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【フラメンコのブラソ(腕)とマノ(手)の応用編】

こんにちは、アキです。
京都でフラメンコを教えています。

今回は、前回お伝えした【フラメンコのブラソ(腕)とマノ(手)のアプローチ方法】の内容に、少し補足をしたいと思います。

まず、マノ(手首)の動かし方ですが、基本動作は内回しと外回しを行います。
この時、手首を曲げると同時に指も一緒に曲げていくのですが、指を折り曲げる時に一番最初に折り曲げていく指が、
●中指(中指と薬指が同時)から、折り曲げていくタイプ。
●小指から、折り曲げていくタイプ。
と、人によって大きく2タイプに分かれます。

詳しく説明していきたいと思います。
手首を回す時、一番最初に折り曲げていく指が中指か、あるいは中指と薬指を同時に折り曲げていく方がやりやすいタイプの方は、中指先行タイプです。
もう一つ、一番最初に折り曲げていく指が、小指から順番に薬指➡中指➡人差し指と折り曲げていく方がやりやすいタイプの方は、小指先行タイプです。

自分は、どちらのタイプなのか判断する場合、フラメンコの基本姿勢をとり両腕を体の前や上に持っていきます。
両腕を上げた時、または胸の前に出した時に両腕の型を綺麗な卵型に作ります。
(バレエの型で説明すると、腕をアン・オー〈En haut〉か、アン・ナバン〈En avant〉のどちらかのポーズをしてみてください)
このポジションをとったまま、両手首を回します。
この時に、先ほどの2タイプのやり方を試してみてください。
回した時に、
●肘がしっかりと固定されている。
●肩や腕や手に余計な力が入らず、楽に回せる。
●手首や腕に痛みや違和感があまりなく、楽に回せる。
●長時間、練習しても疲れにくい。
●簡単なサパテアードを打ちながら回した時に、自然と折り曲げやすい。

上記のチェックに多く当てはまっている方が、自分に合っているやり方だと思ってください。
・中指から折り曲げるタイプか?
・小指から折り曲げるタイプか?

ただし、人によっては、習ってきた先生のタイプを訓練し続け、矯正されてきた人は自分のタイプが解るのに少し時間がかかると思います。
たまに、どっちでも難なく出来るタイプの方もいらっしゃいますし、内回しは小指から、外回しは中指からの方もいらっしゃいます。
(この逆の方もいらっしゃいます)
踊る時は中指から、サパテアードの時は小指からの方もいらっしゃいます。
「絶対にこうしないといけない!」と言うルールはありません。
大切なのは全体的なバランスです。
自分の体やスタイルに合う方法をチョイスし、踊る曲調に合う流れや動きのトータルバランスがとても大切だと思います。

よく生徒さんから、レッスン時に受ける質問が「先生、この時の手は内回しですか?外回しですか?」
「先生、この時の手は外回しから回しましか?内回しからですか?」と聞かれます。
答えは、「自由」です。

私はフラメンコを教える立場として、生徒さんに一番やって欲しい事があります。
それは、『自分にしか出来ない踊りを見つけて、踊って欲しい!』のです。

フラメンコに限らず、何でも基本は本当に大切です。
テクニックもスキルアップも本当に大切です。
しかし、〈上手いだけ〉の踊りは、いつか飽きられてしまいます。

私は20代の頃、ダンスの専門学校に2年間通っていました。
その時、習っていたモダンダンスの先生からこんな事を言われました。
「ダンスは、ダンスを見た人がどれだけ覚えてくれているか。見た人に印象を残せるかが大切です」と言われました。
更に、私にフラメンコを一番長く教えてくれたスペイン人男性の先生も「自分の踊りを見た人が、いつまでも覚えていてくれるかが、とても大切だ」と言われました。
私は、そのスペイン人の先生に冗談半分で「じゃ、面白おかしく踊っても良いの?」と聞くと「もちろんだよ!」と言ってくれました。
Instagramで、スペインで有名なタブラオで踊る踊り手さん達をよく拝見しますが、踊り手さんがたまにふざけて踊ったり、面白おかしく踊っているのを見ます。
面白おかしく踊っていても、会場のお客さんは喜んで受け入れているし、ギターリストやカンテも大爆笑をして喜んでいます。

「こうしなくちゃいけない!」
「こうでないといけない!」
「こうやらないといけない!」
と言う考え方は、習う人達の新たな個性や才能の芽を摘み取ってしまったり、無駄な練習時間をとらせてしまったり、本人のやる気を失わせてしまう恐れがあります。

基本はあくまでも基本です。
基本を身につけたら、基本止まりにならずに自分に合うマノの回し方、自分にしか出来ないやり方を見つけ出して、「自分にしか出来ない踊り」を踊って行けば良いと思います。

手首の回し方だけを見に、フラメンコを見に来るお客さんは一人もいません。
大切なのは、全体的なバランスです。
体のバランス、振付の流れのバランス、音楽的なバランスがとても大切です。

基本のマノを身につけ、中指派か小指派かをチェックしたら、そこから自分流にいろんな回し方を試してみてください。
内回しばかりでも良いし、外回しばかりでも良いし、回さなくても良い場合もあります。
自分に合ったマノの回し方を探してみてはどうでしょうか。

次回は、【踊りは、体全体で図形を描き続け、美しい空間芸術を創り出す素晴らしい芸術だと思います】をお伝えしたいと思います。
次回も、どうぞよろしくお願い致します。


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