マガジンのカバー画像

読み物

3
運営しているクリエイター

2018年2月の記事一覧

最後の琥珀色の雫

1 恩赦その日は突如やってきた。

灰色の壁と鉄格子に囲まれた生活が破られたのは、よく晴れた日曜日の朝のことだった。

いつもの号令と整列が朝6時から始まるはずだったがいつまでたっても看守はやってこない。まさか忘れたのでは?絶対にありえないことだが事実彼等は姿を見せなかった。何が起こったのか。厳格な制服のしもべたちがこの世から忽然と消え去ってしまったのか。とすると最大の懸念は、私たちの食事を運んで

もっとみる