よく使われる殺虫剤になっています。(ネオニコチノイド農薬|発ガン性は2種類)
また水に溶けたネオニコチノイド系の農薬が原因で、その水流の生態系が崩れているというレポートもあります(ウナギとワカサギの激減、殺虫剤が原因か、宍道湖:ネオニコチノイドの水界生態系への影響を初めて検証、産総研ほか 2019/11/16 ナショナルジオグラフィック)
日本では今のところ遺伝子組み換え米の流通はないかと思いますが、ゲノム編集米は昨年(2019)から流通しています。遺伝子組み換えとゲノム編集の違いは、遺伝子を切り貼りして入れ替えるか、ゲノム(遺伝子情報)を切断しているか…。アメリカでも日本でも、ゲノム編集は遺伝子組み換えと違い安全性が高いと、市場に出回っても告知責任がありません。個人的には記事中に書かれた「闘争本能を抜かれた鯖」や「不自然にたわわに実った稲穂の米」 はあまり食べたくないし、食べているのなら知りたいな、と思ってしまいますが…。
お米の遺伝子組み換え技術は元来、開発途上国で深刻になっているビタミンA欠乏症の解決手段として、数十年に渡り「健康にいい遺伝子組み替え食品」として研究が進められました。お米は、茎や葉にはβカロチンが含まれていますが、私たちが日々食べる胚乳と呼ばれる部分にはβカロチンが含まれていません。この胚乳の部分の遺伝子を組み替えて、βカロチンを含むように研究されたのがゴールデンライスです(遺伝子組み換えイネ: ゴールデン・ライスの危険 2015/04/17 Alter Trade Japan) しかし、2018年にはFDAが有益な健康効果は見られずと最終決断を下しており、アメリカではまだ市場に出回っていないと聞きます。しかし、未だ支持は根強く、フィリピンやバングラディシュでは実験が繰り返されています。
また遺伝子組み替え食品は、開発企業の関連もあり、多くの場合、グリフォサート(ラウンドアップ)などの農薬が使われている危険性もあります。グリフォサートは2015年にWHOの専門機関で発ガン性物質として分類され、アメリカでも近年訴訟などが相次ぎ、海外では使用規制がだんだんと強まる農薬でもあります(”農薬「グリホサート」、世界は削減・禁止の流れなのに日本は緩和!?” ハーバービジネスオンライン 2019/09/21)日本の水田でアオガエルなどを見かけることが少なくなったのは、こういう事が原因かもしれません。オーガニック米であれば、残留農薬の心配も遺伝子組み換え、ゲノム編集の心配も必要ないので、オーガニックのお米を出来るだけ求めるようにしています。
マイルール#2: 用途やゲストで変える精米レベル
私は基本、カリフォルニア産の短粒種米を使っています。「これ、日本米ですか?」と食事を召し上がって頂いたみなさん訊かれるので、多分区別がつかないくらいなのかな?とちょっと小躍り。もう10年以上前に、日本からかついで持ってきた精米機(商品ランク的には中位の家庭電化用品)を持っているのと、糠床に毎日のように糠を使うので、玄米を買っています。でも、先日フードプロセッサーで、玄米を精米してみたら…出来ました。もっと壊れるかと思ったけれど、大丈夫。一回に5秒を数セット。その後、粉と粒をザルで篩にかけて。これをほんのちょっとやるだけでも、かなり食べやすくなると思います。歯ごたえが少し白米に近くのに、ほぼ玄米の栄養価でオススメです(玄米と白米の違いについては後出の説明をご覧ください)
Audience(食べる人)とメニュー内容で、精米レベルも替えています。と言ってもダイヤル回しているだけなのですけど。実は精米歩合が低い(より多く糠など=栄養分が残っている)ほど精米が早い事もあって、我が家の毎日のご飯はほぼ1分づきです。私は短気なので(笑)お寿司を作る時、ゲストの中に子供さん(うちの28歳を含む)がいる場合などはもう少し…7分づきくらいで精米します。玄米や全粒粉の糠(Bran)や胚芽に当たる部分は酸化するので、本来はもっと手軽に、ここシアトルでも精米ができるといいのですけどね。将来的にはローカルでお米を栽培したいという方も出てきているので、小型の業務用精米機を導入して、皆さんにお分け出来たらいいな…と夢を見ているという噂もあります。
マイルール#3: 米の研ぎ汁は水耕栽培に使っています
私は、精米した米にざざっと冷たい流水をかけて、表面の油分や糠を洗います。米の倍ほどの水が容器に溜まったら、清潔な手で数回かき混ぜ、水だけもう一つのボールに移します。ここは洗い流すだけなので、さっと。次に、もう一度水を米と同量ほど注ぎ、米を研ぎます。私はだいたい両手で擦りあわせるように数十回。その水もボールに移して取っておきます。その後は普通に数回濯いで、水がある程度透明になれば大丈夫。
さて、取っておいたお米の研ぎ汁は、3年越しで先日やっと稼働したソーラー縦型水耕栽培に活用しています。ソーラーパネルで集めたソーラーエネルギーを、車のバッテリーのような電池にため、小さな噴水や水槽用のポンプを動かして、PCVパイプ内に水を循環させています。PCVパイプの中に、流しているのは発酵させたお米の研ぎ汁入りの水です。今年はまだ初めて10日ほど。やっとタネの発芽が始まりました。基本的に、ハーブとレタスなどを植えているので、あと1ヶ月もしないで収穫できる…かな。(写真は、芽を出し始めたルッコラ)水耕栽培用の化学肥料も買わずに大丈夫です!
マイルール#4: 基本は10年選手のマイ鉄鍋
お水は米1カップに対して、水1カップが基本。計量カップである必要はありません。同じサイズのカップであれば、コップでもマグカップでも。アメリカの計量カップは容量が225ml位 (日本は180ml) ですが、1カップのお米で、だいたいお茶碗に3杯位+の白飯が炊けます。研いだ米に冷たい水を加えて蓋をして。加熱時間は、沸騰するまでは強火、吹きこぼれ始めたら弱火にして約10分、そして火を止めて10分蒸らして出来上がりです。鍋は最初から最後まで絶対に開けない!これ、大事です。これでアメリカにいても、炊飯器がなくても大丈夫。
学生時代、炊飯器を持っていなかったのでご飯は鍋で炊いていました。あの頃は鍋なら何でも (笑) ここ10年ほどの相棒はGoodwillで激安価格で手に入れたキャストアイロン(鉄鍋)を炊飯用として愛用しています。お米の話からは離れますが、たまにGoodwillには掘り出し物が! パスタマシンとか、キャストアイロンとか…フォンデュセットとか。10ドル以内でお宝が手に入ることも!
鍋はやはり底がある程度厚く、熱がジンワリと伝わり、蓋の重い物がいいと思います。蒸気をどれくらい逃さずに均等に熱を通すか?が大切なので、あまりシューシューと湯気が抜けないように。普通の鍋+蓋や皿だったら、重りの替わりに鍋やフライパンを被せておくといいかも知れません。
もうすでに乾燥しているように見えるお米ですが、実は収穫から時間が過ぎるほど水分量が少なくなるので、私は基本、最初にお米の袋を開けて炊いた時の状態で水分量を変えています。基本は一対一。ボソボソだったらもっと水を多く…とか。その時の状態で浸水の有無なども決めます。洗って冷蔵庫などに置いておけば、中に水が浸透するので、より柔らかくなります。この炊き方で全てのお米(長粒種もジャズミンも)、どんな鍋でも対応できますよ。
マイルール#5: 何事もほどほどに
昨今、糖質制限が知られると共に、悪名高くなってしまった炭水化物ですが、実際はどうなのでしょうか?無理をして米やパン、麺と言った主食を抜き、フラフラになって頭が回らない…なんて事はありませんか?それに、日本での低糖質ダイエットは意外に費用がかさみ、つい低糖質を謳った添加物の多い加工食品を求めたりしていませんか?添加物や人工甘味料には、お腹の中の大切な善玉菌を傷つけてしまったり、数を減らしてしまうものもあります。炭水化物、糖質といったものと、私たちの体の関係についてきちんと学んで、自分で納得の行く減量方法や、日々の食生活を考える事が必要だと心から思います。それというのも、糖尿病は生活習慣病であるだけでなく、炭水化物が分解されてできる糖(ブドウ糖)を取り込む際に働く「インスリン」はホルモンの一種。糖尿病、血糖値、インスリンと不妊も関連があると言われているので、特に将来子供を持ちたいと思っている若い女性は注意が必要です。
私たちの生命を維持するエネルギー源となるのは、食事から入ってくる糖(ブドウ糖)です。糖は血液によって体中の細胞に運ばれます。血液中の糖を「血糖」といいますが、糖尿病のなかで、一般に認められる2型糖尿病は、この血糖が異常に増加している状態が慢性化した生活習慣病のひとつです。
細胞が血糖を取り込む時に働くのが「インスリン」というホルモンです。インスリンは膵臓から分泌されます。
食事などで血糖値が上昇すると、膵臓からインスリンが分泌され、筋肉などの細胞に糖が取り込まれます。逆に、血糖値が低下すると肝臓から糖が血液中に放出され、常に一定の血糖値が維持されます。
健康な場合は血液から供給される糖と、細胞が消費する糖のバランスがとれています。
糖尿病は、消費に対して糖の供給過剰が続くことで起こってきます。糖の供給過剰が長く続くと、細胞はインスリンの働きに抵抗して、血糖を取り込まないようになり、血糖値は上昇します。このとき膵臓は、さらにインスリンの分泌量を多くして血糖を取り込ませようとします。これが「インスリン抵抗性」といわれる状態です。(血糖値と糖尿病:健康診断ー結果でわかる糖尿病リスク 監修:監修/伊藤 裕 慶應義塾大学医学部内科 教授)
なぜ玄米や胚芽米が白米よりいいのか?
稲穂に実る米から籾殻(もみがら)を取り除いたものが玄米、その後玄米の表面を研磨し、胚芽や糠を削る作業を精米と呼びます。私たちがよく知る「白米」は胚乳と呼ばれる部分にあたり、90パーセント以上が炭水化物。私が精米機で加工して食べているものは胚芽米と呼ばれ、白米と比べ、元気の素のビタミンB群、若さの素のビタミンE、そして腸の掃除に役立ち、腸内菌の餌にもなる食物繊維、ミネラルなどの栄養素が豊富に含まれています。
玄米と発芽玄米がもっとも栄養価が高く、胚芽米、白米の順に栄養価が落ちていきます。これは、お米の栄養素のうち、脂質、ビタミン、ミネラル、食物繊維などが、主に糠層と胚芽部に含まれているためです。精米で削り取る割合が大きくなるにつれて、栄養素はだんだんと失われていきます。(胚芽米、発芽玄米の栄養は玄米、白米とくらべてどう違う?Smart Agri 2019/12/27)
また、玄米、胚芽米は白米に比べ栄養価が高いだけではなく、食物繊維などを多く含む分、消化が遅く、食後の急激な血糖値の上昇を防ぐ働きがあります。
少し肥満気味だけど、空腹時血糖値が126 mg/dL未満だから糖尿病ではないと安心していると、体の中ではとんでもない変化が起こっています。それが、食後の血糖値のみが高い、「食後高血糖」という状態です。
健康な人では、食後直ちにインスリンの追加分泌が起こり、血糖値はすみやかに低下します。一方、生まれつきインスリンの分泌が遅い人で、過食や運動不足のためにインスリン抵抗性の状態になっている場合、食事による糖の流入に体の対応が追いつかず、一過性ですが「グルコーススパイク」と呼ばれる急激な血糖の上昇が起こります。グルコーススパイクは、膵臓を刺激して、さらにインスリン分泌量を上昇させ、高インスリン血症(血液中のインスリンが異常に多い病気)を引き起こします。グルコーススパイクや食後の高インスリン血症は直接血管に作用したり、肥満を助長することで動脈硬化の進展を促すことが知られています。(なぜ食後だけの軽い高血糖を見逃すと怖いのか:健康診断ー結果でわかる糖尿病リスク 監修:監修/伊藤 裕 慶應義塾大学医学部内科 教授)
甘いおかしや、スナック菓子、ジュースなどは糖質以外の栄養素が少なく、血糖値の急上昇を起こしやすい食べ物です。食事での炭水化物制限の前に、まずはオヤツなどの食生活の見直しを。極端な糖質制限は、ほかの栄養素の摂取不足から必要な栄養が不足する原因にもなります。昨今アメリカで流行っているKetoダイエットなどの糖質制限を誤った方法で行った場合、栄養不足に陥ったり、代わりのエネルギー源となるたんぱく質や脂質などの過剰摂取になる場合もあります。やはり何事も、きちんと知って、ほどほどに。
今回は私の「お米マイルール」についての話でしたが、自分の体、自分の食べるもの、自分の人生、自分の暮らす環境。きちんと考え方とマイルールを持って日々の食生活を考えてみてくださいね。
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