「打てば響く」じゃ遅すぎる

「打てば響く」という言葉がある。

仕事の場面では「言われたらすぐにやる」といったニュアンスだろうか。基本的にはポジティブな意味合いで使われる。ある種の人たちからは好まれるだろうし、重宝されると思う。

一方で、たいていの事は「打ってくれない」ものだとも思う。特に建築をつくる仕事は、プロジェクトが大きく複雑なこともあって、施主自身が「本当は何をやりたいかを分かっていない」ことも多い。というか、だいたい分かってない。

図面やパースや模型でコミュニケーションを繰り返すうちにやっと何がしたいか見えてきたとか、当初思っていたこととは全然違うことがプロジェクトの目的だと気づいたり、なんて事は日常茶飯事。
(大学では「○○を設計してください」とバッチリ与件が決まっていたのだけれど...)

特に再生の建築はそもそも何ができるか、新築に比べて圧倒的に分かりにくい。「何ができるかを調べつつ、その中で何をやりたいか一緒に考える」みたいなプロジェクトばかりな気がする。

だから、「打てば響く」というスタンスではいつまで経ってもゴールが見えない。必要なのは、クライアント自身も気づいていなかったクライアントの課題に気がつくことと、その課題を建築によって解く方法を考えることなんじゃないかな、と思う。

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