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23年1~3月期実質GDP(第1次速報値)は前期比年率+0.7%程度の増加か―日本の主要経済指標予測(2023年4月28日)―

1~3月期実質GDP、個人消費は増加するも、設備投資は減少で緩やかな増加を予測(5月17日発表)

1~3月期第1次速報値では、実質GDP成長率は前期比+0.2%程度、前期比年率+0.7%程度と、低い伸び率ながらプラス成長になると予測します。

1~3月期実質GDP第1次速報値では内需前期比寄与度は+0.2%程度を予測します。内訳をみると、民間需要が+0.1%程度のプラス寄与度、公的需要は+0.1%程度のプラス寄与度とみました。また、外需の前期比寄与度は0.0程度になると予測しました。

実質の個人消費は前期比+0.2%と、物価高などの抑制要因がありますが、コロナ禍での経済活動に対する制約が徐々に解消される中、緩やかですがプラスの伸び率になると予測します。供給サイドの関連データである耐久消費財出荷指数の1~3月期・前期比は+1.6%の増加になりました。一方、同じく供給サイドの関連データである非耐久消費財出荷指数は同▲0.2%の減少です。参考までに、商業販売額指数・小売業の1~3月期・前期比は+2.6%の増加、物価上昇率を考慮した実質ベースでもプラスの伸び率になったとみられます。一方、需要サイドの関連データでは、家計調査・二人以上世帯・実質消費支出(除く住居等)の1~2月平均の対10~12月平均比は▲0.3%の減少になっています。乗用車販売台数の1~3月期・前期比は+8.2%の増加になっています。

GDP統計の実質個人消費(家計最終消費支出)と関連性が高い消費総合指数(月次ベース)は12月分で公表中止になりましたが1~3月期へのゲタは▲0.7%とマイナスです。家計最終消費支出の推移を様々な月次データによる時系列回帰モデルによって推測している総務省の総消費動向指数の1~2月平均の対10~12月平均比は0.0%と横這いです。また、財とサービスに関する各種の販売・供給統計の月次データから算出している日銀の実質消費活動指数(旅行収支調整済)の1~2月平均の対10~12月平均比は+0.2%です。以上から総合的に考えると、1~3月期第1次速報値の個人消費は、前期比で+0.2%程度の増加になると予測されます。

設備投資の関連データである資本財出荷指数の1~3月期・前期比は▲8.9%の減少です。また、資本財(除.輸送機械)出荷指数の1~3月期・前期比は▲6.4%の減少になりました。また、建設財は同▲0.9%の減少です。資本財総供給は1月・2月のデータからみると、1~3月期・前期比はマイナスの伸び率になりそうです。日銀短観の設備投資計画などでは、企業の設備投資意欲は強そうですが、GDP統計で供給サイドから推計される1~3月期の実質設備投資は残念ながら前期比▲0.9%程度の減少になると予測しました。

民間在庫変動の前期比寄与度は+0.1%程度と予測しました。ARIMAモデルにより内閣府が10~12月期第二次速報値時点での情報を使って算出・公表した、1~3月期の原材料在庫の季調済実質値前期差は▲1,253億円、仕掛品在庫の季調済実質値前期差は+1,264億円です。一方、鉱工業在庫指数の前期比は、10~12月期は▲0.6%でしたが、1~3月期は+0.9%になったことなどを考慮しました。

実質輸出入の動向をみると、輸出の1~3月期・前期比は▲3.3%の減少になりました。控除項目の輸入は同▲5.4%の減少になっています。財のデータでみると1~3月期の外需(財)の前期比寄与度はプラスになりそうです。サービスも含めたGDPの輸出の1~3月期前期比は▲2.4%程度の減少、輸入は同▲2.2%程度の減少と予測しました。輸出の減少を、控除項目の輸入の減少が相殺することで、1~3月期の外需の前期比寄与度は0.0%程度になると予測しました。

※なお、本投稿は情報提供を目的としており、金融取引などを提案するものではありません。