我は海の子
我は海の子 白波の
さわぐいそべの 松原に
煙たなびく とまやこそ
我がなつかしき 住家(すみか)なれ
暑い。
本当に暑い。
其の所為か、「我は…」と歌いだすと、こちらのメロディーになってしまう。
本当なら、「琵琶湖周航の歌」より先に紹介すべきだった。
「我は海の子」
夏、そのもののような歌だ。
大正三年に刊行された「尋常小学校唱歌」に収められた一曲。
懸賞公募によって選ばれた宮原晃一郎という方の作品だ。
この時代の作品の持つ文語調の言葉の連なりが、私はとても好きだ。
古文になりきらないわかりやすさと、格調の高さが交じり合って、
なんとも言えない独特の美しさを醸し出している。
所々、説明が必要な部分はあるが、
歌は歌として、意味を掴む前に曲と一緒に味わってほしい。
本来は七番まであるようだが、ここではよく歌われる三番までの歌詞を載せさせていただく。
夏、熱い浜辺を駆け抜けて
海へ向かう少年の姿がくっきりと浮かび上がるようだ。
生まれて潮(しお)に ゆあみして
波を子守の 歌と聞き
千里寄せくる 海の気を
吸ひてわらべと なりにけり
高く鼻つく いその香に
不断の花の かをりあり
なぎさの松に 吹く風を
いみじき楽(がく)と 我は聞く
七番まであったと知って、少し納得した。
三番の歌詞の最後が
どうしてもこれで終わりとは思えないような気がしていた。
もう一度「我は海の子…」から歌いだして終わった方が収まりが良い感じがする。
あくまで私の感覚ではあるが。
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