「ハーバード流交渉術」から学ぶ建設的合意
今回の投稿は以前作成したこちらの記事同様に、最近読んだ書籍の中で私たちの考えている「建設的合意」に必要だと思うことが書いてありましたので紹介させてください。
今回の書籍は「ハーバード流交渉術」です。ベストセラーであり、ロングセラーでもあるので読まれたことある方も多いと思います。交渉術とあり一見「どのようにしたら自分の意見を相手に飲んでもらえるか」というような内容が書いてあると思いがちですが、重心は「自分と相手と共通の利益を作る。」 というところだと感じます。
まだ営業経験があまりなかったり、ビジネスにおける対人コミュニケーションに苦手意識を持っている人に是非とも手に取ってほしい一冊です。
建設的合意って何?という方は以下のnoteもチェックしてみてください。
買わせたい店主と値切りたい客
営業をやっている人からすると「相手も利益を得られる提案をする。」や「win-winを目指して交渉する。」というのはわかっているけど難しいことの筆頭ではないかと感じています。
この章では「平行線の交渉ごとが共通の利益を作ることでうまくいく例」を本の内容を引用しながら解説します。
設定
市長と町の工場の経営者であるあなた。市長は町の税収を増やしたく税金を引き上げたいが、あなたはそんなことは受け入れられないとし拒否している。
上記のような状況はまさに交渉としては決裂している状態です。営業の置き換えてみるならばなるべく高く商品を販売したい営業マンと、なるべく安く購入したいお客といったところでしょうか。
共通の利益はどこにあるのか
前の章で挙げた事例は非常によくあるケースです。私たちはここから建設的合意をするには、本にも記載のある「共通の利益」を見つけることが必要だと考えています。では共通の利益はどのように見つけていくのかを本の内容を引用しながら解説します。
まずは相手が表面的に言っていることから、その先にある本質的なニーズを考えてみましょう。
市長の意見と真のニーズ
意見・・・税収を増やしたいから工場に課税したい。
ニーズ・・・工場から税金を取りたいわけではなく、街全体としての税収を上げたい。その税金で市のサービスを向上させたり、市の産業を発展させて雇用拡大などに繋げたい。
こちら側の意見とニーズ
意見・・・更なる追加徴税は受け入れられない。
ニーズ・・・施設が老朽化しているので大幅なアップデートを行いたい。ビジネスシナジーの生まれる会社を近くに誘致したいが、税金の上昇を呑むとその望みが薄くなる。
ではここから共通の利益を探ってみましょう。意見としては税金の部分で対立していますが、以下のように新しい事業や既存事業を活かして何かをしたいという点で一致しています。
市長のやりたいこと
新しい事業や既存事業を活かして税収を増やし、町をより良くしたい。
こちらのやりたいこと
新しい事業や既存事業を活かしてよりお金を儲けたり生産性を上げたい。
このように共通の利益を見つけたらあとはそこに対する有効な施策を打っていくことが必要になります。例えば市と商工会議所一帯で新しい会社の誘致キャンペーンや、新規事業の税金を最初のxx年は安くして新規産業を育てる、といった施策が浮かび上がります。
建設的合意における「共通の利益」
私たちの考えている建設的合意にも共通の利益を見つけることを大事にしています。その理由はいろいろありますが、一番に挙げられるものとしては「交渉は勝ち負けではなく、お互いに納得して合意することが長期の付き合いには必要。」と考えているからです。
さらにもう少し細かい話ですが、共通の利益を探すことで譲歩や遠慮が目的達成のために必要なことに変換される可能性も大いにあります。この目線を持てればその目標のために多少の我慢をお互いにできます。
そこに加えて時間軸を加えた合意形成ができれば完璧ですが、書くと長くなってしまうためこれはまた別の機会に投稿させていただければと思います。
終わりに
今回は建設的合意と親和性の高い「共通の利益」について紹介してきました。今後もさまざまな理論を紹介していければと思います。
普段はTwitterで建設的合意について情報発信しています。よければぜひご覧ください。