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32歳超魔界村をクリアした話

超魔界村。難ゲーとしてすぐに名前が上がるであろう超有名ゲームである。

私は最近ではあまりゲームをすることは無くなったのだが、幼少期〜学生の間はゲームばかりをして過ごしているような人間だった。
特にアクションゲームに関しては地元の友人の中ではかなりの腕前を誇っていたし、自分の中でも特技の1つという自負を持っていた。
魔界村シリーズの存在はかなり昔から知っていたが自らプレイすることは無く、RTA動画やら実況動画を見てケラケラ笑っているという付き合い方しかこれまではしていなかった。

よくスポーツのTV中継を見ながらプレイヤーに対して文句を垂れてる人間というのがいたりする。私はあの人間達の神経が心底理解出来ないし、酷い場合は軽蔑する気持ちまで起きてくる。(自分もその分野にて自他ともに認める実績があれば別)
そのような感覚で生きていたのだが、自身も超魔界村のプレイ動画を見て下手クソだな〜と思ってしまっている自分に気付いてしまった。やったこと無いのに。その瞬間、凄く恥ずかしくなるのと同時に私も超魔界村を体験しクリアしなければ!という謎の使命感に駆られてしまった。

これは32歳の初秋、12時間をかけた挑戦の記録である。


テレビの下に放置されていたスーパーファミコンミニを取出し超魔界村を起動。プレイを開始する。隣で嫁が宅建の勉強をしている横でこの挑戦はスタートした。海のように心が広い嫁の協力の元、この挑戦は成り立っている。感謝。

1面。案の定死にまくる。わかっていた事だがアーサーの操作性が壊滅的に悪く事故的にすぐ死んでしまう。
アーサーは2段ジャンプが出来るのだが、ジャンプしたら空中での制御が全く効かない為、ジャンプした先に敵がいようが崖があろうがそのまま被弾、即骨になってしまう。また鎧を着ているのだが敵に触れただけで鎧は粉々に砕け、パンツ1枚になったと思ったらもう大体骨になっている。どう考えてもおかしい。恐らくアーサー自身が驚くと身体が弾けるタイプの人間なのだろう。
前半のゾンビエリアを超えて波がザッパーンとなるところが初見殺しなのだが、見事に引っかかって死ぬ。
あと一段ジャンプだと届かないが二段ジャンプだと飛び過ぎるといういやらしい幅の隙間があり、そこでめちゃくちゃ死んだ。後半は特に思い出無し。ボスも特に苦戦すること無くクリア。

2面。前半はそこまで印象に残ってないのだが、このステージの後半で1回目のハマりを体験する。
イカダに乗っての強制スクロールなのだが、有り難いことにスクロール自体がかなりゆっくりなため死んでからのやり直しに毎回時間が取られてしまう。ストレスがマッハで溜まってくる。この段階で超魔界村というゲームは戦うべき相手が自分自身ということに気づいてしまった。
これまでは短剣一択だったのだが、あまりにもクリア出来ないので、違う武器を試したところボウガンの有用性にこのステージで気がつく。鎌、斧、松明は無能。私の会社に再雇用で社内を散歩ばかりしているおじさんが居るのだか自分の中でこれからは鎌と呼ぶことにする。
ボスで何回か死んで発狂しかけたが短剣を遠くから投げまくるチキンプレイでなんとかクリア。

3面。鬼のようにハマる。前半、後半共にかなりキツいステージだった。前半、はしごの降りきった先にある細い足場の所で死にまくってしまい心が折れかかった。何せ俺の思いとアーサーの歩幅が合わない。もう少し手前で着地して欲しいのにいつも行き過ぎて死んでしまう。何度も何度も。離婚してしまう家庭もあるが、こういう思いの行き違いが重なると離婚という結果になってしまうのかと考えてしまった。超魔界村は夫婦関係の在り方まで教えてくれる。有り難い。
完全に覚えゲーと化しながらもなんとか進む。前半の最後、レッドアリーマーが出てきたのだが華麗にスルーし前半クリア。
後半もかなり難しく1時間ぐらいはハマっていた。不思議なことにこの3面で死にまくっていたのだが、道中の袋?をしっかり取っていたため残機は増えていくという逆転現象が起こっていた。気づいたときに脳内には微笑みの爆弾の歌詞が流れていた。厳しい人がふいに見せる優しさってこういう事なのかなって。
こち亀で両さんが更正したヤンキーが偉いように言われるが全くそんなことはないって言っている回を思い出した。このゲームはずっと理不尽だ。死んでるのに残基が増えていくのも理不尽である。騙されるところだった。
ここのボスはRTA動画で短剣の魔法であっさりクリアしていたのを見ていたので、装備を整えて挑んだのだが全く魔法がボスに当たってくれなくて泣いた。理不尽だ。
結局、何度目かのトライで裸状態の短剣でクリア。
アリガトウゴザイーマスッ!

4面。ここもキツかった。前半も後半もとにかく死にまくって時間を浪費しまくってしまった。ゲッターズ飯田の占いでは私は金の時計ということで今年の後半は運気が最高にいいらしい。人生において重要な期間とのことなのだがその大切な期間を超魔界村の4面に捧げてしまっている。超魔界村をクリアすることで人生がより良くなっていくのか?と一瞬考えたりもしたが絶対関係ないと思う。
ボウガンで青銅の鎧になった状態が強すぎることに気づいた事によりなんとかクリア。人生も進んだ気がする。

5面。今までのステージが何だったのかってぐらい簡単だったので割愛。ボウガンが有能すぎる。

6面。レッドアリーマーがたくさん出てくるがボウガンの前では赤子同然。レッドアリーマーがこちらの攻撃を巧みに避けてくるのだが、それのせいで画面外に埋もれることが何回かありムダにイライラしてしまった。ボスも何回か死んだが、ボウガンが有能すぎてそれほど苦労する事なくクリア。ウォーキングオブデッドでダリルが頑なにボウガンを使い続けるのも彼が超魔界村の経験者だからなのかもしれない。ダリルかっこいいぜ。

7面。最終ステージ。後半のオバケが出てくる所が鬼畜すぎてしっかりハマる。しかもボスでチキンプレイしていると時間が地味に足らなくてかなり苦労した。
相手は横に動きながら火を吹いたりビームを撃っているだけなのにかなり緊張感のある戦いだった。まぁボウガンが有能過ぎてそれなりの試行回数でクリア。
1周目をやり遂げる。

2周目。このゲームは拐われたプリンセスが無能すぎて始めから全く同じコースをもう1周クリアする必要がある。普通に考えれば1回クリアしたから2周目なんて簡単でしょ?となるのだが2周目もしっかり同じような所でハマるから不思議なものである。同じステージだが同じではない。超魔界村は生き物。みんなも覚えておいて欲しい。
また、この2周目ではプリンセスの腕輪を探さないといけないのだが、全く説明がなかった為入手する事なく7面をクリアしてしまった。プリンセスがまた出てくるのだが「なんでもって来てねーんだよハゲ」的な罵声を食らって6面の始めに戻されるという珍事を体験してしまう。カイジの如くリアルぐにぁ〜が起き、私の心がポッキリ折れてしまった。攻略サイトとミニスーファミのクイックセーブを解禁する。

プリンセスの腕輪を入手、7面のボスへ。
腕輪入手後の7面のボスがこのゲームで1番難しかった。何せ最終武器の腕輪がクソ性能で射程は短いわ、真っ直ぐしか飛ばないわでボスとすれすれの攻防を繰り広げなければならない。クイックセーブが無ければサッサと投げ出してラーメンでも食いに行っていたと思う。
敵もアーサーもシンプルな動きしか出来ないのだが、戦闘中はシビアな操作、とっさの判断力が求められるのでプレイ中にハンターハンター蟻編の後半、ネテロとメルエムの戦闘シーンで針がたくさん書いてあるコマが常に頭に浮かんでいた。なんだかんだでハンターハンターが1番好きな漫画かもしれない。文庫サイズで出たらちゃんと買おうと思う。
最適なタイミングで攻撃し、最適なタイミングで敵の攻撃を躱す。判断を謝れば即ミス。手に汗握る戦いというというものを超魔界村に初めて教えてもらった。1時間ぐらいかかりやっとの思いでクリア。やった!やったぞ!って自然に言ってた。

ラスボス。もちろん始めは死にまくるもやってるうちにパターンに気がつく。タイミングとしては攻撃可能な時と被弾してしまう時の2パターンしか無い。
焦りは禁物、機を待つことが大事。ここでも大切なことを教えられている気がした。パターンに気づけてからは苦労する事なくクリア。ついに、ついに超魔界村をクリアすることが出来た。

クリアの瞬間は久々に体験した達成感に包まれていた。と同時に寂しさを感じていた。辛く理不尽だと考えながらやっていた事もあったが間違いなく私は魔界村に熱中していた。辛いことを乗り越えた先にしか甘い果実は無いのだ。辛くない状況でその果実を食べても美味しいかもしれないが自分の糧にはならないだろう。高ければ高い壁のほうが越えたとき気持ちが良い。ミルチルも言っていた。
私はまだ32歳だ。これからも色々な困難があると思う。しかし困難だと考えず熱中し諦めなければ自分の糧になるという事を超魔界村の魔物達に教えて貰った。
ありがとう超魔界村。ありがとうCAPCOM。
未クリアのみなさんも是非プレイしてこのゲームを体験して欲しいと思う。end

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