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登校拒否のお子さん、実はこう思っている!

 ある人に発達特性があったとしても、周囲にいる人がみんな特性を持っているのならば、それは発達特性とならないのでは・・・?
 発達に特性があるとか、ないとかいう問題は、実は周囲の理解の問題に依存するのかなぁー

 じゃー周囲の理解がない場合、子どもたちはどうなるんだろ?というのが今回の記事です。簡単にいうと発達障害の『二次障がい』と『併存症』についてです。

発達障害の二次障がい

 発達障害がいのお子さんに起きる、心の反応のことを指しています。学校や家族等、周囲から不適切な対応を受けることが原因で、子どもの生活に悪影響を与えます。
 ちょっと複雑ですが、周囲からの理解が得られないという点では、適切な支援が受けられず、支援があれば達成可能である発達段階を達成できないことも二次障がいに含まれます。

 このように、『二次障がい』は、環境から何かしらの影響を受けた後の、お子さんの状態について表しています。
 意味的にはとても広く、なんだか捉えにくいなぁーと思いますよね。

 ただ、二次障がいといわれるものの中には、医学的に精神障害等として診断される状態が含まれ、これは『併存症』と言われます。

発達障害の併存症

 医学的に診断される、または診断が可能な、発達障害に付随する精神疾患及び身体疾患のことを『併存症』といいます。
 この併存症は、併存症Aと併存症Bに分けられます。

併存症A
併存症Aは二次障がいの一部でもあり、心理・環境的な要因によって起きるものを言います。二次障害の状態が非常に重くなると医学的診断がついて
いるか、もしくは医学的診断に該当する状態(未診断であっても)になります。

例)発達障害特性+周囲からの無理解
 ⇒気分の落ち込み(二次障害)⇒うつ病(併存症)
二次的な障害の概念整理

併存症B
 自閉スペクトラム症と注意欠如多動症といった障がいは、それぞれ合併しやすく、共通する関連遺伝子が存在すると言われています。このように、発達障がいによって併存しやすい、他の障がいを二次障がいとは呼ばずに、『併存症B』としています。

二次障がいと併存症の違いは?

 このように、二次障がいと併存症(Aだけ)は一部共通の考え方となっています。

 発達障害だけでなく、二次障がいにおいても、また併存症においても、スペクトラムとして症状が存在します。周囲の環境に応じて、次第に症状が濃くなり、それぞれの障がいが顕在化して、併存症にいたるんでしょうね。

二次的な障害の概念整理

 しかし、二次障がいってウツウツとしたものもあれば、他のお子さんを叩いちゃったりするのもあるよね。二次障がいのパターンというのもあるんじゃないかなぁー

内向性問題(障がい)と外向性問題(障がい)

内向性問題(障がい)
 自己評価の低下や自己嫌悪など、主に自己に否定的な心理状・行動の状態になることを『内向性問題・障がい』といいます。

 発達障害のお子さんには必ずと言っていいほど、内向性の問題を抱えています。問題だけでは周囲の人からは気づかれにくいでしょうが、登校拒否や引きこもりなど重症化すると気づかれます。

内向性障害・・・うつ病、不安障害、心的外傷後ストレス障害等

外向性問題(障がい)
 反抗的な言動など、他者に攻撃的な心理・行動の状態になることを『外向性問題・障がい』と言います。

 外向性の問題は、周囲の人から気づかれやすく、支援につながりやすいのは想像がつきやすいかと思います。しかし、意外なことに外向性の問題の土台には内向性の問題が潜んでいるということです。
 外向性の問題がひどいお子さんでも、その内側にある内向性の問題にアプローチすることで、外向性の問題が軽くなってしまった!・・・ということもあります。

外向性障害・・・反抗挑戦症、素行症、物質使用症等

※問題と障がいの区別は、医学的診断に至るかどうかによって区別され、うつ病や反抗挑戦症といった状態になると、障がいとつきます。

<LDの場合>
 文字の読み書きが苦手⇒一生懸命やっても友達同じようにできない(失敗経験)⇒自己否定⇒うつ

<ADHDの場合>
 不注意で授業の内容が分からない、多動でじっとしていられない、衝動的で友達とトラブルが多い⇒自分が思うようにならないイライラ感やもどかしさ
二次的な障害の概念整理
二次的な障害の概念整理

 発達障害のお子さんの心理的反応を拾い上げるのはとても難しいですが、内向性や外向性の反応といった状態で、いかに食い止めることが、何よりも大切であり、それ以降に進展させない、医学的診断名(併存症A)が付かないようにすることが必要なんですね。

併存症の加齢的変化

 さて、二次障がいにも内向性と外向性があることが分かったところで、その年齢的変化も合わせてみてみましょう。

 このグラフから見ると、9歳から11歳にかけてが、なんらかの二次障がい(併存症)が生じているのが分かります。右肩上がりとなり、12歳を超えると、ほとんどの障がいで二次障がいが生じます。

二次的な障害の概念整理

二次障がいへの気づきと対応

 二次障がいが生じた場合、できるだけ早く状況を確認して、対応することが求められます。とはいえ、上でもお伝えしたように、二次障がいでも気づかれやすいもの(外向性問題)と、気づかれにくいもの(内向性問題)があります。

 二次障害の原因となる要因には、保護者や教師、仲間等によって能動的・意図的に行われることが原因になるもの(『能動的要因』)と、周囲の人達が適切な支援や配慮に気づかずにいること(『不作為要因』)の2つの場合があります。

二次的な障害の概念整理

 二次障がいの対応で大切なことは、大人は子どもの長所を見つけ、ほめることです。肯定的に自分をみる気持ちを育てることができれば、二次障がいの軽減や克服を図ることができるでしょう。

 また、日常的に様々なことが難しい発達障害のお子さんに、何かを任せることはリスキーに思われるでしょうけど、本人の長所を活かし、任せる課題を見つけ、目標を限定し、本人が信頼感と「任されている」と感じられる役割を与えることが必要です。

 このことを含め、本人が他者から期待されていることが実感できるような支援も重要です。

まとめ

 今回は、なかなかの長文!発達障害の二次障がいについて記事にしてみました。読む人も大変だったでしょう。
 今回の記事で、発達障害、二次障がい、併存症、内向(外向)的な問題、の言葉の違いや整理になったらいいなーと思います。

 二次障がいは周囲の環境との間で起きてくるのものですが、周囲の接し方が悪いだけで起きるものでもありません。自閉症や知的障害の程度でも、もちろん生じてしまうことがあります。

 毎度のようにお伝えしているように、丁寧に当事者の気持ちの寄り添いながら支援することが大切ですね。

引用・参考文献

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