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障がい受容編のまとめ

 これまで3回に渡り、お子さんの障がいに関する、親の受容について解説してきました。障がい別で受容までの特徴が異なったり、受容のモデルが異なったりしましたね。

 基本的に論文を基に記事をまとめていますが、ここ10年での『障がい受容』に関する論文総数が、その前10年と比較すると倍に増えています。それだけ、障がい児を育児する母親やその家族に注目が集まっています。

障がい児の母親に期待される「受容」について

障がい受容のために

 障がい児の親は、親としての役割だけでなく、『共同療育者』や子どもの『代弁者』といった役割も担わなければいけません。そのために、障がい受容を求められることや、受容を押し付けられる危険性もあります。

 支援による受容促進には、まずは母親自身が安心して育児に取り組めることが必要です。そのためには、母親自身の内的要因や、母親を取り巻く外的要因が重要なことが大切でしたね。

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 孤独回避、安心感や落ち着きを得られるだけでなく、子どもに障がいがある事実を受け止められていなかったり、支援を受けることの意味を見出せていない母親にとっては、考え方や視野が広がり行動の変化につながることを見出している。
障がい児の母親に期待される「受容」について

 さらに、『家族レジリエンス』という機能があり、障がい児を育てるにあたり、家族のみんながどんな気持ちを持っていて、役割分担を行い、ストレスの分散を図ることが、大切でしたね。

母性神話という受容の限界

 「母親は我が子に対して無条件の愛情を持つ」という母性神話ですが、障がい児を育てるということにおいては、当てはまることは少ないでしょう。

 私たち支援者とは異なり、母親は知識や支援技法などを学んで、障がい児の母親になるわけではありません。ある日、突然、障がい児の母親になり、子どもの障がい受容を求められるわけです。

現実的な受容について

 『段階的モデル』では、障がいを受容することが目標でありますが、上記のような事情を踏まえると、現実的には、障がいについて肯定的な側面と否定的な側面が両立する『螺旋モデル』が肌感に近いでしょう。

 また、積極的に『螺旋モデル』で検討することで、障がいを受容しなければいけないという、周囲からの暗黙のプレッシャーについても、ある程度軽減されるのではないでしょうか。

まとめ

 言語聴覚士として、お子さんと向き合い、評価、治療、情報提供など日常的に行っていますが、それは障がいを持ったお子さんや、その保護者の生活の一部であり、もっと広い視野が求められます。

 子育ての楽しさ、喜び、かわいがりたいという、ポジティブな感情を感じてもらえるような『家族支援』が大切で、多職種連携が求められることが分かりました。

引用・参考論文

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