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【不安】うちの子、不器用なのかなぁ

 幼児期から学童期くらいまでは、全身を使って遊んでいて、いつでもダイナミックに動いて、とても楽しそうですよね。
 しかし、小学校に入るくらいから(今はもっと早いのかも?)、細かな運動を求められる環境になってきます。

不安に思うわぁ!

  1. ノートに書く時、枠からはみ出して書いてしまう。

  2. ご飯やおかずを食べる時、かきこむ様に食べる。

  3. ボールを思ったところから外れて投げてしまう。

  4. 話し方が舌ったらず。

  5. 縄跳びがうまく飛べない。

 1回や2回であれば、おそらく気になることもないかと思いますが、続いてくると、やはり心配になってきます。
こんなに感じるのも、ごもっともでしょう。

『なんでこんな雑なのかしら!?』
『性格なのかなぁ』
『しつけが悪いと思われたくない』
『またわざとやってる』

 しかし、一部のお子さんには発達の特徴上、仕方なくそのようにしかやれないお子さん方がいらっしゃいます。

発達性協調運動症(Developmental Coordination Disorder:DCD)

 発達性協調運動症は、運動に影響を与える神経疾患がないにもかかわらず、協調運動技能の獲得や遂行が困難な状態を言う(APA, 2013)。書字、道具の使用、スポーツがうまくできないなど、生活場面に影響が出ることがある。
作業療法ガイドライン 発達性協調運動症0版

 神経や筋肉に、大きな問題がないのにも関わらず、体の色々な部分を一緒に動かすことが難しくなることがあるんですね。では、どんな症状があれば上の『発達性協調運動症(DCD)』になってしまうのでしょう。

 ちなみに、DCDの診断基準としてはDSM-Ⅳには次のようになっています。次の基準を全て満たす必要があるようです。参考までに。

基準A:日常の活動における行為が十分に下手である。
基準B:基準Aの障害が日常の活動等を妨害している。
基準C:一般身体疾患や広汎性発達障害によるものではない。
基準D:発達遅滞による運動困難ではない。
問診と微細神経学的徴候による不器用さの簡易判定法について

微細神経学的徴候(softneurological sign:SNS)の確認

 DCDのお子さんのスクリーニング検査としては、 Developmental Coordination Disorder Questionnaire(DCDQ)や、DCDQを幼児向けに作られた Little Developmental Coordination Disorder Questionnaire (Little DCDQ)などが、海外では一般的には使われていますが、残念ながら日本版は今作成中のようです。

 しかし、日本でもDCDで困っているお子さんや親御さんは多くいらっしゃいます。そのため、参考までに病院の診察で確認される項目があります。

 微細神経学的徴候と言われる症状を確認します。

①開眼片足立ち
②閉眼片足立ち
③片足跳び
④継足歩行
⑤踵歩行時に見られる上肢の余分な運動
⑥つま先歩行
⑦つま先歩行時にみられる上肢の余分な運動
⑧回内・回外
⑨回内・回外時の余分な運動
⑩拇指対立
⑪拇指対立時の余分な運動
⑫開口指伸展
⑬側方注視
問診と微細神経学的徴候による不器用さの簡易判定法について

聞き取り確認(不器用スコア)

 医療機関(小児科や児童精神科など)や事業所に行くと、以下のようなことを尋ねられるかもしれません。主には日常の運動面に関する項目です。

  • 書字

  • 鉄棒

  • 縄跳び

  • 水泳

  • 球技

  • スキップ

  • ボタンの留め外し

  • チョウチョ結び

  • 折り紙

  • ハサミ

  • 鉛筆

 各項目について、同年代と比較して、現在苦手である場合は1点、過去苦手であった場合には0.5点、現在も過去も苦手でない場合を0点として計算するそうです。

 合計点数が3.5点以下を『苦手なし(-)』、4点以上を『苦手(+)』、6.5点以上を『とても苦手(++)』と設定したそうです。

不器用スコアとSNSの組み合わせで。。。

  •  不器用スコアで6.5点以上で、かつSNSで徴候あり(3項目以上陽性)が不器用さ『有』

  •  不器用スコアで3.5点以下で、かつSNSで徴候なし(2項目以下)の場合を『無』

  •  それ以外を『疑い』と判断するそうです。

まとめ

 今回は、発達性協調運動症の概要と、簡単な確認について記事にしてみました。もちろん、今回の検査は参考ですので、該当したからDCDと決めつけるのは尚早です。

 それよりも、お子さん方の気持ちを理解することの方が重要です。

 日常生活の中で、動作が雑だったり、不器用であるお子さんがいますが、彼らは必ずしもわざとやっているわけではないということは確かです。

 苦手な事の積み重ねの中で、様々なことにチャレンジできなくなったり、はにかむことで、その場を乗り切ろうとしたり、対処手段を身に着けていくんですね。

 お子さんが表現している行動の1つ1つには、意味があるのだなぁと改めて気づかされます。

引用・参考論文

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