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時計の一枚

わが家には壁掛け時計がなかった。

結婚してから昨年末まで、わが家には壁掛け時計がなかった。でも、そこまで不自由はしていなかった。小さな置時計はあるし、なんなら、各自スマホを持っているので、時間はすぐ確認できると思っていた。

しかし、来客があると、この状況が一変する。
リビングでテーブルを囲み、話に花を咲かせる。わいのやいのと盛り上がる。それが1時間ぐらい経過すると、ふと時間を気にし始める。ホストもゲストも。

だが、わが家のリビングには、直径20センチぐらいの置き時計がカウンターテーブルとキッチンの間にちょこんと置いてあるだけ。よほど視力がいい人は見えるだろうが、たいてい自分のスマホを取り出して時間を確認する。今までは、それでこと足りていたので、特に気にしていなかった。だがしかし。

お前んちの時計はどーなっとーとや!?

壁掛け時計を買うきっかけは、この一言から始まった。
昨年末、落雷により壊れたエアコンの取替に来てくれた、友人でもある、年配のなじみの電気屋さんが、取付作業後にリビングでコーヒーを飲んでる時にそう言ったのだ。

その日は、わが家でエアコンを取り付けた後、佐賀まで行く用事があるらしく、その日、朝から取付工事に来て、時間をしきりに気にしていた。が、わが家のリビングには小さな置き時計がキッチン寄りにひとつ。しかも、テレビでは、録画していた数日前の朝の情報番組を流していて、画面の左上に表示されている時間は、本当の時間と微妙にズレている。

「おい、お前んちの時計はどーなっとーとや!?」
「ん?時計?」
「おう。ここ(リビングの端)からやと、台所のは小さくて数字が見えんし、テレビについとったなと思って見たら、9時とか変な時間になっとるし、まともな時間はどこにあっとか!?」
「んー・・・スマホ・・・???」
「スマホ?・・・・・・おい、俺のスマホはどこに置いたとかな?」
口は悪いが、仲間の面倒見がよくて頼りになる親分肌の電気職人が言うのも、それもそうやんなぁと。これを機にわが家へ壁掛け時計を迎え入れることになったのである。

撮った!

わが家にやってきた壁掛け時計は、丸くて、数字がはっきり見えて、どんなに賑わっていようが、どんなに次の現場へ行く時間に追われていようが、リビングのどこから見ても、はっきりと時間が分かるようになった。これで、今何時?問題は無事に解決だ。

しかし、私の心の中に一つだけ後悔が残った。
壁掛け時計を付けるなら、鳩時計がよかった。幼い頃の実家のリビングには鳩時計があり、「ぽっぽ」という鳴き声とともに、時間を知らせてくれていた。12時が一番好きだった。鳩の声をいちばん聞くことができたから。

でも、壁掛け時計をどの時計にしようか?と、旦那と話し合った時に、私は当然「鳩時計」を主張したのだが、「別に鳩に時を告げてもらわんでもよか」という一言で、私の主張は却下されてしまった・・・。

あぁ・・・愛しの鳩時計よぉ・・・。


記事を書くための栄養源にします(^^;)