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母でも、妻でもない。ただの「私」に戻れる時間。

美容室に行くのは、2ヶ月に1回程度。

それも、メニューは毎回シンプルにカットのみ。

髪を染めたり、パーマをかけたり、お高めのトリートメントをしてもらったりはしない。

基本はショートだから、「今回はどんな感じにしてもらおうかなぁ…♡」とかあれこれ悩むことも、ほとんどない。

「結構伸びたし、量も増えてきたから、そろそろ切ってすいてもらおうかな。そのほうが、ドライヤーで乾かすのもラクだし。」

それぐらいの気持ち(もはや業務感覚)で、仕事の合間を縫い、子どもたちが小学校・保育園に行っている間にサクッと行って帰ってくるだけ。

2〜3時間で終わる、ちょっとした外出。

それなのに、美容室に行く日を、なんとなく「特別だ」と感じるのは、なぜだろう?

…ちょっと考えてみた。


「ひとり」の感覚を持てる場所。それが美容室。

自分ひとりで、自分のために行くところ。

考えてみた結果、今の私にとって、そういう場所は美容室しかない、ということに気づいた。

自分のためだけにつかう時間。自分とだけ向き合う空間。それが、私にとっての美容室なんだ。


他人からしたら大げさに聞こえるかもしれないし、自分でも「ちょっと言い過ぎちゃうか」と思わないこともないけど、たぶん合っている。

だって今の私、ほとんど「母」の鎧を脱ぐ機会がないんだもの。

たとえばカフェに行って、ひとりでゆっくり頭の中を整理しようと思っても、自然と思考は家族や子どもたちのほうへと引っ張られる。「自分はこれからどうしたいか」と未来について考えるときですら、家族のことは絶対に切り離せない。(当たり前っちゃ、当たり前だけど。)

たまにひとりでふらっと買い物に行っても、なぜか自然と子ども服に目が行く。「ああ、そういえば、アレが欲しかったんだっけ」と買い物しながら思い出すのも、大抵は自分のものじゃなく、子どもたちや夫に必要なものであることが多い。(お菓子だけは、急に自分の欲望に正直になって、衝動買いしてしまうけど。)

「何かいい出会いがないかな〜」と、ふらっと本屋に寄ったときですら、なぜか毎回最後には絵本コーナーに寄り道してしまう。

それが、今の私。いつでも「母」モードがデフォルトになっている。


でも、美容室だけは違う。

お店に入るとき。シャンプーをしてもらうとき。鏡を見ながら自分の髪型と向き合うとき。髪を乾かしてもらうとき。最後に軽くスタイリングしてもらうとき。そこに、家族のことをアレコレ考える私はいない。自分のために、自分ひとりで、自分のお金と時間を自由につかう私がいるだけ。


もちろん、美容師さんとのおしゃべりで、子どもや夫の話をすることはある。

でもその瞬間はどこか他人事というか、外から客観的に見られるというか。不思議と、自分と切り離して考えられるんだよなぁ。これぞ美容室マジック。(聞いたことないけど。)


美容室から出てきた自分の体が入る前より軽くなったように感じるのは、たぶん、切ってもらった毛量のせいだけじゃない。

きっと私の心も、軽くなっているからなんだ。


そんなわけで、美容室は私にとって、なんだか特別な場所。美容室に行くのは、ただの「私」を取り戻すためでもある。


そんなことを考えた、2021年1月。

実はいま臨月で、お腹はもうパンパン!

もうすぐ3人目の出産を控えている私が、次に美容室に行けるのは、一体いつになることやら……。

きっと、今までで一番、開放感に満ち溢れた特別な時間に感じるんだろうな。

そのときは、滅多にしないトリートメントでも追加してみようかしら。うん、そうしよう。


ここまでお読みいただきありがとうございます!普段はクライアントワークが多いので、自分の感性や気持ちと向き合い、表現する場としてnoteを活用したいと思っています。サポートいただいた分は、子どものおやつかオムツに変身するかもしれません(笑)。