ダブルハーベスト

ダブルハーベスト

「1回収穫して終わり」ではなく、AIを組み込んだ戦略を正しくデザインし、自走する仕組み(ループ構造)をつくることで、二重、三重に実りを収穫し続けられることを指す。

ヒューマン・イン・ザ・ループ

業務上、要求される水準に対して、AIだけのアウトプットではどうしても満たない場合に、人間がそのギャップを埋める。

①AIが間違っていないかどうかを人間がチェックする「人力検査型」

②裏側に人間がいて、AIがうまく対応できないときだけ人間が出てきて対処する「人間バックアップ型」

③ある現象をモニタリングしているAIが判断に迷ったときに人間に知らせる「監査型」

エキスパート・イン・ザ・ループ

専門家をサポートする。

ユーザー・イン・ザ・ループ

ユーザに参加してもらってAIの精度をあげていく。

データ・イズ・キングからレスデータ

・GAN

・転移学習(トランスファーラーニング)→ループ・イズ・キング

「UVP」をキープするのが戦略立案の目的

UVP(ユニークバリュープロポジション):他社にない唯一無二の価値を提供する。

・まずは一回目の勝利を目指す

-ライフタイムバリューを拡大して広告市場を独占する

①売上増大 → 広告市場の独占。急成長の原動力(それによりシェア拡大)

AIにより顧客エンゲージメントが強化されると、顧客生涯価値(LTV)が拡大

②コスト削減 → コストリーダーシップ戦略。マイクロレンディングやP2Pレンディング

③リスク/損失予測 → サブスクリプションモデル。フィンテックモデル。

④UX向上 → マーケット内の最高のUX。カスタマーサクセス上の圧倒的な勝利

パーパス(なぜやるのか)を洗い出すアプローチ

・MTP(Massive Transformative Purpose:野心的な変革目標)

https://www.dhbr.net/articles/-/5238?page=2

パーパス(顧客に届ける究極の価値)は、UXによってどんな体験をもたらせるかが決まる。どんな戦略で価値を持続的に高めるかはハーベストループで決まる。

UXはハーベストループにデータを蓄積し、ハーベストループはユーザの価値をUXにフィードバックする。

目次

はじめに 「技術」から「戦略デザイン」へ 尾原和啓

PROLOGUE

勝敗を分ける「何重にも稼ぐ仕組み」──ハーベストループとは何か?

・AIブームは終焉したのか

・あらゆる産業にAIの恩恵がもたらされる

・「DX=デジタルシフト」という致命的な誤解

・勝者はいつも「破壊的危機」から誕生する

・コロナショックが次のGAFAMを生む

・アマゾンを「小売の覇者」にした二重のループ構造

・イスラエルのベンチャーに1兆7000億円の値がついた理由

・精度が上がればコミュニケーションミスも減らせる

・楽して稼ぐのはいいことだ──発想の大転換が必要

・本書の構成

CHAPTER 1

AIと人とのコラボレーション──ヒューマン・イン・ザ・ループ

・AIが人間をアシストし、人間がAIの学習を強化する

・ヒューマン・イン・ザ・ループのアプローチ

・仕事の中身が変わるだけでなく、1人あたりの生産性も上がる

・単なるコスト削減にとどまらない

・完全なる自動化か、人間とのコラボレーションか

・ヒューマン・イン・ザ・ループの3つの型

・精度100%のAIは存在しない

・専門家の能力を最大化する「エキスパート・イン・ザ・ループ」

・高度な専門サービスが民主化され、誰でも利用可能に

・AIの学習にユーザーを取り込む「ユーザー・イン・ザ・ループ」

[Column]AI戦略は水平分業から垂直統合へ──E2E学習

CHAPTER 2

AIで何を実現するかを見極める──戦略デザイン構築のための基盤づくり

・「技術者でなければAIはわからない」のウソ

・AIが実現する5つの「最終価値」

・AI導入を戦略デザインに組み込むための基盤づくり

・「売上増大」を実現するAI──最終価値①

・「コスト削減」を実現するAI──最終価値②

・「リスク/損失予測」を実現するAI──最終価値③

・「UX向上」を実現するAI──最終価値④

・「R&D加速」を実現するAI──最終価値⑤

・「機能」と「データ」のかけ算で「最終価値」を実現する

・「認識」に関するAI

・「予測」に関するAI

・「対処」に関するAI

・いますぐ取り組めば十分勝機がある

・ボトルネック部分にAIが使えないかをまず検討する

[Column]必要なデータ量はそれほど大きくない──レスデータという新常識

CHAPTER 3

戦略基盤を競争優位に変換する──戦略デザインとしてのAI

・最終価値だけでは逃げ切れない

・「UVP」をキープするのが戦略立案の目的

・まずは1回目の勝利を目指す

・ライフタイムバリューを拡大して広告市場を独占する

・「客室単価のリアルタイム最適化」が急成長の原動力に

・価格破壊で圧倒的な優位を築く

・小型化して市場の拡大を目指す

・サブスクモデルのプライシングに生かす

・フィンテック化で店舗の実態にあった融資・保険を提供

・パーソナライズされたUXでユーザーを虜に

・最高のUXは最強の防護壁

・1回「勝つ」だけでなく「勝ち続ける」ことが真の狙い

[Column]データをためてもいずれ飽和する──サチュレーションと例外処理

CHAPTER 4

データを収穫するループをつくる──ハーベストループでAIを育てる

・データを〝狩る時代〟から〝育てて収穫する時代〟へ

・ループ構造をつくってはじめてAI戦略は機能する

・ハーベストループのつくり方

・最初から「ループありき」で考える

・精度はあとからついてくる

・どんなデータをためればいいのか

・AIプロジェクトに向いているのは「生データ+アジャイル型開発」

・人間に関わることはすべてデータになる

・人間にしかできない仕事にメスを入れる

[Column]ループを回せるデータと回せないデータ──データ・ネットワーク効果

CHAPTER 5

多重ループを回して圧勝する──ダブルハーベストこそ最強の戦略

・学習し続けるAIがループを回す駆動力となる

・自走するループは、別のループを回す原動力にもなる

・なぜダブルハーベストループが必要なのか

・[ケース①]ローギークスのダブルハーベストループ

・「採用」と「育成」のループが回り出す

・[ケース②]モービルアイのダブルハーベストループ

・[ケース③]フェイブのダブルハーベストループ

・2方面作戦を成功に導くダブルハーベストループ

[Column]データを複数つなげれば無敵になる──自社しかもてないリンクデータ

CHAPTER 6

ハーベストストーリーを実装する──AIプロジェクトマネジメントの考え方

・すべて自社開発する必要はない

・ハーベストループを実装する9ステップ

・プロジェクトマネジャーが知っておくべきこと

・AIとソフトウェアのプロジェクトマネジメントの違い

・AIの成長を見込んで柔軟な契約を結ぶ

・エクスペクテーション・サンドイッチ──挟み撃ちアプローチ

EPILOGUE

地球をやさしく包む「最後のループ」──SDGsとハーベストループ

・ほぼ遅延なしのリアルタイム通信が拓く未来

・「好きなことを仕事に」が現実になる

・AIによる最適化は「持続可能な地球」を残すところまで進む

・二酸化炭素の排出権取引はどう「ゲーム」を変えたのか

おわりに AIよりも戦略よりも大事なこと 堀田 創

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