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【フラメンコのブラソ(腕)のアプローチ方法】

こんにちは、アキです。
京都でフラメンコを教えています。

今回、ブラソ(腕)の動きのアプローチ方法をお伝えしたいと思います。

フラメンコ教室で、基本的な腕の動かし方や軌道の動かし方を習った後、手首の内回し外回しと、指の使い方を習うと思います。
その後、「セビジャーナス」や「タンゴ」を教えるお教室が多いと思います。

ブラソについて生徒さん達のお悩みを聞くと
●先生と同じ動きをしているのに、違う動きに見える。
●腕を大きく動かしていると思っていたのに、動画で自分の踊りを見たら小さく見える。
●フラメンコっぽく見えない・・。
いろんなお悩みを聞きます。

まず、初心者の方が習う「基本のブラソやマノの動き」は、あくまでも運動範囲内での手順と型にしか過ぎません。

例えば、ギターを初めて習う時、ギターの持ち方、ピックの持ち方、弦の押さえ方、弦の弾き方を習うと思います。
基本的な事を習った後は、初心者向きの曲をチョイスして1曲を弾けるようにしながら、必要なテクニックを身につけて行くと思います。
そして、何曲も曲数をこなしながら少しづつレベルを上げていきます。

しかし、フラメンコの場合、基本的なブラソの動作を習った後に「セビジャーナス」の曲の振付を教える場合が多いのです。
(すべてのお教室ではありませんので、ご了承ください)
この「セビジャーナス」の曲は、日本人には馴染みのない三拍子の曲で、前を向いたまま鏡で自分の姿を確認しながら踊れる曲ではありません。
初心者の方が最初に踊る曲にしては、かなり難易度が高い曲です。

私がフラメンコ初心者の時に、10日間だけスペインのセビリアへ「お試しフラメンコ留学」に行った時、レッスンをしてくれた先生は私のレベルをすぐに見抜き、超簡単な「タンゴ」を教えてくれました。
初心者の方が最初にチャレンジする曲は「セビジャーナス」ではなく、超簡単な「タンゴ」や「ルンバ」(4拍子)をお勧めします。

ブラソとマノの基本動作が出来るようになったら、次に行うアプローチ方法は【呼吸とアイストレーション】です。
腕や手を先に動かすのではなく、体幹から動き始めた動きを腕に繋げて行く訓練です。
つまり、体のど真ん中から動きを始め、腕から手へと動きを繋げていく訓練を行います。

頭の位置をあまり変えずに、腹式呼吸か横隔膜を使った呼吸方法から動きをスタートさせます。
その動きが、背筋&胸筋➡肩➡腕➡手首と指先に伝えて行く訓練を行います。

もう少し、詳しく説明しましょう。
まず、右手を天井に向かって高く上げる場合です。
腹式呼吸か横隔膜を使った呼吸を意識して大きく吸い上げます。
吸い上げると、胸と背筋の位置が少し上に上がります。
その少し上がった体の位置をキープしたまま、楽に呼吸が出来る状態を保ちながら右手を上げていきます。
上げる順番は、胸と背筋➡右肩➡右腕➡右手首➡右手の順番です。
この時に大切なのは、上げる右手だけを意識するのではなく、反対の左腕を逆に床に向かって下へ下へ引っ張ることです。
左腕を床に向かって引っ張っても、数センチぐらしか動きません。
しかし、この右腕が上へ、左腕が下へ引っ張り合いをする上下の「拮抗の力」を利用することによって、体全体のバランスとシルエットが良くなり、バランスの取れた綺麗な動きへと変化することが出来ます。
この動きを応用して、上下の動き、左右の動き、前後の動き、更にこれらを組み合わせて応用して行くことで動きの可動域が広がり、シルエットも動作も美しくなっていきます。

基本動作や基本姿勢は、あくまでも基本止まりです。
基本止まりのままで踊ってしまうと、動きが硬く見えたり、ぎこちない動きになってしまいます。
基本から繋がって行く応用動作を、入念に時間をかけて練習することをお勧めします。

まずは、4拍子の「タンゴ」や「ルンバ」を超簡単な振付で踊りながら身につけて行く方が早く上達しますし、楽しんで踊れると思います。

常に、体幹(体のど真ん中)➡肩➡腕➡手の順番で動かす意識をしながら、鏡の前でゆっくり動作を観察しながら練習をしてみてください。

それから、「手首を回す」のを意識しすぎる方も多いです。
生徒さん達のお話を聞くと「手首を常に回して踊らないといけない!」と考えている人が多いのです。
手首を回すのは最後の装飾ぐらいで良いと、私は考えています。

逆に、体幹や肩、腕がガチガチに固まったまま、手首だけがクルクル回っていると、かなり歪な動きに見えてしまいます。
特に、サパテアードを打ちながら手首を回す時は、1コンパスに対して手首は1~2回ぐらいのゆったりとした回転で充分だと思います。
手首を回す余裕がない時は、グーパー、グーパーでも良いと思います。
慣れてきたら、手首をゆっくり1~2回転をしながらサパテアードを練習してみてください。

次回は、【フラメンコのブラソ(腕)とマノ(手)の応用編】
それでは、次回もよろしくお願い致します。

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