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1~3月期法人企業統計からみて設備投資は上方修正、民間在庫変動は下方変動。1~3月期実質GDP第2次速報値は若干上方修正か―日本経済の主要経済指標予測(2023年6月1日)―

1~3月期法人企業統計・設備投資(除くソフトウェア)前年同期比+10.0%、季節調整済み前期比+2.7%増加

1~3月期の法人企業統計調査の全産業(金融業・保険業を除くベース)の設備投資(ソフトウェア投資額を除くベース)の前年同期比は+10.0%と、10~12月期の前年同期比+6.3%から3.7ポイント伸び率を高め、8四半期連続の増加になりました。10~12月期で前年同期比+5.5%の増加でした製造業は、1~3月期では同+10.7%へと5.2ポイント増加率が拡大しました。非製造業は10~12月期で前年同期比+6.7%の増加でしたが、1~3月期では同+9.6%の増加と2.9ポイント伸び率が拡大しました。

1~3月期・全産業(金融業・保険業を除くベース)設備投資(ソフトウェア投資額を除くベース)の季節調整済み前期比は+2.7%と4四半期連続の増加になりました。製造業は+4.3%と2四半期連続の増加、非製造業は+1.9%と4四半期連続の増加です。

供給サイドのデータに基づいて算出した1~3月期GDP第1次速報値では、名目設備投資の前期比は+1.0%で、前年同期比は+7.7%と8四半期連続の増加になりました。10~12月期の前年同期比+7.1%の増加から0.6ポイント伸び率を高めました。一方、法人企業統計では全産業(金融業・保険業を除くベース)の設備投資(ソフトウェア投資額を除くベース)の前年同期比は10~12月期から1~3月期にかけ3.7ポイント伸び率を高めました。法人企業統計の方が3.1ポイント大きく伸び率が高まりました。

1~3月期実質GDP第2次速報値で、実質GDPは前期比+0.4%、前期比年率+1.8%を予測、若干の上方修正か

1~3月期GDP第1次速報値で、供給サイドのデータに基づいて算出した、1~3月期の名目原系列前期比は+7.3%、また供給側推計値の情報を用いた需要側推計値(仮置き値)の名目原系列前期比は+31.8%であると公表されていますが、1~3月期法人企業統計調査・全産業(金融業・保険業を除くベース)の設備投資(ソフトウェア投資額を除くベース)の原数値ベースの前期比は+33.4%となり、仮置き値より1.6ポイント大きい増加率になりました。
特定サービス産業動態統計でソフトウエア開発・プログラム作成の1~2月分平均前年比は+4.9%でしたが、1~3月期の前年同期比は+6.5%と増加率が拡大しました。ソフトウエア投資の部分は上方修正要因になりそうです。
総合的に判断し、1~3月期GDP第2次速報値の実質設備投資は前期比+1.6%程度と、第1次速報値の同+0.9%から上方修正されるとみました。

23年1~3月期のGDP第1次速報値の名目民間在庫変動・原数値は▲1兆9,495億円で22年1~3月期の▲1兆1,646億円からは7,849億円の減少でした。23年1~3月期GDP第1次速報値では民間在庫変動・名目原数値・前年同期比寄与度は▲0.6%でした。この内訳に関しては、雰囲気しか教えてもらえませんが、4項目中マイナス寄与は3項目で、大きな方から仕掛品在庫、製品在庫、流通在庫の順になっていて、原材料在庫だけがプラス寄与であるということです。
23年1~3月期の法人企業統計では、仕掛品在庫の前年同期差は▲6,015億円で仮置き値と整合的な数字ですが、原材料・貯蔵品在庫は前年同期差▲1兆2,721億円のマイナスで仮置き値のプラス寄与とは逆方向の動きになっています。このため、GDP第2次速報値の名目民間在庫変動は、仮置き値だった原材料在庫がプラス寄与からマイナス寄与に転じる分、下方修正されるとみました。

6月8日に発表される1~3月期第2次速報値では、本日の法人企業統計の発表を受けて、設備投資、民間在庫変動、公共投資などを中心に改定されるとみられます。
1~3月期第2次速報値では、実質設備投資は前期比+1.6%程度と、第1次速報値の同+0.9%から上方修正になると予測します。一方、実質民間在庫変動・季節調整値・前期比寄与度は第1次速報値の+0.1%から原材料在庫を中心に下方修正され0.0%程度になるとみました。
また、公共工事出来高の前年比は1~2月分平均が+7.6%でしたが、1~3月期の前年同期比は+7.3%と増加率がやや縮小しました。このことから、第2次速報値での実質公共投資の前期比は第1次速報値の+2.4%から+2.3%程度に下方修正されると予測します。

1~3月期GDP第2次速報値で、実質GDPは前期比+0.4%、前期比年率+1.8%と予測します。第1次速報値の前期比+0.4%、前期比年率+1.6%からは、設備投資が上方修正要因になる一方で、民間在庫変動と公共投資が下方修正要因になり相殺するかたちで、実質GDPは若干の上方修正にとどまりそうです。

※なお、本投稿は情報提供を目的としており、金融取引などを提案するものではありません。