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唯識三十頌

唯識三十頌(ゆいしきさんじゅうじゅ)は、
大乗仏教唯識派の世親が著した唯識の思想です。
その思想を玄奘が訳したものです。

すべてのものごとは心の展開によるとの思想です。
あらゆるもの、あらゆることがらを心の問題とするということです。
すべては唯識(ただ心)であるとの思想です。
どんなものも減分で実体として有るとはいえない。
もちろん、虚無というか何もないわけではない。

すべては、
変化のさなかに一瞬一瞬あるということです。
実有ではないが、
さまざまなものが時々刻々に仮に和合してあるということです。

私たち一人一人が経験する現実の世界であり、
その世界は、
まさにわが心が作り出したもの、識の所変です。
その作り出す心(能変)は、
阿頼耶識という心の深層領域に無意識の世界が広がっています。
この心王に付随する心所(心のはたらき)は、
ごく基本的な
触覚、作意(心を起動させる)、受(認識対象を苦楽に受け止める)、想(自己の枠組みにあてはめる)、思(認識対象に具体的にはたらきかける)からなります。
阿頼耶識は、
意識下の領域、
心王と呼ぶ末那識で認識される。
末那識は煩悩や自己を持ち、
煩悩を善でも悪でもない無記にする性質を持つ。

次の意識下は、
五感と意識です。
五感と意識も唯識のもと、
楽を生む認識へと変えていけるものです。
そのためにも、
無意識の阿頼耶識、自己を形成して煩悩を生む末那識を浄化する姿勢が大切です。