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論理的思考ができているか確認する5つの質問。逆もまた真なり。

論理的思考の根本を突き詰めていくと、論理学にたどり着き、哲学的な思考と融合してきます。

現代の論理学は、アリストテレスの論理学を発展させたものですが、その基礎となる考え方は、著作群である『オルガノン』に示されたものと言っても過言ではありません。

アリストテレスの論理学は、現代の私たちにとっても、思考を整理し、論理的に考えるための基礎を与えてくれる貴重な遺産と言えるでしょう。

なお『オルガノン』とはギリシャ語で「道具」を意味し、論理学が諸学問の基礎となる「思考の道具」であると考えられていたことを表しています。

余談ですが、漫画・ワールドトリガーに『オルガノン(星の杖)』という単語がでてきた時にはゾクゾクしたもんです。言葉の響きがいいですよね。好きな単語です。この単語をだしたかっただけの前段でした(笑)

そして今回の本題はここから。

論理的思考は、私たちの日常生活や仕事において非常に重要な役割を果たしています。しかし、自分の思考が本当に論理的であるかどうかを確認することは、意外と難しいものです。

今回の記事では、論理的思考ができているかを確認するための5つの質問を紹介します。
これらの質問は、論理的思考の訓練にも役立ちます。さらに、各質問の「逆」も考えることで、より深い洞察が得られるでしょう。

Q1: 前提は正しいか?

論理的思考の第一歩は、前提を確認することです。
あなたの結論や主張の基礎となる前提が正しくなければ、その上に築かれた論理も崩れてしまいます。

前提を確認する質問:
「この結論に至る上で、どのような前提を立てていますか?その前提は本当に正しいですか?」

逆の質問:
「もし前提が間違っていたら、結論はどう変わりますか?」

例えば、「全ての鳥は飛ぶことができる」という前提に基づいて議論を進めていたとしましょう。しかし、ペンギンやダチョウのような飛べない鳥の存在を考慮すると、この前提が誤っていることがわかります。前提を修正することで、より正確な結論に達することができるのです。

Q2: 因果関係は適切か?

事象間の因果関係を正しく理解することは、論理的思考の重要な要素です。しかし、相関関係と因果関係を混同してしまうことがよくあります。

因果関係を確認する質問:
「AとBの間に本当に因果関係がありますか?それとも単なる相関関係ではないでしょうか?」

逆の質問:
「もしAとBの間に因果関係がないとしたら、他にどのような説明が可能でしょうか?」

例えば、「アイスクリームの売上が増えると、犯罪率が上がる」というデータがあったとします。これは因果関係ではなく、夏季という第三の要因が両方に影響を与えている可能性が高いです。このように、表面的な関係性だけでなく、背後にある要因を考慮することが重要です。

Q3: 論理の飛躍はないか?

論理的な議論では、各ステップが明確で、飛躍がないことが重要です。
小さな論理の飛躍が積み重なると、最終的な結論が大きく歪む可能性があります。

論理の飛躍を確認する質問:
「この結論に至るまでの各ステップは、明確につながっていますか?途中で飛躍している部分はありませんか?」

逆の質問:
「もし論理に飛躍があるとしたら、そこにはどのような中間ステップが必要でしょうか?」

例えば、「運動は健康に良い」→「毎日マラソンをすべきだ」という論理には飛躍があります。「適度な運動が健康に良い」→「個人の体力や生活スタイルに合わせた運動計画を立てるべきだ」というように、中間ステップを補完することで、より論理的な結論に達することができます。

Q4: 反例は考慮されているか?

自分の主張や理論に対する反例を積極的に探し、それらを考慮することは、論理的思考の重要な要素です。
反例を無視したり、都合の良い情報だけを選択的に取り上げる「確証バイアス」に陥らないよう注意が必要です。

反例を確認する質問:
「この主張に対する反例や例外はありませんか?それらはどのように説明できますか?」

逆の質問:
「もし反例が存在しないとしたら、それは本当に普遍的な法則と言えるでしょうか?」

例えば、「努力すれば必ず成功する」という主張があったとします。しかし、努力しても成功しなかった例や、あまり努力せずに成功した例を考えることで、この主張の限界や条件を明確にすることができます。

個人的に、この『反例』は重要だと考えています。反例なき主張は、思い込みや決めつけの可能性が高いです。

Q5: 結論は一般化できるか?

特定の事例や状況から導き出された結論を、安易に一般化することは危険です。結論の適用範囲を適切に理解し、過度の一般化を避けることが重要です。

一般化を確認する質問:
「この結論は、どの範囲まで適用できますか?異なる状況でも同じことが言えるでしょうか?」

逆の質問:
「もしこの結論が特定の状況にのみ適用されるとしたら、その条件は何でしょうか?」

例えば、「日本の高校生を対象にした調査で、朝食を食べる生徒の方が成績が良かった」という結果があったとします。これを「朝食を食べると成績が上がる」と一般化するのは早計です。文化的背景、年齢層、他の要因(家庭環境など)を考慮する必要があります。

まとめ:論理的思考の訓練と実践

以上の5つの質問は、論理的思考を確認し、訓練するための強力なツールとなります。これらの質問を日常的に使用することで、より批判的で論理的な思考を養うことができるでしょう。

重要なポイントを再確認しましょう:

  1. 前提の正しさを確認する

  2. 因果関係と相関関係を区別する

  3. 論理の各ステップを明確にする

  4. 反例を積極的に探し、考慮する

  5. 結論の一般化に注意を払う

さらに、各質問の「逆」を考えることで、より多角的な視点を得ることができます。これは、創造的思考力の向上にも役立ちます。

論理的思考は、練習を重ねることで必ず向上します。
日々の生活や仕事の中で、これらの質問を意識的に使用してみてください。
ニュースを読むとき、会議で議論するとき、個人的な決定を下すときなど、様々な場面で活用できるはずです。

最後に、論理的思考は目的ではなく手段であることを忘れないでください。
最終的には、より良い判断と決定を下し、問題を効果的に解決することが目標です。
論理的思考を磨きながら、同時に直感や感情の重要性も認識し、バランスの取れた思考を心がけましょう。

皆さんも、これらの質問を使って自分の思考をチェックしてみてはいかがでしょうか?きっと新しい発見があるはずです。

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