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【自分の踊りを、更に個性的に魅力的にしてくれるファッションの力】

こんにちは、アキです。
京都でフラメンコを教えています。

今回は、踊る時の「ファッションの力」をお伝えしたいと思います。

フラメンコのファッションスタイルは、華やかで綺麗なドレスが定番です。

発表会やライブなどの出演が決まった時、綺麗な衣装を着て踊れることは、大きな楽しみの一つだと思います。
しかし、このフラメンコの衣装ですが「自分が着たい衣装を着て踊る」という考えには、少し落とし穴があると思います。

私がレッスンを行っているスタジオは、レンタルスタジオも運営しています。
以前は、発表会前になると衣装店の方が当スタジオに来て、期間限定の店舗販売(展示会)をしてくださることが何度もありました。
衣装は、お店によってドレスのデザインや色柄は様々ですが、どれも綺麗で素敵な衣装を間近で何度も拝見させていただきました。

発表会前になると、私は衣装店のスタッフの方達と一緒に、生徒さんの衣装選びのお手伝いをしたり、相談に乗ったりしていました。
衣装店のスタッフの方が、プロの目線で衣装を選ぶ仕事ぶりを見て、何度も感動したことがあります。

フラメンコを始めた頃の私は「衣装は、あくまでも飾りに過ぎない、踊りで勝負だ!」という考えを持っていました。
しかし、衣装店のスタッフのお仕事を拝見させていただくうちに「衣装(ファッション)の力を侮ってはいけない!」と思うようになりました。


衣装店のスタッフの方が、プロの仕事をされているのを見て、感動したエピソードをいくつかご紹介します。

私が、まだ衣装にあまり関心を持っていない時の話です。
当時の私は、衣装を母親から借りることが多かったので、そろそろ自分の衣装を2~3着は持っておかないといけないかもと思っていました。
そこで、発表会前の展示会の時、衣装店の店長さんに「私はどんな色柄で、どんなデザインの衣装が似合いますか?」と相談しました。
店長さんは、すぐに生地見本の冊子をペラペラとめくりながら、縦横7㎝ぐらいの布切れの生地見本を指差して「これと、これが似合います!」とおっしゃられたんです。
私は、驚きました。
ドレスとして出来上がった物ではなく、四角い小さな生地見本を見ただけで、その人に似合うかどうかが分かることに驚きました。
その後に「デザインは、これかこれの型が似合います」と、ここで初めてデザインのお勧めをおっしゃられました。
私は、店長さんの言う通りに衣装を作ってもらいました。
すると、どうでしょう。
驚いたことに、似合っていただけでなく体型の欠点が隠れ、スタイルが良く見えました。
更に、顔写りも良くて、少し動いただけで踊りが大きく見えました。
本当に、驚きました。

次に、ある生徒さんのエピソードです。
その方は、発表会前に衣装を買いに展示会に来られました。
彼女は背が高くて手足が長く、体型は痩せ型で体の厚みがなく、特に横を向くと薄っぺらい体型でした。
彼女のために衣装店のスタッフが選んだドレスは、黒地に真っ白い大きな花柄のワンピース。
まっ黒の生地に、真っ白な大きな花がいくつも描かれている衣装でした。
彼女は、少し不安そうに試着されていました。
しかし、鏡に映った自分の姿を見て「これが、私なの?!」と言った表情で驚いていました。
体の細い人が黒い服を着ると、細さが強調されがちですが、真っ白な大きな花の模様が肩や胸、腰や足元まで描かれていることによって膨張色の役目を果たし、黒い生地がより一層引き締め効果を生み、体全体が大きく華やかに見えました。
彼女の細い体型と高身長が活かされた衣装でした。
彼女は、この衣装を即決で購入していきました。

もう一人の生徒さんのエピソードです。
その方は、身長が145㎝ぐらいの低身長で、ぽっちゃり体型でした。
彼女に対してスタッフが選んだドレスは、胸下の溝打ちまであるハイウエストのスカートに、縦編みが施してあるクリーム色のブラウス。
スカートの色柄は覚えていないのですが、暖色系の濃い色だったと思います。
彼女がこの衣装を着たとたん、ぽっちゃり体型がすっきりと縦長に細く見え、身長が高く見えました。
更に、ブラウスはクリーム色だったのですが、仕立てが縦編みのような仕上がりだったので上半身もすっきりと見え、体全体が縦長の綺麗なシルエットになりました。


私は、このような経験をするまでは、自分好みの衣装を着れば良いと、安易に考えていました。
しかし、そんな考え方だった自分を深く反省し、改めて衣装(ファッション)の力に感動しました。

衣装を選ぶ時、大切なことが3つあります。
【①自分の体型に合うデザインを選ぶ】
【②曲や振付の内容を考慮して、デザインや色柄を選ぶ】
【③小物を上手に使う】

詳しく説明していきましょう。
【①自分の体型に合うデザインを選ぶ】
先程、ご紹介したエピソードを参考にしていただき、自分自身の体型をよく観察し、体型のどこを活かすか、どこを隠すかを考えて衣装を選んだ方が良いと思います。
わからない方は、やはり衣装店のスタッフの方と相談しながら選ぶ方が良いと思います。

【②曲や振付の内容を考慮して、デザインや色柄を選ぶ】
フラメンコを習い始めたばかりの方が、衣装選びで失敗してしまうパターンがあります。
それは「普段着を選ぶ感覚で、衣装を選んでしまう」ということです。
普段、洋服を買いに行く感覚で、自分好みの色柄やデザインを選びがちです。
(注:すべての人ではありません)
実は、この選び方は「地味&映えない」という失敗に繋がりやすいのです。

衣装を選ぶ時は、必ず舞台やライブハウスをイメージしてみてください。
照明は暗く、バックのギターリストやカンテは必ずまっ黒の服で出演します。
会場によっては、バックカーテンが真っ黒だったりします。
そんな雰囲気の中、普段着に近い衣装で踊ると、舞台映えしにくく動きも地味に見える場合があります。
衣装の色柄を選ぶ時は、舞台やライブハウスをイメージしてみてはどうでしょうか。
意外と普段、自分では選ばないような色柄やデザインが似合ったりして、新しい自分に出会えるかもしれません。

それと、踊る曲のイメージや雰囲気、振付を考慮して衣装を選ばないと、踊りに支障が出たり雰囲気を壊してしまう場合があります。
私も衣装選びで失敗したことがありました。
衣装を作ってもらった時、私は何も考えずにスカートをマーメイド風のデザインにしました。
出来上がった衣装を着て踊った時、振付に両足を大きく開く振りを入れていました。
当然、両足が開かない状態になり、悔しい思いをしたことがあります。
他にも、スカートの丈が長過ぎてスカートの裾を何回も踏んでしまったり、重たいスカートを着てターンをしたら、回転速度が遅くなり焦ったこともあります。

他にも、衣装は曲のイメージや雰囲気にも配慮した方が良いと思ったことがありました。
ある教室の発表会を見に行った時の事です。
その教室の発表会は、すべての演目の衣装が自由で、出演者全員が自分の好きな衣装を着て出演できる方針でした。
正直、曲のイメージや雰囲気を考えずに衣装を着ている人もいれば、きちんと考えて着ている人もいました。
一番、驚いたのが、曲調がとても暗く重たい「シギリージャ」で、一人だけ明るいショッキングピンクの衣装を着た人がいました。
他の出演者は、シギリージャの曲調や雰囲気に合うように黒やグレー、焦げ茶色などの衣装を着ていたのに、一人だけ全身ピンク色の衣装・・・。
場違いな感じだけでなく、他の出演者にも悪影響を及ぼす感じでした。
さすがに、「これは酷いな・・、いくら衣装が自由だと言っても・・」と思ってしまいました。
フラメンコは、曲のイメージや雰囲気が本当に大切です。
音楽性もきちんと考えて、衣装を選ぶ方が良いと思います。
そして、衣装を着て何度も練習することをお勧めします。
衣装を着て踊った時に、踊りに支障がある場合は、振付を変更するか、衣装をお直しした方が良いでしょう。


【③小物を上手に使う】
自分にピッタリの衣装が決まった後は、小物を上手く使うことによって、より美しくゴージャスな踊りや表現が演出できると思います。
シージョ、ネックレス、ピアス、イヤリング、ブレスレット、髪飾り、エプロンなど。
特に、大きいピアス&イヤリングや髪飾りは、小顔効果があります。
大きめの花飾りを頭のてっぺんにつけることによって、身長が高く見えたりもします。
シージョや長めのネックレスは、体の厚みを出すことが出来たり、胸を大きく見せることも出来ますので、やせ型の体型の人にお勧めです。
肩から掛けて腰まで巻き付けられる長めのシージョ、またエプロンは、ウエストが細く見えたり、フリルが揺れ動くことによって踊りが大きく見えます。

衣装に合う小物を上手く使うことで、更に体型や踊りを美しく綺麗に着飾ることができます。
ぜひ、一度やってみてください。
そして、自分にピッタリ似合う衣装に出会えることを心から願っています。

では、次回もどうぞよろしくお願い致します。

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