第11話 代替療法

腹膜播種の手術が2010年12月に決まり、その前後して体験した代替療法(民間療法)を書き残しておくことにした。


まず、高濃度ビタミンC点滴療法。

これは肺に転移が見つかった頃に始めた。
ビタミンCを大量に点滴して、自身の抗酸化力を高め、細胞を活性化する効果があり、がん予防のほかアンチエイジング効果も期待できるという。

経口接種より数十倍のビタミンCが体内に行き渡り、またビタミンCは大量に摂っても不必要なものは尿として排出されるだけなので安全だそうだ。

とても高額で一回15,000~30,000円ぐらいだったと記憶している。そして保険適用外なのだ。
それを週に2回ほど、数時間かけて点滴していたが、効果が出る前に血管が悲鳴をあげてわずか数回でやめてしまった。
元々血管が細く、普通の点滴も採血すらも大変なのだから仕方がない。
肺転移が分かってから抗がん剤治療を受けるためのCV静脈ポートを作った後だったので、このポートを使って点滴してくださいとお願いしたのだが、
「よそで作ったものは使えない」
とのことだった。

後に、肺の手術の時の点滴でも使ってもらえず、無駄なものになってしまった。

上腕の目立つところに鎮座する高さ1センチほどのポートを、夫は「とこぶし」と命名して、ジョークにしていた。

がん治療プラン、アンチエイジング、美白効果など微かな期待をしていた私は、このとこぶしを見るたびに気持ちが萎え、診察のたびに担当のO先生に「取ってください」とお願いしていた。が、またいつか使うかもしれないからと聞いてはもらえなかった。


腹膜播種が見つかった後、病院近くのがん専門と有名なクリニックを紹介いただき、セカンドオピニオンを受けた。

そこでは東洋医学に力を入れていて、病院で検査しないような項目をくわしく血液検査して、自分の体質を西洋医学と東洋医学両方から見て行くという診察の仕方だった。

体質改善として言い渡されたのが、

「四つ足動物の食品禁止」

肉はもちろん牛乳もヨーグルトもチーズも禁止、玄米菜食基本で時々お魚は食べても良い、とのことだった。

すぐに腹膜播種の手術で入院してしまったので、退院後、この食事療法を約2年間続けることになる。

しかし、自分に甘い性格なのでお酒を飲んでいたし、時々、夫がたまにはゆるくしなきゃ続かないよと言って外食に連れ出してくれて、がっつりと禁止食材を食べたりもしていた。

食事スタイルも含めて、自分の生き方、考え方を一つの凝り固まったものにしなくても良いと思う。常に柔軟に、しなやかに生きていけたらと思う。

この食事療法を続けたことから、薬膳やアーユルヴェーダ、精進料理などにも興味を持つようになった。


その他には、断食も時々やってみるようになった。

断食というと修行僧のようでとっつきにくいが、ファスティングという名称が広まって、今ではおしゃれなイメージさえある。

とはいえ、食べることが人生最大の楽しみである私にとって食を断つということは苦行以外のなにものでもなく、大腸内視鏡などの検査前に意を決して取り組んだりしていた。

その結果、検査もスムーズに行えるし、血液検査などは数値も正常値になり体に良いことは証明済みなのだから定期的にやれば良いのだろうけど、生きているうちにあと何回食事ができるのだろうかなどと考えると、なるべく避けたいのだ。


糖質カットということもやってみた。

ご飯、そば、うどん、など炭水化物を摂らない。パンとスイーツは元々ほとんど食べないので苦ではないが、大好きなご飯を食べれないとなると、なんだか常に空腹状態な気がしてしまうのだ。

この時は肉も封印を解いて、タンパク質と野菜類中心の食生活なのだが、私の満腹中垂は炭水化物、特に米で満たされるらしい。

糖質カットはあっという間に理想体重になり、ダイエットには1番の近道なのかもしれないけれど、これもすぐにやめてしまった。


そのほかにも、

人参ジュースを飲むゲルソン療法、

枇杷の葉湿布、

ココナッツオイルをコーヒーにーまぜて飲む、

これらも長続きしなかった。


結局、どれが良くてどれが悪いなどないのだと思う。
自分が気に入ったことをやればいいのだ。
自分の体に聞いてみて、自分の体が求める方向へ進む、
それならばたとえどんな結果になっても後悔はないのだから。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?